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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ナレッジマネジメント(1)ー経営資源としての知識

ナレッジマネジメント(1)ー経営資源としての知識

12/07/03

私は、九州大学ビジネススクールで、「イノベーションマネジメント」の他、「知識マネジメント」という科目を担当しています。これから、何回かに亘って、知識マネジメントに関するトピックを取り上げていきたいと思います。

 ところで、私の担当科目の名称は「知識マネジメント」と言うのですが、この科目が扱う領域は、「ナレッジマネジメント」あるいは「知識経営」と呼ばれることがあります。これらの中では、おそらく「ナレッジマネジメント」という呼称が最も人口に膾炙しているでしょうから、この放送の中では「ナレッジマネジメント」に統一しておきたいと思います。


■【ナレッジマネジメントとは】
 「ナレッジマネジメント」とは、1990年代後半以降に、欧米で注目され始めた経営コンセプトです。その経営手法としての側面は、「組織の内外に存在する知識を経営資源として活用し、業務プロセスの改善を図ろうとする手法」として一般的に定義されています。

 この定義に言われているように、企業という組織の内部と外部には、様々な知識が存在しています。

経営資源として活用できる知識は、どのような形態で存在しているでしょうか。


■【組織内外の知識】
 例えば、企業の内部では、その従業員によって業務に活用できる知識が保有されているでしょう。個々の従業員にではなく、習慣的な業務手続き(ルーティン)として組織に埋め込まれている知識もあります。その企業にとって重要な顧客に関する知識は、顧客情報としてデータベースに蓄積されているかも知れません。

その企業が自ら開発した技術知識、あるいは獲得した技術知識は、特許などの知的財産権として保有されていることがあります。

 企業の外部にも、様々な形で有用な知識が存在しています。例えば、企業内部に蓄積される以前の潜在的な顧客ニーズに関する知識です。

顧客の中には、その企業に対する価値評価が、コーポレート・ブランドとして定着していることがあります。それも、当の企業にとっては経営資源としての意味を持つ顧客側の知識と言えるでしょう。

競合他社に関する知識も、開示された情報という形で存在しています。また、大学や研究機関が生み出した技術知識も、経営資源として活用できることがあります。


■【経営資源としての知識の特徴】
 ナレッジマネジメントは、こうした知識の活用による業務改善を目的としてきました。

では、経営資源としての活用という側面からみて、知識にはどのような特性があるのでしょうか。

 通俗的な説明の仕方ですが、しばしば知識あるいは情報は、ヒト、モノ、カネと並ぶ第4の経営資源であると言われ、その活用が叫ばれてきました。
 ここで重要なことは、人的、物的な経営資源の活用が必ず物理的な限界に直面するのに対して、経営資源としての知識は、無限に活用できる可能性があるという点です。

 例えば、パソコンや工作機械のような物的資源を従業員の誰かが使用しているとき、それを他の従業員が同時に使用することはできません。しかし、顧客に関する情報は、同時に多くの販売担当者によって共有され、販売戦略を立案・実行するための知識として活用されることが可能です。

知識という資源は、物的資源とは異なり、「同時多重利用」が可能なのです。


■【知識と情報】
 ここで知識と情報の違い、および両者の関係を理解しておくことが重要です。
 情報とは、何かを知るための手掛かりとなるものです。そのような手掛かりは、私が使用することと無関係に生成しています。例えば、私にとって、差し当たり明日のニューヨーク往き航空便の状況に関する情報は、どうでもよいものです。

しかし、そのような情報は、私の行動とは無関係に生成しています。一方、私が自分の旅行計画を立てるために、ニューヨーク便に関する情報にアクセスし、活用するとき、その情報は私に知られた内容、言い換えれば私にとっての知識になります。

つまり、知るという行為、知識があるという状態は、そもそも情報とは異なり、主体の存在を前提にしているのです。

 情報は、それを活用する主体が存在しなければ、いくら生成されても無価値です。しかし、それが多くのひとびとの知識として活用されればされるほど、その価値は減少するのではなく、それを活用したひとの数だけ新たな価値の創出をもたらす側面があるのです。


 次回は、このような経営資源としての知識の特性に注目するナレッジマネジメントが、何故、90年代後半以降に興隆したのかについて、お話したいと思います。

分野: ナレッジマネジメント |スピーカー:

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