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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 第14回 経済成長率 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

第14回 経済成長率

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

12/08/21

経済成長率
 
 
経済成長率とは、GDPがどれだけ増えたか、という事です。GDPとは、前回見たように、日本国内で何円分の物やサービスが作られたか、という数字です。GDPが1%増えたならば、経済成長率は1%です。なお、物やサービスというと長いので、ここではモノと言ったらサービスも含まれることにして下さい。

では、GDPが増えたら、日本人が沢山モノを作ったと言えるでしょうか?言える場合と言えない場合がありますね。物価が2倍になってGDPが2倍になった場合には、生産されたモノの量は変わりませんが、物価が変わらずにGDPが2倍になった場合には生産されたモノの量が2倍になっているはずです。

そこで、普通のGDPの増加率を名目経済成長率あるいは名目成長率と呼び、名目成長率から物価上昇率を引いた値を実質成長率と呼び、区別しています。そして、景気を考える上では後者、すなわち実質成長率を重視することになります。実質成長率が高ければ、去年より今年の方が生産活動が活発だという事なので、大勢の人が雇われているはずです。したがって失業者は減っているはずですね。

景気討論会などを聞いていると、景気が良くなるとか悪くなるとか言う代わりに来年度の成長率を3%と予想しているとか1%と予想しているとか、成長率の話をする人が多いのですが、これは、「成長率を高く予想している人ほど来年度の景気が良く、失業が少ないと考えている」という事が前提になっているのです。

成長率が高いという事は、昨年より多くのモノが売れるという事でもあります。タクシーの運転手さんが客待ちをしていれば、GDPはゼロですが、御客さんが乗れば、運送というサービスが生産されることになり、運転手さんの給料が増え、タクシー会社も儲かります。つまり、GDPが増えるという事は、企業が儲かり、サラリーマンの給料が増えるという事にもつながるのです。

製造業の場合も、タクシー会社と大体同じです。モノが売れなければ企業はモノを作らないでしょうから、逆に企業がモノを作るという事は、モノが売れているという事で、企業も儲かり、社員も残業代などが増えているはずです。
 

 
ではここで、経済成長率がゼロというのはどういう事か、考えてみましょう。ゼロ成長ということは、実質GDPの増加率がゼロという事ですから、昨年と今年と、日本国内で作られたモノの量が同じだと言うことになります。それならば、嬉しくはないけれども、特に不満もないはずです。しかし、世の中では「ゼロ成長だからダメだ」といった言葉が聞かれます。なぜ、ゼロ成長はダメなのでしょうか。

それは、ゼロ成長だと失業が増えてしまうからなのです。日本経済が用いている技術は進歩しています。これは何も、最先端の発明がなされているという事ではなくて、古い機械を新しい機械に買い替えると、用いられている技術が新しくなるので、買い替える前よりも効率的に生産ができるようになる、という意味です。

つまり、日本経済は毎年必ず効率的になっていくので、昨年と同じモノを作るのに必要な労働者の数は昨年より少ないのです。ゼロ成長だと、その分だけ失業者が増えることになってしまいます。だからゼロ成長はダメなのです。

 
 
では、何%成長すれば失業率が増えずに済むのでしょうか。日本では、1%程度だと言われています。これを潜在成長率と呼びます。実際の成長率が潜在成長率よりも高ければ、失業者が減っていく事になります。

潜在成長率は、国によって大きく異なります。中国では、8%程度だと言われています。これはたとえば、中国では機械化されていない農家がたくさん残っていますから、彼等がトラクターを買うと大変な効率化になり、同じ農産物を生産するのに必要な人数が大幅に減るからです。日本の農家は既に機械化されているので、最新式の機械に買い替えたからと言って、効率化の程度は中国に比べて遥かに小さいのです。

日本でも、高度成長の頃は、潜在成長率が非常に高かったので、たとえば5%成長だと不況だと言われていました。今の中国と同じように、どんどん機械化が進み、経済が効率化していたからです。今なら5%も成長する事は考えにくいですが。

潜在成長率という言葉は、景気の良い国では違う意味に使われます。「何%までは成長してもインフレにならないか」という目安となっているのです。経済学の教科書には、こちらの意味が書いてあります。以前御話ししたように、経済学者は失業の事をあまり気にしませんからね。


今日のキーワードは、「成長率は景気の鏡」です。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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