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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > グレーター・メコン・サブリージョン(GMS) (国際経営、国際物流/星野裕志)

グレーター・メコン・サブリージョン(GMS)

星野裕志 国際経営、国際物流

12/10/10

前回、前々回と、ラオスとブータンについてお話ししました。今回をそれらを踏まえた上で、ロジスティクスの観点よりこれらの開発途上の地域について、考えてみたいと思います。

インドシナ半島のグレーター・メコン・サブリージョン(GMS)の中で、ラオスは難しい状況にあります。内陸国ですので、船舶という大量輸送機関を用いた自国産品の輸出が難しく、また海外から直接輸入することもできません。産品が近隣の国を経由してくるので、その分輸送コストが非常に高くつき、競争力を失うことになります。一方で、ベトナムやカンボジアは、ロジスティクスのインフラストラクチャーを整備することで、競争力を高めるように努力しています。

ベトナムとカンボジアは、タイと比べれば、スケール自体は非常に小さいものの、ロジスティクスのインフラストラクチャーを整備して、経済成長へつなげようとしています。タイとミャンマーの間に東西回廊という自動車専用道が走っていることは説明したとおりですが、タイには自動車産業集積として様々なサプライヤーが集まっています。東西回廊を用いることで、タイにある部品を、ベトナムへ持ってくることができることになります。一方で、ベトナムは、タイと比べて人件費が低く、政治経済的に安定している国です。日本企業もこのベトナムを注目しており、今後ますます多くの産業が集まる可能性があります。このように産業と産業がサプライチェーンで繋がって行くとすれば、インドシナ半島のグレーター・メコン・サブリージョンの可能性もますます広がるものと思います。

このようなことを念頭においたうえで、ベトナムは港湾の開発に積極的に取り組んでいますが、実はベトナムの港湾のロケーションはなかなかに微妙なのです。南には、世界第二位のコンテナ取扱量を誇るシンガポールが位置していますし、北には、世界で三番目に巨大なハブポートという拠点港をもつ香港が所在します。またタイにあるレムチャバン港は、自動車の積み出しで活況を呈していますし、また開発中の大きな港もあります。これらの間に位置するベトナムが港湾の開発を行うとしても、どれだけ今後の可能性があるのかはわかりません。

しかし、東西回廊を活用することで、ベトナム中部の港ダナンや、北の首都のハノイに近いハイフォン港、南のホーチミンシティに近いサイゴン港とカイメック港は、これまで以上に輸出の競争力が高まると言えます。ベトナムの主要な輸出産品は非常に多用で、石油や石炭といった天然資源のほかに、お米やゴム、コーヒーなどの農作物、テキスタイル、衣類、靴といった軽工業産品まであります。これらが元々は、主たる輸出産品ではありましたが、今後多くの工業製品が生産されることになります。その理由は、国内に250以上の工業団地ができていると言われ、いろいろな外国企業が投資をしています。原料を輸入し、これらの工場で組み立てて、輸出する。こう考えると、効率性のよい港をもつことは、競争力を高めるために不可欠なのです。現在のところ、工業団地の整備と、道路や港湾のインフラストラクチャーの整備が同時並行で行われていますが、今後、非常に大きな成果をもたらす可能性があります。

以前にもお話ししたとおり、内陸国は内陸であることに縛られており、他国の整備に依存しながら輸出入を行うほかありません。その点ベトナムは、産業の育成とインフラの整備が同時に行われており、今後の成長の可能性は大きいと言えます。従来ベトナムは、チャイナプラスワンとして注目されてきましたが、昨今の日本と中国の緊張関係による投資リスクを考えると、ベトナムへ目を向ける企業が増えてくるように思います。

今日のキーワードは、「ロジスティクスのインフラと産業育成のバランス」です。インフラストラクチャーが整備されていれば、輸出の競争力が高まります。国内に十分な産業が育っていれば、単にそれを輸出するというだけでなく、原料を輸入し、加工、組立をして、そして輸出するというひとつのサイクルを生み出します。これらは、経済成長の両輪となっているのです。

分野: 国際ロジスティクス |スピーカー: 星野裕志

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