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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 無料サービスの値段 (産業政策、通信政策、通信経済学/実積寿也)

無料サービスの値段

実積寿也 産業政策、通信政策、通信経済学

12/05/11

今日のテーマは無料サービスの値段です。講師は実積寿也で、通信産業や産業政策について経済学の観点から分析しています。

■無料サービスの値段
今日のテーマは無料サービスの値段ですが、とくにインターネット上に溢れている無料サービスの話をしていきます。ネット上には色々なサービスが無料で使えるケースが非常に多いですが、少し前までは、こういった様々なサービスは、実はパソコン上で提供されてきたものです。

つまりソフトウェアの購入あるいはダウンロードにお金をいちいち払って使っていたということになりますが、インターネットの場合は大体それらが無料で使えるようになっているというのが面白いところです。
例を挙げると、メールやカレンダー、他にもワープロ、表計算、オンラインゲームといったものが「無料」で使えるようになっています。


■無料サービスのビジネスモデル
しかし、無料のサービスはうまくやっていけるのでしょうか。
消費者にとっては非常にありがたい話ですが、サービス提供者側あるいは社会全体としてみた場合には、そういったサービスを提供する為に必要な費用というのをどうやって負担していくかが問題になります。

例えば 、Google は検索サービスやワープロやカレンダーを無料で提供しています。ではGoogleが本当に無料でサービスを生産しているかというとそんなことはありません。2011年度の財務データを見るとサービス提供の費用として132億ドルという大金をかけているわけです。それに対して収入は、我々消費者からは取ってないですが、広告収入という形で379億ドルの売上を上げています。Googleはグローバル企業ですし、これぐらいの巨大額になるわけです。

つまり、最終的な消費者からお金を取らずに広告主からお金を取ることで無料サービスは提供されているということになり、広告企業がサービスの費用を負担していることになります。これが無料サービスのビジネスモデルのひとつのスタンダードです。


■利用者の支払う対価
しかし、だからといって我々は本当に無料で使っているのでしょうか。

テレビでクライマックス直前にコマーシャルが入るということがよくありますが、ネットにも同じようなことが多くあります。実際にサービスを提供する前に数秒間のコマーシャルを見せられたり、あるいは使っている最中に画面の下部にコマーシャルが入ったりすることがあると思います。それを見るために我々は自分の時間というものをかけているわけですから、言い換えれば時間という貴重な資源を差し出してサービスの提供を受けているということになります。それを金額的に換算するとどうなるでしょうか。簡単に言えば、時間の価格というのは我々の時給の水準に反映されます。つまり無料サービスを利用する時には広告を見る時間×時給、という費用を払っていることになります。


■よい無料サービスとは
無料サービスは複数の事業者が提供しているので、市場原理に従いどちらの方がより優れた無料サービスかをめぐる競争が発生します。それは我々にとってはサービスの使い勝手をめぐる競争になりますし、広告主の側から見ると、どちらの広告システムの方がより消費者にウケるか、言い換えれば、どちらの無料サービスの提供する広告スペースの方がより効果的かをめぐる競争になります。


■無料サービスと個人情報
広告を見せられるということは利用者にとってコストが発生することを意味しますから、そうすると消費者を惹き付けるためには、より広告に触れる時間が短いサービスを提供する競争を行う必要があります。一方で、効果的な広告スペースを提供するためには、消費者へのアピール力を上げ、広告費用あたりの効果を改善する必要があります。無料サービスの提供者は、少ない広告時間でも十分な収入を上げられるよう、高い広告効率性をもったシステムをより高い値段で販売する必要がある訳です。さて、広告の効率性を上げる為には何らかの情報を必要としている人の元に適切な広告を届けるというシステムを作り上げる必要があります。そのためには、無料サービスの提供者は自分のサービスを使っている人がどういう人かという情報を集める必要があります。それが最近言われているプライバシーの問題につながってくる訳です。

無料サービスを使う時に、メールアドレスを入力して下さいだとか、普段使っている携帯電話のサービスは何ですかというアンケートに答えなければならない場合があります。そういったものを集めて、「私達のサービスはこういった属性を持った人が使っている」という情報込みで広告主に広告掲載スペースを売るというのが、無料サービスをめぐる競争の姿ということになるわけです。


■まとめ
つまり、無料サービスを利用する際、時給相当分だけでなく個人情報も我々消費者側は提供しているのです。財布からお金が出て行くという事ではなくて、時間あるいは個人情報という貴重な資源を提供してその対価として無料サービスを利用しているんだと理解することが大切です。

最後に今日のキーワードは,ネットの世界だけでなく色々な場面で言えることですが、「タダほど高い物は無い(There is no free lunch.)」ということです。

分野: マーケティング 国際ロジスティクス |スピーカー: 実積寿也

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