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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 3つの眼② (国際経営論、経営戦略論、アジア産業論/永池克明)

3つの眼②

永池克明 国際経営論、経営戦略論、アジア産業論

12/09/27

今日の講師は久留米大学、永池 克明です。

社会科学の場合
前回は3つの目(物事を近くからしっかり見る虫の目、全体を見渡す鳥の目、そして変化を敏感に察知する魚の目)が必要だという話をしました。今日は社会科学を学ぶ学生、そしてビジネスマンが何故その3つの目が必要なのか、と具体的な話をしていきます。

私達は今、ビジネススクールや経営学部や商学部で、ビジネス、経済学、経営学、それから法学という、いわゆる社会科学を勉強しています。社会科学というのは自然科学に比べてどういうところが違うのか。自然科学というのは例えば万有引力の法則(必ず林檎は落ちる)とか、1+1=2であるとか、もちろん例外はありますが○○の法則というのはほとんど普遍的とされている部分が多いといえます。

しかし、社会科学の場合、対象は社会です。社会というのは、人の集団であり、それを分析し、そこにある一定の法則性や共通性を抽出して研究するわけですから、自然科学に比べると、どうしても不確定要因、流動的な要因が多くならざるとえません。つまりある時代や社会で見られた傾向や法則がずっと変わらないということはなく、時代の変化や社会構造の変化にともなって変わってきたり、あるいはその理論が通用しなくなってきたりする瞬間も出てきます。したがって、社会科学を勉強する私達は、常に現実の社会の動きを重視し、かつその動きに敏感にならなければなりません。従来の理論だけで世の中を全て割切ろうとするとどうしても無理が出ます。
 
 
 
その例として、経営学の中でも重要視される戦略論(経営戦略、需要戦略)でも色々なアプローチがあって、現在主流と言われる経営戦略の定説といわれる代表的なものを2つ挙げます。

ポジショニング・アプローチ
1つはハーバード大学のマイケル・ポーター(M.Porter)が言っている競争戦略論です。これは「ポジショニング・アプローチ」と呼ばれています。これによると企業の競争優位というのは、業界の中で自社の有利なポジション、強いポジションを構築してライバル他社の参入を阻止し、競走上有利なポジションを独占出来るかどうか、これによって勝敗が決まるとされています。ポーターは基本戦略として
①値段で勝負、コストで勝負といった「コストリーダーシップ」、
②それから他社と違うことをするという「差別化戦略」、
③最後にコストに集中するのか、差別化に重きを置いて競争するのかという「集中戦略」
という3つの代替案を提唱しています。そしてポーターは競争で勝つためには3つのこの戦略、「コストリーダーシップ」、「差別化戦略」、「集中戦略」の3つの内どれかを徹底してやれと言っているわけです。この3つのうち、2つを同時におこなうのはタブーとしています。

資源ベース理論
一方、別のアプローチとして、同じ米国・オハイオ州立大学のジェイ・バーニー(J.Barney)らが提唱している「資源ベース理論(リソース・ベースト・ビュー)」があります。これは企業の競争優位性は、人、物、金、情報、ノウハウ、組織能力など、その企業が持っている経営資源(内部資源)によって決まってくるというものです。そして企業の競争優位性は他の企業や外部からは調達出来ないとしています。その企業特有の良いもの(強み)を認識し、それを徹頭徹尾研ぎ澄まし、蓄積して他社が真似することが出来ないような経営資源を蓄積することが競争に勝つ秘訣だと言っているわけです。
 
 
 
今日は経営戦略論の代表的なものを2つ紹介しました。正解はポーター(ポジショニング)かバーニー(経営資源)かの二者択一ではなく、両方の視点を持って現実をみ、分析するのが正解であろうと思います。
ポーターの競争戦略論だけでは、必ずしも世の中を全部説明出来ていないと思う局面が現実にいろいろ出てきています。彼は3つ戦略の内、2つを同時並行でやっては駄目で、1つを選んだら絶対徹頭徹尾1つしか駄目だと言っています。しかし、現実にはコストリーダーシップと差別化戦略両方を同時に推進して成功している企業もあります。例えばアパレルで言えばZARAやH&M、ユニクロといった企業はコストが安いだけでなく、自社が持つ強みを生かして、特徴のあるファッション性(ZARA、H&M)だとか、品質(ユニクロ)の2つの合わせ技を実行しており、差別化できています。収益も上げています。つまり、安さ(コストリーダーシップ戦略)と「差別化戦略」の両方を同時並行でやって成功しています。これはポーターの理論に当てはまりません。

結論として、今日私が言いたいことは、社会科学では理論と現実には時間の経過とともに、どうしてもずれが出てくるということです。だから私は経済学や経営学を学ぶ学生には社会の現実を常に見なさい、現場を重視しなさいと言っています。つまり、「3つの目」が必要であるというわけです。
ということで、今回もやっぱりキーワードは「3つの目」ということで、それを事例で示した、ということですね。現実を直視しなければならず、推理小説や、刑事もののドラマの場合でも「事件は会議室で起こっているんじゃないんだ。現場で起こっているんだ」ということです。

分野: アジアビジネス 国際企業分析 経営戦略 |スピーカー: 永池克明

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