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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 市場参入と参入障壁(2) (国際経営、国際物流/星野裕志)

市場参入と参入障壁(2)

星野裕志 国際経営、国際物流

12/06/15


前回に続いて市場参入と参入障壁についてのお話です。

その国の文化とか生活習慣などに十分に馴染むかは、市場参入において非常に大きな要素です。IKEAが今回は2度目だという話をしましたが、前回日本に1974年に来た時には、Do it yourself というコンセプト自体がまだ日本に無かったでしょうし、今のように多くの方がミニバンなどの車に乗っているのと違い、自分の車で購入した商品を持ち帰ることが難しかったと思います。そういう中でIKEAのモデルは、日本には早すぎたのでしょう。今だったら上手くいくかもしれませんが。これは環境と市場の問題です。

最近ファスト・ファッションが大変流行しています。海外からファスト・ファッションが出店してくると、必ず人気を呼びますが、あれは日本が本来持っているはずの「勿体ない」というコンセプトとまったく違います。良い物を長く使う、勿体ないという考え方とファスト・ファッションは正反対にあるので、どうなるのかと思っていましたが、今まで見る限り日本でも受け入れられているようです。ZARAやH&Mなどのメーカーの動向は、なかなか読み辛いところがあります。

今回は、その先の話をしましょう。
新しい市場に入るとき、既に活動している企業があるという話をしました。当然先に事業を展開している先行企業が、後発で参入する企業を歓迎するわけはなく、なんらかの防衛戦術をとってバリア(参入障壁)を高くしようとします。障壁を高くするためは、ひとつは新規参入する魅力を減らすことがあります。例えば、そこで販売されている商品が非常に安く、そこに参入してもなかなか利益を得られないとなると、敢えてその市場に参入する事は考えません。例えば、新規参入が発表されるまでは、ある程度高値であった製品の価格を敢えて低く設定する事で魅力を減らしてしまいます。新規参入の航空会社が発表する低運賃に対して、大手の航空会社は必ずといって良いほど、それに合わせた割安な運賃を設定することで、新規参入に人がそれほど流れません。

次がスイッチングコストを高めることです。スイッチングコストとは、既存のものから新しく切り換える際に生じる費用のことですが、それを大きくすることで、新しいサービスや商品を導入することを思いとどまらせることです。例えば今でこそ携帯電話は電話番号のポータビリィティがありますが、以前は会社を変えたら番号を変えなくてはならず、非常に大きな障壁でした。そうなると、新規商品の購入をためらうことになります。

ただ市場の状況によっては、そういう防衛戦術が効果を出すケースとそうでないケースがあると思います。それには3つありますが、1つは参入許容です。それは、市場や購買力が急成長していて、既存企業がいくらバリアを高めようとしても、商品の供給が追いつかない場合とは新規企業の提供する商品に飛びつきます。

2つ目が参入閉鎖という状態ですが、これは上記と逆の状態です。経済成長も無く市場自体が小さい、もしくは縮小している場合であれば、既存企業が反対するまでもなく、新規企業が参入しても事業がうまくは行きません。かつて東南アジアで日本製品の排斥がありましたが、自国の製品を使おうという考えが非常に強い国では、外国企業が良い物を安く持ち込んだとしても、なかなかそれが受け入れられません。これが、参入閉鎖という状態です。

3つ目が参入阻止という状態です。これがまさに先行する企業が新規参入する企業を阻止する場合です。例えばスイッチングコストを高める、参入する魅力を減らしてしまう、あるいはある程度の規模で参入しないとコスト的に見合わない仕組みを作ってしまうことです。流通企業の例でもお話をしましたが、既に国内の流通チャンネルやサプライヤーをしっかりとコントロールして、新規企業がアクセス出来ない状態を作ってしまうということも考えられます。

このように参入許容であれば新規の参入が比較的容易ですし、参入閉鎖であれば、どんなに努力しても困難ですし、3番目の参入阻止であれば、先に入っている企業は後発企業を押し留める努力をする、3つの状況があると考えられます。

マクドナルド、セブンイレブンなどのコンビニエンスストアは、日本の市場にしっかりと根付いています。二度目の参入のIKEAは、定着に成功するでしょうか。世界的な大手企業が日本に参入しながら撤退している例があります。それは先に事業を行っている日本企業が、新興の参入者を押し止める努力をした結果だと思います。

今日のキーワードは、再び「市場環境と参入障壁」です。つまり市場の環境が異なると、参入障壁が意味を持つ場合と意味を持たない場合があるということです。


分野: 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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