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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 第3回 情報の受け止め方 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

第3回 情報の受け止め方

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

12/05/16


今日のテーマにはいる前に、先月東洋経済から本を出したので、紹介させて下さい。山田昌弘さんという家族の専門家との共著で、「家族の衰退が招く未来」という本です。内容は、「景気が悪いから若者が就職出来ない、就職出来ないから収入がなくて結婚出来ない、だから少子化が進む。そうして少子化が進むと、経済は一体どうなるのか」というものです。

では、今日のテーマである情報の受け止め方について、まず始めに黙っている人の事を考えるというお話をしましょう。会社で会議をしているとき、会議室のエアコンが寒すぎると文句を言う人がいたとして、皆さんクーラーを切りますか?文句を言う人がいるとついクーラーを切りたくなりますが、これは実は大変難しい問題です。文句を言っていない人は、もしかすると今が丁度良いと思っているかもしれません。ですから文句を言った人の言う事を聞いてクーラーを切ってしまうと、途端に他の人が暑いと文句を言い始めるかもしれません。満足している人は文句を言わないので、文句を言ってきた人の話だけを聞いていると、間違った判断をしてしまうということです。

米の輸入自由化が時として話題になります。そうなると農家の方々は生活がかかっていますから、必死に反対運動をします。けれども我々サラリーマンは、外国の米を安く食べられたらいいと思っても、わざわざ賛成運動をしたりしません。ですから、政治家から見ると米の輸入自由化をすると票が大幅に減りそうな感じがして、自由化の法律がなかなか成立しないのです。しかし、よく考えるとサラリーマンの方が票の数は多いので、米の自由化をした方が政治家の票が増えるのかもしれないと、サラリーマンの私は思っています。

企業の判断に関しても同様の事が言えます。企業はお客さまの声を聞くべきです。例えばお客さま相談室に製品が壊れたという苦情が来たら、もっと頑丈な製品を作ろうとするのは当然の事です。けれども、頑丈な製品を作ろうと思ってデザインが悪くなったり、製品が重たくなったりすれば、顧客は逃げていってしまいます。顧客が逃げていってしまった時に、もっとお客様の声を聞かなくてはいけないと、益々頑丈で重たくてデザインの悪い製品を作ってしまうという事もあり得ます。逃げていった顧客はいちいちクレームしてこないので、クレームした顧客の事だけを聞いていると間違った判断をしかねません。言うは易く、行うは難しですが、情報をとる時には、黙っている人の事にも気を付ける必要がある、ということです。

次は、マスコミからの情報の受け止め方です。マスコミの伝える情報には、さまざまな偏りがあります。第一は、珍しい事がニュースになる、という事です。話題性があるからです。犬が人を噛んでもニュースにはなりませんが、もしも人が犬を噛んだらニュースになるでしょう。経済の面で言えば、例えば牛丼や薄型テレビの値下げ競争は頻繁にマスコミに出ていますから、どんどんデフレが進んで物価が下がっているという印象を受けますが、実は値下がりしている品目が珍しいから報道されているので、物価全体がどんどん下がっているわけではありません。統計を見ると、消費者物価は年間に大体0.3%ぐらいしか下がっていないのです。この事からの教訓は、牛丼と薄型テレビだけが頻繁に報道されるのであれば、「報道されない品目はどうなっているのだろう」と考えてみるべきだ、ということです。なかなか難しい事ですが。

マスコミ情報を利用する時に今1つ気を付ける事は、マスコミは良い話より悪い話の方を好むということです。儲かっている会社の話より、問題を抱えている会社の話をしたがります。政府に対しては、毎日のように批判をしていますが、マスコミが政府を褒めたという話は滅多に聞きません。政府も良い事も悪い事もしているわけですが、問題点を指摘する方がカッコイイとマスコミの方は思っているのでしょう。将来の予想についても、大丈夫というより心配ですと言う方がマスコミは好きなようです。例えば「富士山が大爆発したり、大恐慌が来たりする可能性は小さい」というよりも、そういう「可能性がある」と言う方がマスコミの好きな表現でしょう。日本人が悲観的な話を聞きたがるから、という事も一因なのかもしれません。

それから、以前にもお話しましたが、マスコミは極端な話をして目立つ人、面白い話をする人を好みます。視聴者が面白いと思うような人を出せば、視聴率が稼げるという事がマスコミ側の事情としてあるのですから、それが分かった上で、少し割り引いて話を聞かないといけないでしょう。

最後に、今日のキーワードは「声無き声を聞け」です。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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