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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 産学官による国際リニアコライダープロジェクト(その1) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

産学官による国際リニアコライダープロジェクト(その1)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

12/08/28

・さて今回は、福岡・佐賀地域への誘致が進められている国際リニアコライダー(ILC)構想について紹介しながら、産学官連携プロジェクトの意義について考えたい。

・ILCとは、素粒子物理学の専門家の間で構想されている次世代の加速器のこと。現在の世界最大の加速器は、スイス・ジュネーブのCERN(セルン)にあるLHC(リニアハドロンコライダー、巨大な加速器で陽子と陽子を衝突させ、そのエネルギーで発生する素粒子を解析する装置)だ。

・このCERNは、「ダ・ビンチ・コード」で有名になったダン・ブラウンの「天使と悪魔」という小説のなかで、反物質を発明し保管していた研究施設として登場するので、どこかで聞いたことがあるという方もいるかもしれない。

・また、このCERNは、wwwを発明したことでも知られている。世界中の素粒子物理学者がデータを共有しながら実験を進める必要があり、その過程で、インターネット上での情報共有の仕組みを考案したのが始まりだ。

・今年7月4月に、物理学の標準理論のなかで唯一その存在が確認されていない「ヒッグス粒子(物質の質量の元といわれる)」が発見された(発見=99.9999%以上の確率で存在)という報道があった。素粒子物理学の「標準理論」と呼ばれる理論体系の中では、「全ての素粒子は質量を持たない」ことになっているが、実際には素粒子は質量を持っている。この矛盾を説明するために、ヒッグス博士がヒッグス粒子の存在を提唱したが、その存在を実験で確認することは困難を極め、これが長年にわたる「人類の挑戦」だった。

・ヒッグス粒子をとらえるためには、宇宙誕生の瞬間(ビッグバン)に相当する高エネルギー状態を再現する必要があり、そのために大型加速器が必要となる。このヒッグス粒子発見の舞台となったのがCERNにあるLHCだ。LHCは、直径27kmで山手線とほぼ同規模の円状の装置で陽子と陽子を衝突させ宇宙誕生の瞬間を再現した高エネルギー状態を人工的に作り出すことができる。

・しかし、今回発見されたヒッグス粒子の挙動を更に詳しく調べるためには、このLHCをもってしても衝突エネルギーが不足する。そこで、次世代加速器としてILC構想がスタートした。

・ILCは全長40〜50kmの直線状で、電子と陽電子を加速して衝突させる。円状だと衝突させる陽子をカーブさせなければならず、その分だけエネルギーのロスが生じる。一方のILCは直線上なのでエネルギーのロスが生じないため、衝突の場により高エネルギー状態を作り出すことができる。

・ILCは、アジア・北米・欧州が協力して世界に1カ所だけ建設される超大型国際プロジェクトで、総コストは8千億円とも1兆円ともいわれる。

・世界にいくつか候補地がある中で、日本は北上山地(東北)と福岡県・佐賀県にまたがる背振山地の2カ所の候補地を持つ。既に、両地域とも産学官が連携して誘致に向けた活動をスタートさせている。

・次回は、具体的に産学官の役割をみながら、人類史上歴史に残る発見がどのような実現したか、それをILCとしてどう発展させていくべきかについて話をしたい。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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