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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 第10回 円高とは (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

第10回 円高とは

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

12/07/10


今日も中学生、高校生にも知っておいてもらいたい事を御話ししましょう。円高という言葉は、聞いた事がありますね。これは、アメリカ人が円を売り買いする時に、円の値段が高くなる事です。100円が1ドルから2ドルに値上がるのが円高です。これは、日本人から見ると、1ドルが100円から50円に値下がったことになりますから、ドル安と呼ぶ人もいます。ドル安と円高は、同じものなのです。

アメリカで1ドルのペンが日本で100円だとします。ドルの値段が1ドル100円ならば、日本とアメリカのペンの値段は同じですね。では、1ドルが50円になったら、何が起きるでしょうか?

50円を持って銀行に行き、1ドルを買って、それでアメリカからペンを輸入する人がでてきます。そうした人が、ペンを90円で売るとすれば、消費者はうれしいですね。売った人も儲かります。

でも、良い事ばかりではありません。日本にあるペンの工場はどうなるでしょうか。消費者がアメリカのペンを買うようになると、日本のペン工場は、作っても売れないので、赤字になってしまいます。作る量を減らせば、社員の数を減らすので、失業する人が出てくるわけです。

日本の観光地も困ります。ドル安円高になると、海外旅行に安く行けるようになるので、人々が国内旅行をしなくなります。すると、観光地のホテルも土産物店も、売上が落ちて赤字になってしまいます。

自動車を輸出している会社も困ります。たとえば、車1台の値段がアメリカで1万ドル、日本で100万円だとしましょう。自動車会社は、アメリカに車を輸出して1万ドルを受け取り、それを銀行で100万円に換えれば、日本国内で車を売った場合と同じだけ儲かります。では、1ドルが50円になったらどうでしょう?

1万ドルで車を売っても、50万円にしかなりませんから、赤字になってしまいます。しかし、2万ドルで車を売ろうとしても、アメリカ人は買ってくれません。そこで、車の輸出をあきらめて、車の生産台数を減らしますかもしれません。そうなると、社員を雇わなくなるので、失業する人が出てくるわけです。

このように、円高ドル安になると、よい事と悪い事が起きるわけですが、日本経済としては、差し引きするとどちらが大きいでしょうか。

まず、外国の物が安く買えて嬉しいという効果と、外国に物を売っても安くしか売れない、という効果を比べてみましょう。これについては、大体同じで、±ゼロだと考えてよいでしょう。日本は、輸出の金額と輸入の金額が大体同じだからです。

そうだとすると、ペン工場や自動車会社が生産を減らした事で失業してしまう人がいる分だけ、日本経済にはマイナスだという事になります。失業した人は、給料がもらえないのでお酒を飲むことが出来なくなります。そうなると、お酒が売れなくなり、お酒の会社も潰れてしまうかもしれません。失業した人は給料がもらえないので、税金も払いません。物が売れないと、消費税もはいりません。そうなると、政府も困ります。

このように、ドル安円高になると、喜ぶ人と悲しむ人がいますが、日本経済全体としてはマイナスの影響の方が大きい、という事になります。反対にドル高円安になれば、日本経済全体としてはプラスの影響が大きくなります。ですから、輸出や輸入の仕事をしている人だけではなく、多くの人々がドルの値段に関心を持っている、というわけです。

さて、ドルの値段は、政府が決めているわけではなく、売り注文の量と買い注文の量が一致するような値段で取引がなされます。こうした仕組みを変動相場制と呼びます。ドルの値段は、毎日、いや毎秒動いています。売り注文も買い注文も増えたり減ったりするからです。

では、どうして政府がドルの値段を決めないのでしょうか?それは、ドルの売り注文と買い注文の量が違う時に困るからです。特に、大量のドル買い注文があると、政府が持っているドルを売ってあげるだけでは足りなくなり、ドルが買えずに困る人が大勢でることになるからです。

もう一つの理由は、政府が手出し口出ししない方が経済の事はうまく行く場合が多い、という事です。規制緩和が大切だ、という人は多いのですが、これも同じ事です。この点については、別の機会に話します。

さて、アメリカのおカネはドルですが、中国や韓国やドイツなどは、違うおカネを使っています。したがって、中国や韓国やドイツのおカネの値段も、日本経済に影響します。しかし、圧倒的に大事なのは、ドルの値段です。それは、世界の貿易の多くはドルで行なわれているからです。石油や金などの値段も、ドルで決まっています。このように、世界の貿易で最も多く使われるおカネを基軸通貨と呼びます。

さて、今日のキーワードは、「円高は困る」です。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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