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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > キャッシュフロー (企業財務管理、国際金融/平松拓)

キャッシュフロー

平松拓 企業財務管理、国際金融

12/04/25


前回はファイナンシャル・マネジメントとは財務経営、財務管理で、キャッシュフローが基本になるという話をしました。今日は、そのキャッシュフローについてお話をします。

一般的に企業は利益を獲得する為に活動すると言えますが、多くの場合、利益を獲得するということと、お金、即ちキャッシュが入ってくる事とが漠然と同じことのように考えられているのではないかと思います。つまり、利益が上がれば手元に現金が残るはずで、従って、利益さえ上がっていれば、企業はつぶれることはなく、安泰であると考えられているわけです。しかし実際には、会計上の利益は上がっていながら、キャッシュの流れ、即ちキャッシュフローが滞るために、倒産の危機に見舞われる企業は決して少なくありません。今日はこの、利益とキャッシュフローの違いから考えてみます。

会計上利益とは、ある商品などの売上が発生した時点で計上され、その大きさは売上とその売上の為にかかった費用との差額と定義されます。「売上が発生した時点」とは、商品を買い手に引き渡したタイミングなど、販売が実質的に確定したと考えられる時点のことで、従って、利益の計上は必ずしも商品の代金を回収した時点と一致しません。また、「その売上の為にかかった費用との差額」とも言いましたが、「その売上の為にかかった費用」とは、例えばその販売された商品の生産に用いられた原材料の購入費用などのことで、実際にはずっと昔に仕入れられ支払が済んでいたり、場合によっては売上計上の時点でも支払いが済んでいない可能性すらあり、費用の支払のタイミングとも普通は一致しません。つまり、実際は、利益が計上されたからといって利益に相当する金額が手元に残るという関係にはなく、キャッシュのインフロー、アウトフローは利益とは別の原理で生じている訳です。

これに対して、キャッシュフローはこうしたキャッシュのインフロー、アウトフローを直接捉えるもので、金銭出納帳のように企業活動に関わるキャッシュの動きそのものを示します。キャッシュフローと対比して考えると、利益は企業の実際の取引に会計上のルールに基づく「人工的な調整」を加えた結果と言えます。なぜそのような調整が必要かといえば、会計上の
利益はの数字は、単に一期だけの企業の偶発的な業績を示すものでなく、長期に亘り、かつ他の会社とも比較可能な形で、当該企業の利益を上げる力を示すべきものだという考え方からです。

それでは、キャッシュフローを管理・経営していく事にはどのような意味があるでしょうか。先ず1つ目は資金繰りとしての重要性です。企業は譬え数年間利益を出せずに損失を計上し続け、その結果所有資産金額よりも負債金額が多い債務超過という状態になったとしても、お金さえ繋がれば、継続することが可能です。しかし、お金が一瞬でも枯渇すると、その途端倒産します。従ってキャッシュが枯渇しないように、会社の財務を管理する事が極めて重要です。もう1つは、ファイナンシャル・マネジメントの目的である、企業価値向上の為の重要性です。企業価値を高める為には、計測が必要であり、計測の対象としては比較等の目的で様々な人工的な調整を施され、且つ調整に主観の入る余地のある利益のような指標ではなくて、「誰が捉えても同じ」という客観性を持つキャッシュフローが適しています。

企業の価値計算においては、1年の運用利回りや1年後に実現するキャッシュフローの不確実性というリスクも評価しなければなりません。つまり今期の10億円のキャッシュフローは、来期の10億円のキャッシュフローよりも価値があるとみなします。従って、企業価値を把握する上では、その時点での現金の動きをそのまま捉える必要があり、その点でキャッシュフローが用いられるのです。

「キャッシュフロー経営」という言葉が使われるようになったのは、それ程昔のことではありません。その背景には、銀行と企業との関係が変化して、従来のように企業は利益に集中していれば良いという状況ではなくなって、資金繰り面での防衛策としてキャッシュフローを見ることが重要になったという事があります。しかし、それだけではなくて、企業の価値そのものを取引するM&Aなど、新たな事業展開のための選択肢が企業経営に取って重要性を増してきたことも背景となっていると言えます。


分野: ファイナンシャルマネジメント |スピーカー: 平松拓

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