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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 第13回 GDP (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

第13回 GDP

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

12/08/20

GDP

今日は、GDPという統計についてお話ししましょう。GDPという統計は、名前はよく聞きますが、どういう統計なのかは知らない、という方も多いのではないでしょうか。まず、名前は日本語で国内総生産と言います。

この統計は、3つの方法で作られています。いずれの方法で作っても、結果は同じです。
 

第一は、日本中の会社に「どれだけのモノを作りましたか」と聞いて、それを集計する方法です。生産の面に着目して統計を作る方法です。ここで、作ったというのは、自分で作った部分だけです。40万円で部品を仕入れて車を作り、100万円で売った自動車会社は、自分で作った部分は60万円だけです。これを、付加価値と呼びます。それから、モノというのは形のある物体だけではなく、サービスも含みます。居酒屋の勘定もコンサートのチケット代もGDPです。


輸出入を考えないとすると、自動車会社と部品会社の作ったモノの合計は、自動車会社の売上になります。さきほどの例では、部品会社が作ったものが40万円、自動車会社が作ったものが60万円、合計が100万円になりますが、これは自動車会社の売上高と等しくなるわけです。そして、自動車会社の売上高は、消費者の自動車購入費用と同じです。
これは、消費者が自動車購入に使った代金を聞けば、自動車会社と部品会社のGDPがわかるという事を意味しています。テレビも洋服も同様ですから、要するに消費者が買ったものの合計額を聞けば、GDPの統計が作れる、という事になります。これが、需要の面に着目して統計を作る方法で、GDP統計の第二の作り方です。
実際には、政府や企業も自動車などを買うでしょうから、こちらにも聞く必要があります。外国人が日本の自動車を買う場合には、外国人に聞かなくても、税関に行けば日本の自動車がどれだけ輸出されたかわかりますから、これも合計に加えます。一方で、日本人が輸入車を買った場合には、日本企業が作ったモノではありませんから、合計から引く必要があります。これも税関に行けば自動車がどれだけ輸入されたかわかりますから、それを引けばよいのです。
 

統計作成の第三の方法は、企業の利益と労働者の賃金を合計する、というものです。この場合の利益は減価償却前の利益を使います。これは、付加価値が誰の手に渡ったか、という分配に着目した統計の作り方です。企業が自分で作った部分、すなわち売り上げから仕入れを引いた付加価値は、賃金として支払われる部分を除けば、企業の利益になるからです。


GDP統計は、以上のような3つの方法で3通り作られて発表されています。実際には全員に聞くのではなくサンプル調査をしていますので、若干の誤差がありますが、理屈の上では同じ数字になるはずです。


さて、統計には、フローとストックがあります。フローとは、たとえば給料のように、一年間でいくら稼いだか、といった数字です。ストックとは、貯金残高のように、ある時点でいくら持っているか、といった数字です。GDPは、給料とおなじく、フローの統計です。


給料が高い人は贅沢に暮らしている、という事は、大体はあっていますが、例外もあります。GDPも同じで、GDPが大きい国の人は豊かに暮らしている、というのは大体はあっていますが、例外もあります。

南洋の楽園で遊んでいても食べていける国では、人々は豊かな生活をしていますが、GDPはゼロです。何も作っていないからです。砂漠の国では、懸命に働いて貧しい食生活をしているとしても、GDPはゼロではありませんから、南洋の楽園よりもGDPは多くなります。


奇妙な事は、他にもあります。消費者が中古品を買ってもGDPは増えないのです。誰かが何かを作ったわけではないからです。もちろん、買った中古品をリフォームすれば、その分だけはGDPに載りますが、大した金額ではないでしょう。バブル崩壊後の節約ブームの中で、新品を買わずに中古品を買う人が増えました。これは、エコには良い事なのですが、GDPが増えなくなった一因なのです。

GDPは、国内総生産ですから、誰が作ったのかは問題ではありません。どこで作ったのかが問題です。したがって、日本企業の海外工場が作ったものは日本のGDPには載りません。日本企業が生産を海外に移すと、日本のGDPは減ることになるのです。


今日の話を聞いて、GDPと失業に関係がある事に気づかれたでしょうか。そうです。GDPが増えるほど、失業が減るのです。だから人々はGDPの統計に注目するのです。中古住宅を買っても失業は減らないが、新築住宅を建てれば失業が減ります。日本企業が海外に工場を移すと、国内の失業が増えます。この話の続きは、次回にしましょう。


今回のキーワードは、「GDPは国内総生産」です。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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