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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ナレッジマネジメント(3)-「資源ベース・アプローチ」と「持続的競争優位」 (技術経営、科学技術政策/永田晃也)

ナレッジマネジメント(3)-「資源ベース・アプローチ」と「持続的競争優位」

永田晃也 技術経営、科学技術政策

12/08/06

これまでのお話の中で、ナレッジマネジメントが1990年代後半以降に興隆した理由を解説してきました。
「情報化のパラドックス」や「ビジネスプロセス・リエンジニアリングの挫折」を背景として、情報ではなく知識が経営資源として重視されるようになってきたというお話をしてきたと思います。
経営資源としての知識の特質については、物的資源とは異なり「同時多重利用」が可能であることを既にみてきましたが、今回は、もうひとつの重要な特質を取り上げます。それは知識には「持続的な競争優位の源泉」になり得る特質があるということです。
 
【競争戦略論】
この点を理解して頂くためには、まず競争戦略に関する理論を整理しておくことが重要です。
そこで、やや遠回りになりますが、そもそも競争戦略とは何か、それに対してどのような考え方がとられてきたのかということからお話したいと思います。
競争戦略とは、一般的に、「企業がある経営目標を達成する上で、競合他社に対する優位性を確保するための基本的な構想」と定義されます。
それは全社的な経営戦略を立てる際に構想されることもありますが、複数の事業領域に関与している企業は、個々の事業領域ごとに異なる市場で異なる他社と競争することになりますから、典型的には事業レベルでの戦略として構想されることになります。

【ポジショニング・アプローチ】
さて、競争戦略については、たいへん強い影響力を持った理論が存在します。
それは、ハーバード大学ビジネススクールのマイケル・ポーター教授が、1980年に刊行した『競争の戦略』、1985年に刊行した『競争優位の戦略』などで打ち立てた理論です。
ポーターの競争戦略論は、企業の業績が、当該企業の属する産業の構造や、市場における地位(ポジション)などの環境条件によって決定されるという考え方を背景にしています。
この考え方を敷衍していくと、競争戦略の課題は、企業がおかれている環境条件を分析した上で、優位性を確保できるような環境に自らを位置づけていくことに求められます。
環境条件の分析に当たって、ポーターは競争状態を規定する5つの要因を重視しています。
それらは、既存事業領域での企業間の競合関係、当該事業に対する供給業者の交渉力、当該事業の市場における顧客の交渉力、当該事業領域への新規参入の脅威、そして当該事業に代替する製品・サービスの脅威です。
ポーターは、これら5つの要因を企業が徹底的に分析した上で、自社が優位性を確保できるポジションに位置取りしていくための戦略を採択することを推奨しています。
また、採り得る戦略の基本パターンについても、提唱しています。
価格の優位性を確保するために「コスト・リーダーシップ」を追求する戦略、自社の製品・サービスを「差別化」する戦略、そして特定の市場に「集中」する戦略です。
このような考え方から、ポーターの競争戦略論は、「ポジショニング・アプローチ」と呼ばれています。
それは、正面から撃ち合うような競争を回避する戦略であり、究極的には戦わずして勝つことを目指す戦略として特徴づけられると思います。

【資源ベース・アプローチ】
競争戦略に対するポーターの分析的なアプローチには、たいへん分かりやすい側面があり、それ故に強い影響力を持つことができたのだと思われます。
しかし、このような競争戦略論に対しては、批判も行われてきました。
最も根底的なポーター批判は、その考え方があまりに環境決定論的だというものです。
同一の環境に直面している複数の企業が、いずれもポーター的なアプローチを採れば、同一の結論に到達するかも知れません。しかし、同じ環境に直面しているからと言って、どの企業も同じ戦略を採ることができるとは限りません。
それは、それぞれの企業が保有している内部資源がユニークに異なるからです。
この内部資源のユニークネスに着目し、ポーターとは異なる競争戦略論を構築しようとしてきた論者たちの考え方は、「資源ベース・アプローチ」と呼ばれています。
Resource Based View--資源ベースの観点という英語から、RBVと略称されることもあります。
資源ベース・アプローチを採る論者たちは、単に競争優位の確保を問題にするのではなく、いかにして競争優位の持続性が確保されるのかを積極的に議論してきました。
そして、その過程で見えてきたものが、持続的競争優位の源泉となる知識という経営資源だったわけです。

この点については、次回お話いたします。
 


 

分野: ナレッジマネジメント |スピーカー: 永田晃也

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