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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 第9回 財政赤字 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

第9回 財政赤字

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

12/07/09


今日は、中学生や高校生にも知っておいてもらいたい事を御話ししましょう。財政赤字という言葉は、聞いた事がありますね。日本の政府は、税金の収入よりも使っている金額の方が多いので、毎年新たに借金をしていて、借金の残高が非常に大きくなっています。そこで、将来日本政府は借金が返せなくなるのではないか、と心配している人も大勢います。

財政が赤字になる理由は、大きく分けて二つあります。一つは、民主主義だからです。有権者が増税に反対したり、政治家が人気取りのためにバラマキ政策を採ったりすることで財政が赤字になるのです。今一つは、景気が悪いからです。増税をすると更に景気が悪くなってしまうため、増税は難しいですし、一方で景気対策として政府が公共投資を行なう必要、つまり橋や道路を作り、失業者を雇う必要も出てくるのです。

野田総理は、財政赤字があまりに大きいので、消費税を引き上げて財政赤字を少しでも減らそうとしています。しかし、反対している議員も多く、苦戦しています。反対している議員には、二つの理由があるようです。一つは、選挙民が消費税引き上げを嫌がっているから消費税引き上げ法案に賛成すると次の選挙に通らない、ということです。また、景気が悪い時に消費税を引き上げると一層景気が悪くなるので、今は引き上げる時期ではない、という理由もあるようです。

財政赤字を減らすためには、増税の他に、国の支出(歳出と呼びます)を減らす方法もありますが、これも簡単ではありません。民主党政権になった時に、「事業仕分け」により無駄な歳出を削ろうとしましたが、うまく行きませんでした。無駄なように見える歳出にも少しは意味があるので、予算を守ろうとする人の抵抗に遭い、簡単には削れなかったのです。

では、日本政府が借金を返せなくなって破産する事はあるのでしょうか。先の事はわかりませんが、おそらく、破産する事はないと思います。そう考える理由の第一は、日本政府が外国からは借金をしていないからです。日本政府の借金は、日本人から借りているのです。つまり、皆さんのご家庭で御父さんが御母さんから借金をしているようなもので、銀行や消費者金融から借金をしている場合よりも、解決が簡単なのです。これまで世界の歴史を見ると、政府が借金を返せなかった例はたくさんありますが、ほとんどが外国から借金をしていた場合
なので、日本とは事情が違うのです。

政府が破産しないと考える理由の第二は、本当に日本政府が破産しそうだという時になれば、選挙民もあきらめて増税に賛成するだろうと考えるからです。たとえば日本の消費税率は、ドイツやフランスなどよりも低いので、ドイツやフランスと同じ税率にしよう、という法案ならば、通りそうな気がします。

もちろん、有権者が増税に同意してくれるとは限りません。しかし、どうしても有権者が増税に同意しない時には、最後の手段として、日銀にオサツを印刷してもらって国債を償還する(=借金を返済する)、という事も可能です。この場合には、世の中に大量のおカネが出回るので、激しいインフレになりかねません。つまり、日本政府が破産する事はないが、激しいインフレになる可能性はある、という事でしょう。

さきほど、日本政府は外国から借金をしていないと言いましたが、では、誰が貸しているのでしょうか。それは、主に日本の銀行です。普通は、私たちが銀行に預金をすると、銀行が預かったおカネを企業などに貸し出します。しかし、今の日本は、設備投資をする企業も多くありませんし、住宅ローンを借りる人も多くないので、銀行は余ったおカネで国債を買うわけです。国債というのは国の借用証書ですから、国債を買うというのは国におカネを貸すという事になります。

最後に、今は景気が良くありませんが、そうした時に増税や歳出削減を頑張るべきか、という事を考えてみましょう。これはとても難しい問題です。景気が悪いときには財政赤字が拡大しますから、増税や歳出削減の必要性は高まるのですが、一方で増税や歳出削減が一層景気を悪化させる事には注意が必要です。景気が一層悪くなると、頑張ったわりに財政赤字はそれほど減りません。つまり、今の日本の財政赤字は、頑張っても頑張らなくても簡単には減らない、非常に難しい状況にある、ということになります。そうであれば、私としては、景気がよくなってから頑張れば良いようにも思います。

そこで、今日のキーワードは「増税を焦るな」としましょう。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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