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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 産学官連携の概況(その2) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

産学官連携の概況(その2)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

12/06/13

前回に続いて、産学官連携の概況について解説したい。

・大学の「特許出願件数」は国内・外国出願合わせて約8,675件、前年度比1.4%減だが、外国特許に限っては9.1%増加している。

・また、特許のライセンス数は約4,968件で、前年度比9.7%増加、その収入は約14.5億円で、前年度比62.3%増加した。

・そもそも特許は、国内特許だけ取得しても片手落ちになる。
日本の市場は世界全体の10%以下なので、大学の発明を活用した製品を世界中で売ろうとすると、先進主要各国+アジアの巨大市場国くらいは特許を保有しないと、現地で戦えない。
大学の発明について国際的に特許を持つのはビジネス上極めて重要である。

・一方、特許の出願維持にはたいへんな金額がかかる。
例えば1件の特許を日本、欧米、中国、韓国あたりで取得し維持しようとすると、最初の10年で軽く1千万円を越えるコストがかかってしまう。
日本企業、特に大手エレクトロニクスメーカーは特許出願数が多いことで知られていたが、最近では数を絞って、そのぶん基盤的な特許は海外でもしっかりと権利を取るという戦略にシフトしている。
大学の特許も同様な思想で出願や維持管理が行われている。

・特許のライセンス収入が大幅に増加した理由は、東京農工大の某案件1件で数億円の収入を計上したためである。特許のライセンス収入で、1億円を超えるような特許を「ホームラン特許」と呼ぶが、まさに東京農工大が打った「ホームラン特許」で全体金額が大きく底上げされたと言える。

・一方、大学の研究成果を、新しいベンチャー企業を設立して事業化しようとする「大学発ベンチャー」は47社と、平成17年度の252社をピークに、一貫して減少傾向が続いている。

・これについて,文部科学省は、「景気悪化、それに伴う資金調達や販路開拓の難しさ、成功事例が少ないこと、起業リスクの大きさ、大学や国の支援不足、教職員の忙しさ」に原因があるのではないかと述べている。
そもそも、ベンチャー企業に関する日本全体の低迷傾向が大学発ベンチャーにも大きく影響を及ぼしていると言える。

・全く観点は異なるが、財団法人日本生産性本部が行った2012年度新入社員向け「春の意識調査」によると、「今の会社に一生務めようと思っている」という回答が60.1%と過去最高を記録し、一方、「社内で出世するより自分で起業して独立したい」という回答が12.5%と過去最低を記録した。
社会全体、特に若者世代では、就職に関する意識が極端に保守化しており、「大学発ベンチャー」の設立数の減少傾向も、その社会全体の保守化の影響を強く受けていると推察される。

・産学官連携は、企業だけではリスクが大きい研究開発や新規事業プロジェクトを大学の研究力や国の補助金を活用しながら行うものである。全体としては微増傾向にあるが、ベンチャー数の大幅減を見ると、日本の社会全体を覆っているある種の「閉塞感」を感じずにはいられない。特に若い世代にそれが顕著だとすると、社会に変革をもたらすことがより困難になりつつあるのではないかと察せられる。

・産学官連携で、リスクを寛容し変革に挑戦する機会が少しでも増えてくれればと願う。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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