QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 第5回 財政金融政策 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

第5回 財政金融政策

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

12/05/25


前回は、政府日銀が景気の方向を変える事があるという話をしました。これを財政金融政策と呼びます。今回は、これについてお話しましょう。

景気が悪い時には、企業は儲からないですし、失業する人も多いので、景気を良くしようと政府日銀が努力するのは当然です。では、反対に、景気が良すぎる場合には、政府日銀が景気をわざと悪化させるのですが、それはなぜでしょうか。それは、過ぎたるは及ばざるが如しと言って、景気が良すぎるとモノの値段がどんどん上がるインフレになってしまうので、やはりそれも困るからです。インフレを阻止する為には、景気を犠牲にしても仕方がないというわけです。

景気の方向を変える手段としては、財政政策と金融政策があります。財政政策は、景気が悪い時に政府が公共投資や減税などによって景気を回復させることです。反対にインフレが心配な時には、公共投資や減税を控える事はありますが、インフレ対策として増税をする事は、なかなか国会を通らないので、滅多にありません。

景気対策として最も効果があるのは、公共投資です。政府が橋や道路を作ることで、セメントなどの需要が増え、建設労働者の雇用が生まれるからです。山奥の人も車も通らないような所に立派な道路ができていて、無駄だと思う事も多いのですが、無駄な道路でも景気対策としての役には立っているわけです。もちろん、無駄でない道路を作る方が良いには決まっていますが。

無駄な道路が多いということもあって、最近は公共投資の人気が無いため、不況になっても公共投資が余り増えません。公共投資は無駄が多いと考える人が多いからなのでしょうが、景気対策としては最も効果があるものなので、もっと増えて欲しいと思います。その意味では、東北の復興を目指した公共投資が増加するのは良い事です。山奥に無駄な道路を造るのとは
違って被災地の人々のために役に立つ道路が出来、景気にもプラスになるからです。

所得税減税のように、個人の懐を豊かにする事で消費を増やしてもらおう、というのも財政政策です。しかし、景気が悪い時に所得税減税をしても、消費者が将来に不安を感じているため、貯金してしまって消費に廻らない場合も多いようです。子供手当も、基本的には減税と同じです。もっとも、子育て世代はカネがかかるので、手当分が貯金よりも消費に廻ると期待できる事と、少子化対策としても役に立つと期待される事は、所得税減税とは違う点でしょう。

比較的効果があって、しかも無駄な物が作られないのは、エコカー減税のようなものでしょう。エコな社会を実現し、自動車の需要が増え、しかも人々が欲しかった自動車が手に入るわけですから、望ましい政策と言えます。対象となる品目などを上手に選ぶ事が必要な事は言うまでもありませんが。

景気の方向を転換させる手段として、財政政策と並んで重要なのは、金融政策です。これは、日銀が、世の中に出回るおカネの量を調節することで、世の中の金利を上げたり下げたり
コントロールするものです。世の中に出回るおカネの量を増やして金利を下げることを金融の緩和、減らして金利を上げる事を金融の引締めと言います。

これは、インフレ対策としては抜群の力を発揮します。景気が良すぎる時に世の中の金利を高くすれば、借金をして工場や住宅を建てる人が減るので景気は簡単に悪くなるからです。

しかし、不況対策としては、今一つです。現在は日銀が世の中に対して充分に資金を供給していますから、世の中の金利はほとんどゼロですが、景気回復には余り役立っていません。景気が悪くて現在の工場が充分に稼働していない時には、金利がいくら低くても、借金をして新しい工場を建てる会社は多くないからです。

財政政策、金融政策の他に、為替介入という手段もあります。政府がドルを大量に買ってドルの値段を高くすれば、日本の輸出が増えて景気が良くなる、というわけです。もっとも、これはアメリカ政府などを怒らせる可能性もありますから、あまり大胆には行なえないようです。

今まで御話ししてきた事を総合すると、景気を良くする場合は財政政策が主役で金融政策は脇役、インフレを防ぐ場合は金融政策が主役、財政政策が脇役となります。

今後しばらくは、インフレよりも不況が問題でしょうから、財政政策に頑張ってもらう必要があるわけです。しかし、日本は財政赤字が大きいために、これ以上財政赤字を拡大するわけにはいかないと言って財政政策に反対している人も大勢いますから、過大な期待は禁物です。

そこで、あまり効果は期待できませんが、金融も思い切って緩和して、少しでも景気回復に貢献する事が期待されています。日銀も、期待に応えようと、頑張っているようです。

今日のキーワードは、「不況対策には財政出動を」です。


分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ