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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 国際企業分析(その1) (経営リスクマネジメント/中村裕昭)

国際企業分析(その1) (経営リスクマネジメント/中村裕昭)

12/03/23

これまで主に経営リスクマネジメントの話をしてきましたが、今回は九州大学ビジネススクール(QBS)で開講している国際企業分析についてお話していきます。


■国際企業分析とは 
「国際企業分析」というと国際的な企業を対象に会社の数字を分析するような印象がありますが、具体的にはどんなものなのでしょう。
学問領域としては経営分析というカテゴリーに入りますが、多くの研究者や実務家が様々なタイプの研究を進めています。
QBSにおける国際企業分析では、「グローバルに活動している企業で日本やアジアにも関係が深い外国の企業」というものを対象としています。

分析の中身は会社の数字、すなわち財務諸表などの分析は当然行いますが、それだけではなく、定性的な要因も分析対象としています。
例えばブランド力あるいは技術力といった経営資源のクオリティ、経営戦略の妥当性、コーポレートガバナンスの質なども分析の対象としています。
つまり国際企業分析では、企業の総合力を分析するということを行っています。


■国際企業分析を学ぶ意義 

現代のようにグローバル化したビジネス界では、否応なしに外国企業との接点が増えてきます。
例えば、取引先が外国企業であったり、外国企業と提携を行ったり、株主に外国企業が入ってきたり、外国企業が買収の矛先なると言う場合も有ります。
それだけでなく外国企業が競争相手であることも有りますし、海外進出を行う日本企業は、現地において外国企業に取り囲まれるということにもなります。
したがって、自社の経営に密接に関係する外国企業をしっかりと分析しておく事は、自分の身を守るためにも、また積極的に打って出るためにも必ず必要になります。

つまり、ビジネスの現場で戦うには、まず相手のことを良く知る必要があるわけです。
だからこそ財務分析だけではなく相手の総合力を分析する必要がある訳です。

例えば、相手の企業が財務上とても強い企業であっても、安心して取引ができる企業かどうかは別問題ということがあります。
また、利益至上主義の企業、あるいは自己中心的な企業は、敵に回しても味方にしても非常に危険な存在になる可能性がありますから、企業分析のノウハウを習得して外国企業の総合的な分析を行う事によって、大きなリスクを回避することが可能になるわけです。


■様々な制約 
しかし、日本企業は世界中の企業と取引しており、アジア、ヨーロッパ、北米など、全世界のすべての企業について、その経営の総合力を100%きっちり分析することには限界もあります。それは様々な制約がありうるからです。
1つめは、我々は基本的に対象企業の外から第三者として分析する事が前提となっているので、内部者しかわからない数字や情報は取れないという制約です。
2つめは、公開されている情報が信用出来ないものであったり、公開情報の量が極端に少なかったりする場合は分析の質が低下してしまうことがあります。
3つめは、言語の壁です。開示資料や重要情報が、国際ビジネスにおける共通言語である「英語」で公開されていない企業の場合は分析対象にもなりえない場合もあります。

日本企業においても、英語での企業情報公開が十分でないと自分達の事を海外に知ってもらうことが難しくなるといわれるのは、こうした背景もあるのです。


■具体的分析プロセス 
次に、国際企業の総合力を分析するには具体的にどのようなステップを踏めばよいのかを説明していきます。

まず、最初に行うべき事は情報の収集です。
対象企業の「ディスクロージャー資料」、つまり、一定の規則に基づいて作成、公開されている公的な開示資料を集めます。
これらは、各国の証券取引委員会や証券取引所などに相当する機関に対して各企業が提出する経営情報で、主要なものとしては年次報告書、四半期報告書、臨時報告書というものが挙げられます。
開示資料というのは一般的に、提出先機関のインターネットサイト等からダウンロード出来ます。
しかし公的な開示資料の収集だけでは十分ではありません。
その他、対象企業の業界情報や新聞雑誌の情報、当該企業のホームページに掲載されている様々なサービスの内容、商品の内容、事業情報、それからCSRレポートというようなものも収集する必要があります。
最近では多くの企業において、株主説明用のプレゼンテーション資料や、あるいは株主説明会の動画配信などもホームページで公開されているので、これらも丹念に見るとよいでしょう。

1つの企業に関する資料だけでもこれだけあると、資料収集には、慣れとテクニックが必要です。
QBSではコンピューター室を利用して受講生が全員ネットにアクセスしながら、こうした資料収集のテクニックについても学んでいます。
更に九州大学の図書館ではWEBベースの企業データベースなども導入しているので、一般には手に入らない情報も手に入れるということが出来ます。

こういった情報収集は基本的には全て英語で行います。
もちろん現地の言葉ができれば、中国の企業を中国語で調べたり、ドイツの企業をドイツ語で調べたり出来ますが、今のところ、ビジネスで利用されている共通言語というものは英語が主流です。
例えば、開示資料などでは、財務諸表も英語、技術情報も英語、経営戦略も英語で表現されているわけで、ビジネス英語の力を持つ必要があります。
そのため、九州大学ビジネススクールでは、国際企業分析の授業はすべて英語で行っています。

次回はさらに踏み込んで、集めた情報をどう読み込んでどう分析をするのかということについて、イントロの部分を紹介していきます。

分野: 中村裕昭教授 |スピーカー:

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