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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 第2話 日本加工組立型産業の生き残り戦略~新しい世界への旅立ち(国際企業戦略論/永池克明)

第2話 日本加工組立型産業の生き残り戦略~新しい世界への旅立ち(国際企業戦略論/永池克明)

12/03/12

昨日は日本の加工組立産業のビジネスモデル見直さないといけないということを
お話しましたが、今日はその加工組立型産業が生き残っていく為にはどうすれば
いいのかをお話します。従来のビジネスモデルを変革する必要があるということと、
全く新しい分野へ軸足を広げていくというお話です。

従来型のやり方はベースとしてある程度は残ってもいいのですが、徹頭徹尾垂直
統合型ではなく、商品の特性によってはアジア諸国に任せながらネットワーク
(国際分業)でやるように、ビジネスモデルを分けるやり方です。例えばテレビ
でいうと、液晶などは比較的簡単にキャッチアップされてしまいます。つまり
デジタリゼーションによりモジュラー化が進み、簡単に汎用部品が手に入って、
それを組み立てれば、どこのメーカーも同じ様なレベルの物が作れます。これに
対して、アップルのiPhone、iPod、iPadタイプの商品のように、日本企業も商品の
新しいコンセプト創造や商品開発、あるいはソフト、サービス、マーケティング
など付加価値が高く、収益率も高い部分は自分で手がけますが、他の肉体労働的
なものはアジア諸国に任せるようなビジネスモデルにして、日本版の商品を開発し、
トータルとして付加価値の高いビジネスやっていく方法があります。これもイノベ
ーションです。

次は単体商品ではなく、ソフトとパッケージで売るシステム製品や複合製品を開発
することです。自社が手がけるところと他社に任せるところを分け、他のサービス
と組み合わせて販売します。ホームシステムではインテリアなど色々な応用分野を
開発していくことが重要だと思います。そして途上国市場では従来商品は途上国と
の提携により、現地仕様で開発設計を行い現地の材料を使って極力安く高品質の
ものを生産し、日本ブランドを添加した商品で差別化して勝負することでしょう。
これをリバース・イノベーションと言いますが、コストを劇的に下げることが
可能です。

もう1つはバリュー・イノベーションです。従来の発想は、高品質・高価格か、または
低価格・低品質かという二者択一でしたが、これから新興国市場では高品質だ
けれども値段も手頃な商品を提供することがバリュー・イノベーションです。
バリュー・イノベーションを推進し、日本の強みを生かすことが大事でしょう。

これらは従来型の事業を再構築するというモデルですが、もう1つの新規ビジネス
への転換は、自動車だけあるいはテレビだけといった単体ビジネスではない事業で、
アジアなど新興国が非常に高いニーズを持っているビジネス分野に進出していく
ことです。単一商品ではなくて複数のハード商品を組み合わせ、それにソフトや
サービスを絡めて販売するビジネスです。例えば空港・港、鉄道、高速道路、
上下水道、海水の淡水化システムといった産業インフラ事業、発電プラントなど
のエネルギー産業、公害防止システムやクリーンエネルギー開発などの環境産業、
無公害・安心安全な食料支援産業、高度医療サービスなどです。途上国が高い
経済成長を達成しようと思えばエネルギーも必要ですし、公害が発生してコスト
問題が出て来たり、経済成長が進めば水不足になったりする、新興国の無駄の
多い資源多消費型構造を解消するために日本の技術力でうまく支援するビジネスを
さらに強化することが大事だと思います。

振興国市場向けの新規有望ビジネスについては、2011年の暮れに出版した拙著
『国際企業経営の大転換』(九州大学出版会)の中にも書かれていますので、
詳しくはそちらも御覧いただきたいと思います。道路港湾鉄道や空港などの
物流インフラ、あるいは上下水道、海水の淡水化など産業インフラに対して、
高付加価値でしかも振興国が一番欲しているところに日本の強みを活かして
いくことです。単体のビジネスだけでなく複合的なプラントのような付加価値
の高い形でシステム化されたものを提供する事がこれから求められると思います。
もう1つの有望分野はコンテンツ、ポップカルチャー、アニメなどクール
(かっこいい)ジャパン(cool Japan)と言われる文化産業です。これは既に
色々な面で相当成功しています。1億2千万人の日本人だけではなく、アジア
諸国の主要都市で生まれている10億人ともいわれている新興中間層プラス
富裕層の若者に対して、日本の強みやサービスを提供していく事です。

いつまでも加工組立産業だけに依存する構造は、日本の将来を考えると極めて
危ういので、農業も含めて次の新しい産業を育成することが重要であり、急務です。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

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