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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 第4回 景気の基本 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

第4回 景気の基本

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

12/05/17


今回から、いよいよ実際に景気を見る時の話にはいります。景気を見る際に最も重要な事は、景気は勝手に止まらない、という事です。景気は、ひとたび良い方向を向くと、そのまま
どんどん良くなっていく性質があります。

まず、物が売れるようになると、企業が物をたくさん作るようになり、そのために人を雇い、給料を払います。給料をもらった人は物を買いますから、企業はますます物が売れるように
なります。他にも、企業が物をたくさん作るようになると工場を建て増ししたくなり、鉄やセメントや機械類を買うことになります。こうして、鉄会社、セメント会社、機械メーカーの
売上も増加します。反対に、物の売れ行きが落ち始めると、企業が物を作らなくなり、人を雇わなくなり、失業した人は物を買わなくなり、といった悪循環が続くわけです。

でも、景気が無限によくなったり無限に悪くなったりした事はありません。それは、景気の方向を変えさせる力が外から働くからです。景気の方向を変える力は、大きくわけると
2種類です。第一は、政府や日銀が方向を変える場合で、財政金融政策と呼ばれます。
景気が悪い時には政府や日銀が景気を回復させようとしますし、景気が良すぎてインフレが心配な時には政府や日銀が景気をわざと悪くさせる事もあります。こうした政府日銀の
財政金融政策については、次回詳しく御話しします。

景気の方向を変える力の二つ目は、外からのショックです。リーマン・ショックなどによって日本の景気が急に方向を転換してしまう事は、決して珍しくありません。こうしたショックについても近いうちに詳しく御話しします。

景気の基本がわかりましたので、ここからは景気の予想についてです。景気自体は勝手に方向を変えないわけですから、景気が上を向いている時の景気予想は簡単です。「景気は上を向いているから、来年は今年より景気が良いだろう」という事です。あとは、政府日銀が景気の方向を変えるかどうか、外からのショックが来そうかどうか、を考える事になります。

景気が下を向いている時も、基本は同じです。もっとも、景気が下を向いているときは、政府日銀が景気対策を行ないますから、景気対策の効果の大きさを予想するという事になるわけです。これは、難しい作業です。プロたちが正確に予想できるようになれば、政府日銀が丁度良い景気対策を採ることができて、景気の波は小さくなるはずなのですが、なかなか予想が当たらないので景気の波が大きくなってしまうのです。

「今の景気は何点です」といった統計はありませんが、仮にそうした統計があるとして、それをグラフに示せば、上がったり下がったりして波のような形になるはずです。

そこで、景気を論じる際に、方向を論じるのか水準を論じるのか、という事が問題となります。方向というのは上を向いているか下を向いているかという事で、水準というのは景気が良いか悪いかという事です。春のはじめは、方向としては暖かくなっていきますが、水準としてはマダマダ寒いですね。これと同じで、景気が回復を始めたころは、景気は上を向いていますが、決して景気が良いとは言えません。では、方向と水準はどちらが大切でしょうか。

世の中の人は、景気が良いか悪いかを気にしますが、景気の予想屋は景気の方向を気にします。景気が回復を始めれば、そのまま景気は上をむいたまま進みますから、いつかは景気の水準も良くなるだろう、と考えるわけです。そこで、予想屋は、景気が回復を始めた段階で、「景気回復宣言」を出します。これが、世の中で誤解を招きやすいのです。世の中の人は、景気の水準を気にしているので、景気回復宣言を聞くと不思議に思います。「景気はちっとも良くないし、中小企業の多くは赤字なのに、政府は景気回復宣言など出している。ちっとも庶民の事がわかっていない」というわけです。

しかし、政府が間違っているわけではないのです。政府は方向の話をしているのです。政府は、中小企業が赤字な事を知った上で、「でも、赤字が減り始めたでしょう?だから、しばらく待てば黒字になりますよ」と言っているのです。

皆さんが重い病気にかかって高い熱が出て、ようやく熱が下がったとします。御医者様が「よかったね。死なずにすんだね。あとは、無理をしなければ、いつかは退院できますよ」と仰ったら、皆さんはどう思いますか?「先生、私はちっとも元気じゃありません」と怒る人はいませんね。御医者様も患者の皆さんも、方向の話をしているから、誤解がないのです。景気も同じように考えていただければと思います。

さて、今日のキーワードは、「景気は方向が大事」です。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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