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オプション取引(その1) (ファイナンシャルマネジメント/平松拓)

12/03/19

今回はオプション取引について説明します。

皆さんは「オプション」といった場合に、何を思い浮かべるでしょうか?人によってはオプショナルツァー、つまりパッケージ旅行に申し込んだ場合、自由時間の為に有料で提供される市内観光やマリンスポーツなどの追加的な商品を思い浮かべるかもしれません。また、ある人は新車を購入する際に、カーナビやオーディオなどの装備を選択して購入できることを考えるかもしれません。

これらのオプションの場合、購入する時点でその商品の価値に応じた対価や差額を支払う必要があるので、「選択の余地を顧客に与えている」ということを意味しています。また、「オプション」という語はこれ等の例以外にも、単に「選択肢」という意味で比較的広く用いられているかと思います。

ところが、財務や金融の世界で「オプション」とか「オプション取引」というとやや違った意味を持っています。財務・金融の世界における「オプション」とは、財務上、或いは金融上の価値を持つ資産(財産と考えても良い)について、「予め決められた将来の一定の日又は期間において、一定の価格で売買する権利」であり、「オプション取引」とはその「権利」を売買する取引のことを意味します。

例を挙げると、例えばアメリカの通貨である「ドル」は財務的、金融的に価値を持つ資産ですが、これは現在の為替市場で大体1ドル83円前後の価格で取引されています。この「ドル」を1年後に、その時点で実際に為替市場で取引されている価格(つまり実勢相場)に拘わらず1ドル83円で「買う権利」とか、「売る権利」が「オプション」です。
そして、それらの「権利」を売ったり、買ったりするのが「オプション取引」ということになります。別の例を挙げれば、1バレル105ドルで原油を購入する権利とか、或いは変わり所では他社に先駆けて新鋭の航空機(例えばボーイング787)の納入を受ける権利なども「オプション」ということになります。

それでは、財務や金融の世界でこれらの「オプション」を取引することにはどういう意味があるでしょうか?財務や金融の世界では、保有している資産やマイナスの資産ともいえる負債によっては、市場におけるその価格が大幅に変動し、そのために大きなリスクを抱えるケースが少なくありません。そうした場合に、「オプション」の取引を利用することによって、効果的にリスクのヘッジができます。

例えば大きな輸入の案件のため、3カ月後に多額の「ドル」の支払いが決まっている輸入業者の場合、現在1ドル約83円の「ドル」がその時点で1ドル100円になっていると、想定外に巨額の円を支払わねばならなくなり、採算割れとなるかもしれません。そのような場合、3ヶ月後に1ドル83円で「ドルを購入する権利」を銀行から購入しておけば、譬え3ヶ月後に1ドルが110円になったとしても1ドル83円で計算した円貨額の支払いで済みます。
この例のように、一定の価格で原資産(この場合はドル)を「購入する権利」を取引するのが「コール・オプション」の取引、逆に「売却する権利」を取引するのが「プット・オプション」の取引と呼ばれます。

以前、為替リスクの関連で「先物予約」とか「先渡し契約」を用いてヘッジする話をしたことがありますが、これら「先物予約」等でも上記の例の取引に伴うリスクのヘッジは可能です。しかし、「先物予約」等を用いてヘッジした場合には、3ヶ月後に逆に1ドル70円に「ドル」が値下がりしていたとしても、1ドル83円で「ドル」を購入する義務があり、せっかくの円高によるメリットを諦めねばなりません。
それに比べて「オプション」を用いてヘッジをして1ドル70円となった時には、1ドル83円で購入する「権利」を購入しているのであって、その「権利」を行使する必要はなく、市場から1ドル70円で安い「ドル」を購入することができます。つまり、市場が有利に動いた場合のメリットも確保できるのが、「オプション」を利用したヘッジの利点です。

このような利点を持つ「オプション」の取引によるヘッジですが、その中では「権利」を「購入する」訳ですから、予め購入のための対価の支払いが必要で、それはオプション料と呼ばれます。例えば、「3ヶ月後に1ドルを83円で買う権利」という「オプション」を購入するために、例えば、1ドルにつき1円のオプション料を支払わねばならないということになります。このオプション料は「権利」を行使しなかったとしても、返済されることはありません。
即ち、オプション料はオプションの取引を契約する時点で決定され、実際に資産が取引される、例えば3ヶ月後の資産の価格の影響は受けません。そしてオプション料を支払う相手は、例えば上記の「1ドル83円でドルを買う権利」を買う場合には、その権利を売ってくれる相手、即ち、逆に「1ドル83円で売るという義務」を引き受けてくれる銀行ということになります。

分野: 平松拓教授 |スピーカー:

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