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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 株主資本主義の終焉 (経営学 /久原正治)

株主資本主義の終焉

久原正治 経営学

12/10/19

今年の八月、一万人くらいが世界中から参加する経営学の最高の学会がボストンで開かれまして、参加してきました。アメリカでは、株主を大事にする経営はどうやはらもはや終わっているようです。

あらゆる経営学者が、株主だけではなく、従業員や顧客、社会を共に大事にしていく経営が重要だと唱えていました。そのために、経営学や経済学はますます発展し、こうした点を理論化できるようにしなければいけないという議論がなされています。

以下では、向こうの経営学者達の最近の議論を紹介しましょう。

まず、ハーバード・ビジネススクールのジェンセン名誉教授です。彼は1976年にエージェンシー理論を開発したことで有名で、株主利益の主導者のような人でした。

この人が学会で、株主価値の経営はstupidと言ったのです。株主価値は1/4程度で、それ以外の3/4は、経営者がより誠実に経営するなどのいろいろな要素によって成っているそうです。

次に、ステークホルダー提唱するバージニア大学ビジネススクールのフリーマン教授を紹介しましょう。

ステークホルダー経営とは、株主だけでなく顧客や従業員、社会などの利益をすべて満たしていることやそのバランスを重要視したうえで、ROEのような指標で、従業員などへのリターンを数値化していこうというものです。

こうした実証主義的な経営理論をやっているグループがいまして、これがまた力を得てきています。

そして、エール大学の金融学者であるシラー教授は、金融、特に銀行が儲け過ぎにいっていることを指摘しています。銀行はそもそも、社会に経済を発展させるために新しいお金を提供して、新しいことをやらせるという、社会発展を目的としています。これを見直すべきと、シラー氏は言っています。

このようにアメリカの著名な学者は、株主だけではなく会社をとりまく様々なものを大事にするように言っているのです。

このことについて、二つの軸をもって考えてみましょう。ひとつは、縦軸に好業績という軸です。これは、株主の価値の実現を示します。そしてもうひとつ、横軸に、会社が実現する高い価値を入れてみましょう。

好業績の縦軸と高い価値の横軸が交わる、一番右上のところ、すなわち、業績が高く、会社の目的や使命をきちんと果たしているところ。ここにある会社が、経営のバランスをとれている優良な会社ということができるでしょう。

アメリカの今の経営学会では、こういうことをきちんとデータを出して実証し、従業員の価値や顧客の価値を高めていくことが会社にとって重要であるという議論が主流となっています。

一方日本では、昔から松下幸之助氏が、自分の会社は電気製品を売るだけでなく、社会へ貢献することも目的としているという旨を、最初からずっと言い続けています。これが松下の哲学になっているのです。

また、ブリジストンタイヤをつくった久留米の石橋正二郎氏は、会社とは人びとの楽しみと幸福のためにあると言っています。

石橋氏の寄付によってつくられた石場氏文化センターに行くと、このことが入り口に書いてあります。こうした目的は、高い品質のタイヤを作ることによって、結果として満たされるわけです。

そしてアメーバー経営、JALの再建をやった稲森氏は、全従業員の幸せの追求が会社の目的と言っています。アメーバー経営では、非常に分権化されたところで、従業員が活躍できる場所を作って仕事を行います。これによって、高い業績を達成してきたのです。

このように、アメリカの経営学者が今になって言っていることは、既に日本の経営者が昔からやってきたことなのです。

ところが、ROE経営がアメリカから日本に変な形で入ってきて、最近のサラリーマン経営者は株主のために業績を上げろとか言っていますが、アメリカ企業ほどには業績は上がりません。

そうこうしているうちに、従業員や顧客を大事にするという目的を忘れた企業が、段々に潰れたり駄目になっていっているのです。

アメリカでは株主だけを偏重するのではない方向へ変わってきています。日本にはもともとあった考え方ではありますが、こうした変化を我々もみていかなければなりません。

分野: 経営学 |スピーカー: 久原正治

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