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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 運転資本 (企業財務管理、国際金融/平松拓)

運転資本

平松拓 企業財務管理、国際金融

12/09/04

今回と次回の2回は運転資本の話です。運転資本は経営計画や予算を策定する時などに、時として軽視されがちですが、実はキャッシュフロー管理上極めて重要です。


運転資本とは
運転資本とは、企業が日々の事業を行っていく上で必要となる資本(資金)のことです。

この場合の日々の事業というのは、例えばメーカーを例に挙げると、原材料を仕入れて生産を行い、製品を販売することであったり、あるいは流通業のケースでは、商品を仕入れてまたそれを顧客に販売することであったりといった日常の事業を意味します。

工場を建設したり設備を新たに購入したり、或いは利益が出ずに赤字を計上するといったことは、普通の企業に日常に生じる訳ではない、或いは生じては困る訳ですが、そうではない、企業の日々の事業活動を行う上で必要となる資本が運転資本です。


運転資本の内訳
もう少し具体的に言いますと、まず企業が現金で原材料や商品を仕入れたとして、これ等の原材料や商品は商品として販売されるまでの間、原材料の場合は企業の中で仕掛品、あるいは完成品と形は変わっていくわけですが、いずれも会計上は棚卸資産という形で滞留することになります。

この間は購入に現金が必要だったにも拘わらず、まだ現金にはなっていないので、企業にとって資金負担が生じている訳です。その後商品として販売される訳ですが、掛け売りの場合には即座に現金が回収される訳ではなく、販売をした時点から現金が回収されるまでの間、会計上で云うところの売掛金という状態に留まり、現金の負担が生じている状態が続きます。

今の例では現金での仕入れを前提としましたが、仕入れについても必ずしも現金決済が行われるとは限りません。原材料、あるいは商品を「掛け」で仕入れる場合には、仕入れから決済が行われる迄の間、会計上の買掛金という状態になっており、逆に企業にとっては資金余裕が生じていることになるわけです。


キャッシュ循環サイクルについて
つまり、全体を通じて見ますと、企業は「仕入れの代金決済をしてから販売の回収までの期間」、別の言い方で「在庫の生じている期間及び売掛金の生じている期間」を合わせたものから、「買掛金の生じている期間」を差し引いた期間について資金を負担していることになるわけです。これが運転資本です。

このように運転資本の生じている期間を、仕入れのために現金の支出をしてから、販売により現金が回収されるまでの期間という意味で「キャッシュ循環サイクル」と呼びます。

このキャッシュ循環サイクルの間、企業は負担しなければならない資金を結局何処かから調達してこなければなりません。この資金調達には利息の支払が必要ですが、逆に運転資本という形で運用されることになる資金からは収入が得られる訳ではありません。従って、企業にとっては取引金額が大きければ大きいほど、またキャッシュ循環サイクルが長ければ長いほど運転資本の金額が大きくなり、収益の圧迫要因ということになります。

売り上げの成長と運転資本
運転資本は業種や個々の企業のビジネスモデルによる違いが大きく、運転資本が売上の2割や3割に上る企業も少なくありません。同時に、売掛金や在庫資金は売り上げや仕入れに応じて発生することから、一般的には企業の事業規模、より具体的には売り上げや仕入れ金額の大きさによって、金額が大小します。

そのため、売上を急速に伸ばしている企業の場合には運転資本が急速に増加しがちです。またそうした企業では同時に設備の拡張など他にも資金が必要になってくるのが普通です。

これに対して、売上が急増しても、コストも急増するためにそれに伴って得られる追加的な現金は限られます。その結果、売上が伸びている時にかえって資金繰りが苦しくなるという傾向があります。


運転資本の資金手当て、或いは運転資本のコントロールの重要性
例年、倒産する企業の半数以上は黒字を計上している、いわゆる黒字倒産の企業によって占められていますが、その中にはこうした売上の急増による運転資本の増加が原因で倒産に至るケースも含まれています。

つまり、企業の売上計画や予算を立てる場合に、こうした運転資本の変化を十分に考えておく必要があるわけで、積極的な拡販により利益を増やそうとする場合、運転資本の増加に対する十分な備え(追加的な資金調達の目途)、あるいは運転資本のコントロールが必要です。

さもなければ営業努力がかえって会社の財務内容を危うくすることにもなりかねません。

分野: 国際経営 |スピーカー: 平松拓

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