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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 第6回 外からのショック (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

第6回 外からのショック

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

12/05/28


景気は勝手に方向を変える事はありません。政府日銀が景気の方向を変えるか、外からのショックで方向が変わるか、どちらかです。政府日銀の財政金融政策については前回お話ししましたので、今日は外からのショックについてお話しましょう。

最も有名なのは、1973年の石油ショックです。順調な高度成長を続けていた日本経済でしたが、石油の値段が一気に何倍にもなった事で激しいインフレに見舞われ、厳しい引締め政策の結果マイナス成長となった事件です。高度成長が終わる引き金を引いた事件としても重要です。

1985年のプラザ合意も重要です。これを契機として急激な円高が進み、景気が悪化しました。景気悪化自体はそれほど深刻ではなかったのですが、円高に対応して日本企業の海外進出が本格化したこと、政府日銀の景気対策が効きすぎてバブルになってしまったことなどによって、戦後経済史の大事件として長く記憶されることとなりました。

1980年代後半のバブルと、その崩壊に伴う90年代の不況も、株価と地価の変動が景気に影響を及ぼしたという事でしたから、国内のことではありますが、景気を考える上では外からのショックだったと言えるでしょう。バブルとその崩壊が景気に及ぼす影響については、次回ゆっくりお話しします。

2000年にはアメリカでITバブルが崩壊し、アメリカの景気は急激に悪化した後、急速に回復しました。その結果、日本の輸出が急激に減少した後急激に回復する事になり、日本の
景気もジェットコースターのように上下しました。

記憶に新しいところでは、2008年にアメリカでリーマン・ショックが発生しました。その結果、日本の輸出が激減し、株価が暴落し、急激な円高が進み、日本経済は非常に大きな痛手を被りました。リーマン・ショックの影響はとても複雑ですが興味深いので、いつか機会があればお話ししたいと思います。

こうして見ると、外からのショックは、景気を悪くさせる物がほとんどです。一般に予想外の大事件には、悪いものが多く、良いものは少ないですが、景気に関してもその通りです。つまり、予想できる範囲で景気を予想すると、予想外の事件で景気が予想より悪くなる場合が多い、という事です。弱気派の予想屋にとっては結果オーライとなる場合が多い一方で、強気派の予想屋にとっては、悩ましい問題です。

上で見たように、日本の景気は海外からのショックで方向を変える事が多いので、海外のことにしっかり目配りをしておく必要があります。他の先進国とを比べても、日本経済は外からのショックで景気が方向を変える場合が多いのです。理由は二つあります。

第一は、国内の需要が弱い事です。初回に御話ししたように、日本人は勤勉で倹約しますから、どうしても国内でモノが売れ残ります。そこで、余ったモノを海外が買ってくれるか否かが重要な関心事項になるのです。国内で作ったモノが国内で売れる国では、海外経済の事はあまり気にしなくてもよいのですが、日本はそうではないのです。

第二は、為替レートの影響を受け易い事です。米国は、貿易を自国通貨であるドルで行なっていますから、1ドルが何円だろうと影響はほとんど受けません。ドイツやフランスも、貿易の多くは自国通貨であるユーロで行なわれているので、やはり為替レートにはあまり影響されません。一方で、日本は貿易の多くを他国の通貨で行なっていますから、1ドルが何円であるかによって、大きな影響を受けるのです。

さて、上で見た例は、大きなショックばかりでしたが、実際には小さなショックも沢山外から来ています。景気を予想する時には、これも問題になります。日本の景気が上を向いている時に、海外から悪いショックが来たとしても、ショックが小さければ日本の景気は方向を変えずに引き続き上を向いていくでしょう。しかし、ショックが大きければ、景気が方向を変えて下を向いてしまうでしょう。では、中くらいのショックだったらどうでしょうか。

海に浮かんでいる小さな船に中くらいの波が来て船が傾き、船が転覆するかどうか分からない時には、持ちこたえるかどうかの僅かの差が結果に大きな影響を与えます。景気も同じです。外からのショックがもう少し大きければ景気は方向を変えるだろうし、もう少し小さければ変えないだろう、という時には、景気の予想屋たちは大いに緊張して事態を見守っているのです。長年の経験と勘がフル稼働する局面ですが、僅かの差で予想が当たるか外れるか決まるので、真剣です。

景気の予想屋にとって一番いやなのは、景気が回復しはじめたばかりの時のショックです。病み上がりの病人が少しでも油断すると再び病状が悪化してしまうように、比較的小さな
ショックでも景気が再び悪化してしまう事が少なくないからです。

今日のキーワードは、「海外経済から目を離すな」です。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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