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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 利益観 (日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学/岩崎勇)

利益観

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

12/10/17

私の専門の一つは「利益」と「ハピネス(幸福)」を研究することですが、今回も前回に続き財務会計の「利益」についての話をしていきます。

企業や社会での「ハピネス」は、事業が上手く回るようにすると得られます。すなわち、企業がよい商品やサービスを提供することによって社会貢献しながら会社も存続して、従業員も雇用でき、会社や個人が適切な利益を上げることによってお互いにハピネスになります。社会や会社が上手く存続するためには、やはり適切な利益が必要だという話です。今日は会計上の「利益観」つまり「利益をどう捉えるかという考え方」についてのお話です。
 
 
 
利益の捉え方として、まず第1に、「収益費用中心観」というものがあります。これは、収益費用の観点から利益を考えるものであり、利益を損益計算書上において収益から費用を引いて計算するもの考えるものです。例えば、収益とは具体的に言うと売上のことで、商品の売上収益100万円から、その原価部分である売上原価60万円を引いて、40万円という利益を計算します。このように、収益費用を中心とし、損益計算書をベースにして企業活動のプロセスとしての努力と成果の観点から利益を計算するという考え方が収益費用中心観です。

もう1つの考え方は、「資産負債中心観」というものです。これは、資産負債の増減変化の観点から利益を考えるものであり、資産と負債の差額である資本(持分)の期首と期末の大きさを比較して利益を計算するという考え方です。例えば、期首に現金100万円という資産、負債としての借入金が50万円あり、差額の資本(持分)が50万円であったとします。そして、期末に資産が現金200万円、負債としての借入金が100万円で、資本が100万円になったとすると、資本(持分)が50万円から100万円に増え、その増加分50万円を利益と考えます。経済学的にいう会社の富がどれだけ増減したかによって利益を考えるものが資産負債中心観ということです。

これらの考え方がどのように我が国の社会に影響してくるのかというと、伝統的に日本には産業資本主義的な考え方、すなわち産業を発展させることによって経済を豊かにしていこうという発想があります。この考え方は、収益費用中心観、要するに一生懸命努力して利益を上げていこうという、プロセスを重視する考え方にマッチします。
 
 
 
ところが、国際会計基準(IFRS)はどちらの考え方かというと、アメリカ等を中心とした金融資本主義的な考え方で、金融(例えば、有価証券やデリバティブで新しい金融商品等)を上手く利用して社会を豊かにしていこうとする考え方に大きな影響を受けています。損益をどの段階で計上するかという話を前回しましたが、評価損益の計上ということは、自分が市場に参加していなくても、市場価格の変動によって、評価損益を計上するという考え方です。産業資本主義の場合には、額に汗して物を作って売って結果としていくら儲かったのかという見方をします。

他方、金融資本主義では、コンピュータ上で株やデリバティブ等の金融商品を売買していくら儲かっているのかということを重視します。このように、国際会計基準はどちらかというと資産負債中心観的で、金融資本主義的な考え方を重視し、それゆえ、プロセスよりも結果を重視します。

国際会計基準は、日本的経営である「あいつは仕事をよくやっている」というようなプロセスを重視する考え方ではなく、結果を最も重視する考え方です。したがって、国際会計基準というのは必ずしも産業資本主義的な考え方と上手くマッチしません。つい1、2年前までは国際会計基準の導入に賛成の大合唱がありました。しかし、会計制度が変わることによって非常に文化とか社会に大きな影響を及ぼしますので、国際会計基準の中身はどうなっているのかをきちんと理解して行動しないと非常に危険でしょう。
 
 
 
今日のキーワードは「会計が変われば、文化・社会が変わる!!」です。

分野: 会計 財務戦略 |スピーカー: 岩崎勇

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