QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > BOP(ベースオブピラミッド) (国際経営、国際物流/星野裕志)

BOP(ベースオブピラミッド)

星野裕志 国際経営、国際物流

12/09/03

今の人口が世界70億人だとすると、その内の40億人がピラミッドの底辺部を構成しています。BOP(ボトム・オブ・ピラミッド)とは、その人達を市場として狙ったらどうかという考え方のことを言います。もともとこの言葉は後にアメリカ大統領となるフランクリン=ルーズベルト氏が、1932年のラジオ演説の際に、大恐慌で打ちひしがれている人たちをボトム・オブ・エコノミック・ピラミッド、つまり経済の最底辺部に押し込まれている人たちと表現したのが始まりとのことです。当時は押し込まれているという、非常にネガティブな表現でしたが、プラハード氏の提唱したBOPは、むしろポジティブな意味をもっています。企業のアプローチの仕方によって市場として十分に成り立ちますし、これから経済の成長とともにますます期待される市場になっていくものとして、底辺部をとらえています。彼らに購買していただくためには、商品やサービス、売り方に工夫が必要です。

まず商品について考えてみましょう。2008年にインドのタタ自動車という所が、ナノという車を作りました。1台10万ルピー、当時で28万円の価格です。28万円というのは、当時インドで売っていた、今少し労働争議が起きていますが、マルチスズキという日系の合弁企業が作っていた車の半額程度です。ナノは、ラジオも付いていないし、ワイパーも一本だけ、助手席側にドアミラーもないという、非常にシンプルな代物でした。従来の自動車と比べると、品質に劣るし、機能も十分ではないように思えます。しかしベトナムやインドでは、一台のバイクに家族が四人も五人も乗っているわけですから、そのバイクに代替する車と考えれば、十分なわけです。すなわち、低価格で基本機能に特化した商品を開発していれば、より広い層が自動車を買えるというのが、ナノの考え方なのでしょう。

次に、売り方、ビジネスの手法について考えてみましょう。たとえば日本で衛生用品や紙おむつを販売するユニチャームという会社がありますが、実は非常に積極的にこの新興市場、特にアジアに進出している企業です。たとえば紙おむつですと、日本のように一パック単位で売っていたら、価格が高くなりすぎてなかなか手が届かない商品となってしまいますので、ばらにして一枚単位で販売するのです。これを小分けモデルといいますが、こうすれば購買力の低い人でも良いものであれば、買ってくれるようになるのです。ヨーロッパの多国籍企業であるユニリーバも、同じようなモデルを採用しています。この会社は、インドで石鹸やシャンプー、コーヒーを販売していますが、これも一個単位で、一個二円程度で売っています。これですと、貧しい人でも手が届きます。また、これまで大都市のきちんとした店舗やスーパーでしか販売していませんでしたが、貧しい人たちが購入している屋台のような街頭のお店でも販売する、という売り方を導入することも考えられています。

また、今お話ししましたユニリーバという会社は、女性の販売員を積極的に活用しています。これまで女性の社会進出は、特に開発途上国では遅れていたわけです。しかし地域密着型の仕事ができるのはやはり女性ということで、ユニリーバの石鹸を使うことで衛生的な問題が非常に解消されるということを啓蒙する活動をしながら、販売してくことになります。
この原点は、ヤクルトのヤクルトレディにあります。ヤクルトレディのようなモデルはフィリピンで作られたそうですが、これに目をつけた多国籍企業は非常に多く、ユニリーバもそのひとつなのです。

このようにしていくと、ネガティブなイメージをもって語られてきたピラミッドの底辺が、これから非常に期待のもてる市場に見えてきます。特に最近では、ボトム・オブ・ピラミッドではなく、ベース・オブ・ピラミッドという言葉が使われるようになってきました。こうなると随分ニュアンスが変わりますね。多国籍企業がこういうところを市場とするならば、ボトムから富を取って来るのではなく、ベースで富を作り出すという発想が必要ではないかと言われてきているのです。これまで多国籍企業には、現地で搾取をするのではないかという不信感がつきまとっていましたが、前述のようにすると、社会問題の解決にも貢献できることに成りますし、販売の市場もなります。持続的な成長モデルとしては、このような考え方が、今後はやはり必要ということなのでしょうね。

今日のキーワードは、BOP、ベース・オブ・ピラミッドです。

最近目にする機会が増えています。ぜひ皆さんの記憶に残して頂きたいと思います。

分野: 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ