QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 成熟期のマーケティング(マーケティング/出頭則行)

成熟期のマーケティング(マーケティング/出頭則行)

12/03/28

今日は成熟期のマーケティングの実情をお話します。

最近世界の金持ち10位が発表され、カルロス・スリムというメキシコ人が2年連続
1位でした。10位以内には常連のビル・ゲイツやバフェットの他に、インドから2
人、
中国から2人、ブラジルから1人入っていて、必ずしも、アメリカが全部を占めて
いるわけではありません。金持ちは、全員GDPが大変大きな国か、1人あたり
GDPが大きい国にいるわけではないのです。メキシコは、アメリカへの不法入国
者が後をたたない、犯罪も多い、開発途上の新興国ですが、通信会社の人間が
世界一の金持ちであることからもわかるように、企業が栄えても国が栄える保証は
ありません。

日本では、企業が栄えれば国は大丈夫という論者もいますが、この事例を見ると、
にわかには信じがたいと思います。というのは、実際、外資企業の幾つかは、アジ
ア総本社機能を日本から上海やシンガポールに移しています。彼らは日本市場は
成熟というより、衰退化していく市場だと見切っている可能性もあります。ですから、
企業が元気であれば、それで国が栄えるという保証はないのではないかと思います。
けれども我々はこの国に住むことを避けられません。日本では少子高齢化が進み、
成熟化が進んでいくことを現実としてしっかりと受け止め、成熟期であっても衰退
期にさせず、実りのある熟成期を迎える手立てを考え、そのことから逃げてはいけ
ないのではないでしょうか。

この頃の若者は覇気が無く、海外に目を向けず、MBAへの留学も減っていると言
われています。しかし、アメリカのビジネススクールで教えているのは今もって成

戦略や勝つ経営です。日本市場が成熟、極端に言えば、現実には衰退期を迎えて
いるかもしれない中で、勝つ経営や成長戦略が虚ろに響いている可能性があります。
覇気が足りないこととは違った次元で、アメリカに行って、それらを学ぶことに虚
しさを感じているのでしょう。市場主義が行き詰っているわけですが、それに代わ
るものが見つかっていないのに、いまだに成長や経営がビジネス教育の重要な題目
になっています。いまもファイナンシャル系の企業が莫大な利益を手にして、高額
な報酬を得るというのは、あまり変わっていません。

ただ、現実には明るい光も見えてきています。日本ではお題目のように色々な企業
が社会的責任CSRを唱え、一種の免罪符としてきた面がありましたが、最近は地
に着いたCSR、地産地消などエリアマーケティングと一体化させて、昔はコスト
センターだったCSR部門をプロフィットセンターとして考える動きも芽生えてい
ます。
「地球と共存する経営」という本が最近日経から出版されました。三菱ケミカルと
いう大企業グループの総帥である小林さんが執筆され、現実の経営ではMBA的
視点(四半期毎に利益を追求する視点)は大事であり、また、将来の商品のタネを
見つけるためにMOT(マネジメント オブ テクノロジー)も肝要だけれども、地球

有限なのだからMOS(Management of Sustainabilityマネジメント オブ サステナ
ビリティ)的視点も同様に重要であり、それぞれ時間軸は違うということを言っています。
MBA的視点であれば四半期、MOT的視点なら年単位であるが、資源の有効活用
やサステナビリティとなると、もっと長いスパンで経営を考えていかねばならず、
この三つ(MBA、MOT、MOS)を統合した経営姿勢が必要であると唱えています。
この本を読むと、アメリカの有名なコンサルティング会社から得られた示唆は限られ
ていて、新たな経営の形を自分たちで考えざるを得なかったことがわかります。なぜ
ならば、資源の問題でも成熟化の問題でも高齢社会でも、日本が先頭を切っているか
らです。アメリカから輸入翻訳されただけのビジネス教育は、もはや日本では役に立
たなくなりつつあります。日本固有のビジネス教育が待望されています。

分野: 出頭則行教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ