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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 産学官連携の概況(その1) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

産学官連携の概況(その1)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

12/06/12

・前回まで、産学官連携の概要について説明してきたが、今日はその実績がどのようなレベルにあるかを解説したい。
・毎年、文部科学省が全国の大学を対象に産学官連携に関する調査を行っており、最新のH22年度について見てみたい。
・文科省HPによると、概況は下記の通り。
・民間企業との共同研究の件数は約15,544件、前年度比5.2%増、金額は約314億円と、前年度比6.6%増。H20からH21はリーマンショックの影響などで件数・金額共に減少していたの、若干は盛り返したところ。(※この数値は東日本大震災が起きる前(H22)のデータなので、H23実績は大幅に落ち込んでいるのではないかと予想される。)
・ちなみに、九州大学は件数で全国5位、金額で全国7位、中小企業相手では全国3位。
・うち、中小企業との共同研究は4,416件と全体の28%となっていることから、多くは大企業と大学との共同研究であることがわかる。
・また、1件あたりの金額は200万円程度と、過去からほとんど同レベルで推移しており、1件当たり1千万円を越える共同研究は689件(全体の4.4%)に留まっている。
逆に、100万円以下の件数は全体の丁度半分(50%)である。
実は、海外の企業が大学に委託する研究費は1千〜数千万レベルとも言われており、日本よりも桁違いに多いと言われている。例えば、米国某著名大学のある研究所では、企業が研究コンソーシアムに加入するだけで毎年20万ドル、さらに研究者を送り込む場合は1人あたり追加で20万ドルを要する。
これは、日本の大学のプロジェクトでは普通考えられない額である。
・100〜200万円は、企業が雇用する研究者の人件費と比べても大幅に低いという印象だが、残念ながら日本の環境では企業側が多額を支出する傾向は見られない。
一説では、この100~200万円という金額水準は、担当部署の管理職(課長〜せいぜい部長)が決裁可能な金額と言われており、「全社的な事業戦略に沿った研究開発のための産学官連携プロジェクト」という意味合いよりは、社内の部署毎に、「ちょっと大学の先生の知恵を借りたい」という主旨で共同研究を行っているという背景がある。
・分野別には、ライフサイエンスが件数の約3割を占める。ライフサイエンスの場合、基礎レベルの研究は専ら大学で行われることが多いため、その成果を活用する産学共同研究が自ずと増えることは容易に察しがつく。
次は材料やナノテクの16%で、この分野も大学の基礎研究が果たす役割が大きい。

・ちなみに、私が米国大学の産学連携担当者に対して行ったインタビューでは、日本企業の印象を次のように語っていた。

(1)日本企業は、契約前の情報収集や交渉を重視する割には、契約後はそれほど高い関心を示さない。
一方、欧米企業は「大学を最大限有効に使いこなす」意識を持つ。
(2)日本企業は、金額の根拠の明示を求め、他大学と数字を比較しディスカウントを迫る。
欧米企業はそこまで細かな金額の根拠提示を求めない。
(3)日本企業は、知財の権利保有を主張する。
一方、欧米企業は実施権があればそれで良いと考える。(所有権と使用権の違い)
(4)日本企業は、担当部署の責任者が交代したら後任に十分引き継がれず、
属人的な連携となる。一方、欧米企業は、会社として付き合う意志が明確である。


・次回は、特許出願件数や大学発ベンチャーについて解説したい。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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