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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 動機づけのメカニズム(2) (社会心理、組織心理 /藤村まこと)

動機づけのメカニズム(2)

藤村まこと 社会心理、組織心理

12/06/08


「動機づけ」を日常的な言葉になおせば,「やる気」や「意欲」と言い換えることができます。人はどのようにして動機づけられているのでしょうか。

ときおり私は,大学の講義で学生の皆さんは試験勉強の際にどうやってやる気をひき出しているのかを尋ねます。すると,結構面白いコメントが出てきます。例えば,試験が終った後に自分にご褒美をあげる,おいしいものを食べにいく,遊びに行くなどのコメントはよくみられます。それを裏付ける理論に期待理論があります。これは,努力をすれば,その先にある結果が待っていると先を見通すことで人は動機付けられるという考え方です。この理論では,動機づけの大きさは3つの変数の積によって決定されます。

ここでは,親が子供に対して,試験で合格点をとれば,ゲーム機を買うと約束した状況を考えてみます。

動機づけに関わるひとつ目の変数は,自分が努力をすれば,一時的結果にどの程度結びつくかの評価です。この場合,試験で合格点をとれるかどうかですね。これは,「期待」もしくは
「主観的確率」と呼ばれており,確率は0から1の値となります(つまり0%から100%)。子供が合格点をとれると思えば思うほど,動機づけは高まります。そして,ふたつめの変数は,一時的結果が二次的結果にどの程度結びつくかという評価です。ここでは,試験での合格点を取れば,どの程度の確率で親がゲーム機を買ってくれるだろうか,という評価です。これは「道具性」と呼ばれています。もし子供が,うちの親は殆ど約束を守ってくれないと思っているなら,道具性認知は低く,試験で合格点をとれば親は確実にごほうびを買ってくれると思えば,道具性認知は高いことになります。そして,この道具性の認知が高いほど,動機づけは高まることになります。最後の変数は,ゲーム機という二次的結果が自分にとってどのくらい魅力的かという評価です。ゲーム機が欲しいと思えば,やる気は上がります。しかし,欲しくもなく,魅力も感じないのであれば,動機づけはあまり高まりませんね。このような二次的結果の価値は「誘意性」と呼ばれています。
 
これらの「期待」,「道具性」,「誘意性」の3つを掛け算して,動機づけの程度が決まると考えるのが,期待理論です。この場合,3変数のかけ算なので,どれかひとつがゼロであれば,動機づけは起きません。先の例の場合,こどもが試験で合格点をとれそうだと思い,合格点を取ればご褒美につながると思い,かつそのご褒美が魅力的であるほど,動機付けを高まります。しかし,どこかひとつでも欠けてしまうと,やる気はなくなってしまうようです。

これは仕事場面にも通じますね。仕事をがんばればその先に魅力的なことが待っている,そう思えれば,やる気は高まります。一方,がんばってもその先に何があるか分からない,その先には何もないと思えば,やる気は生じづらいものです。やる気を高めるためには,目の前の課題の向こうに何が待っているのか,少し先を見通すことも必要なのかもしれません。

次に,アトキンソンによる達成動機の理論を紹介します。この理論でも,課題の成功可能性が動機づけを高める上で重要なのですが,この理論では,人が一番動機付けられるのは,課題の成功可能性が50%程度のときだとされています。つまり,成功するかどうか五分五分のときに,人は最もやる気が出るということですね。逆に言えば,成功可能性が0%で必ず失敗すると思うときや,成功可能性が100%で確実に出来ると思う課題にはあまり動機づけを感じないことになります。部下や後輩,新入社員に仕事を任せる時には,五分五分の難易度の課題のときが,やる気が出やすいことになります。

また,この理論では,人には成功したいという成功願望を持つと同時に,失敗して恥ずかしい思いをしたくないと失敗を回避する傾向があると指摘しています。成功願望が失敗恐怖よりも強い場合は先述のように,成功可能性が50%の課題に最も動機づけられるのですが,失敗恐怖が成功願望よりも強い場合は,状況が逆転し,成功可能性が50%のときに最も動機づけは低くなり, 全く成功しそうにない課題や確実に成功する課題のときに,動機づけが高まる傾向があるそうです。

失敗を恐れる気持ちというのは,少なからず人の中に存在します。その気持ちが強すぎる場合,確実にできることのみを行い,失敗するかもしれない課題はさけるようになるかもしれません。しかし,新しい課題に挑戦し,失敗を通して,人は成長するものです。失敗をさけることは,自分の成長の機会を逃すことにつながります。もし部下や後輩が挑戦をしない場合,それは失敗をさけているのかもしれません。その際は,失敗してもいいんだと働きかけることが大事でしょう。

分野: 心理 |スピーカー: 藤村まこと

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