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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 戦略の策定② (企業財務管理、国際金融/平松拓)

戦略の策定②

平松拓 企業財務管理、国際金融

12/10/30

前回は、経営戦略の策定と戦略的経営計画のうち、経営戦略の策定にてお話ししました。
今回は、戦略的経営計画についてです。

前回にも触れましたとおり、戦略の策定とは、組織の目標を設定し、その目標にいたるための大まかな道筋を描く作業のことです。それに対して戦略的計画の策定とは、そうした目標や戦略を所与のものとして、戦略をどのように実行するかを決めるプロセスのことです。

戦略的計画は、計画の一種に他ならないわけですが、単に将来を予測した数字を記入した計画ということではなく、戦略実行のためのプログラム単位で構成されている計画、プログラムに基づく数字によって構成された計画であると言えます。

ここで言うプログラムとは、例えば売上シェアを向上させるという目標を立て、「価格面で競争力のある商品を投入する」ということを戦略として決めた場合、この段階では未だ具体的な施策の形を持っていないため、あくまで戦略どまりです。しかし、ここに開発部門が関与して、おおよそのデザインやスペック、価格が想定され、具体的な形あるものとして計画されると、一つの完結したプログラムとなります。そこではおおまかにしろコストが計算され、生産のためのラインの確保が前提となり、労働力や原材料の調達も想定されます。そしてそのプログラムが戦略計画に織り込まれるということは、既存商品の生産打ち切りや縮小を通じて特定の生産ラインを確保することや、設備投資のための資金確保も、考慮に上がってくるわけです。当然のことながら、業績が伸びている時には、新たなラインの増設もあり得ます。

今の例では、プログラムとして一つの商品ラインを採り上げましたが、他にも事業部門単位や買収プロジェクト案件単位、コスト低減活動といった活動単位など、様々な形があり得ます。こうしたプログラムは、業種にもよりますが、短くとも二、三年程度はかかります。したがって、戦略的計画の期間は短いものでも三年程度、長いものでは五年から十年ということになります。

こうしたプログラムにもとづく戦略的計画は、主目的が戦略の実行であって、予算のように数字上の厳格な目標の達成ということではないことに留意が必要です。それぞれのプログラムは、確度によってもばらつきがあるのが普通ですが、おおまかな市場予測やラフな前提にもとづいて策定されているケースが多いため、予算の策定と予算を守るための統制などとは異なるということを明確に理解しておかなければなりません。

このようなプログラムをベースとした戦略的計画を策定することには、様々なメリットがあります。第一には、たとえば三年間の計画であれば、その内の翌年度を予算のベースとして活用できることです。戦略的計画がベースにないまま予算を立てるということになると、戦略をいかに予算の中に反映させるかという点について考慮が必要になり、これがやや難しいのです。第二には、戦略的計画の策定に参画することによって、マネージャー層がより長期的な視点を持つことができるようになるということがあります。第三には、計画策定プロセスを経ることによって、戦略そのものが練られたものとなります。あるいは、戦略に対する理解がより明確化します。

一方で、戦略的計画策定には、その中身のプログラムの考案を疎かにすると、計画策定自身がマンネリ化して、ただフォームを埋めるだけの作業になりかねないといった問題があります。また、経営企画本部や計画策定担当部門が肥大化し、計画策定がその部門の単独業務化しかねないという点にも注意する必要があります。実際に、企業の中期経営計画の中には、トップダウンではなくてボトムアップの積み上げにより作成した結果、具体的な内容としてのプログラムの明示が無く、戦略の実効性を欠いた形のものを目にすることが少なくありません。

分野: ファイナンシャルマネジメント |スピーカー: 平松拓

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