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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 第1話 我が国加工組立型産業のビジネスモデル見直し(国際企業戦略論/永池克明)

第1話 我が国加工組立型産業のビジネスモデル見直し(国際企業戦略論/永池克明)

12/03/09

一般に加工組立型産業と言われるのは、電機・自動車・精密機械業界の総称です。
電機に関しては2012年度業績の見通しが非常に暗く、特に家電産業は歴史的な
大赤字と予想されています。パナソニックが7,800億円と、おそらく史上最大の赤字、
シャープが2,900億円、ソニーが2,200億円と、三社合計だけで1兆2,900億円の大赤字
です。主力の薄型テレビがアジア勢との価格競争に巻き込まれ全然売れていない、
採算も悪いということが、最大の問題点ですが、そこを起点として今、日本の加工
組み立て産業がかかえる色々な問題点をお話ししましょう。

自動車は、東北地方に自動車部品等の企業が立地していたこともあり東日本大震災
の影響とタイの洪水で、日本メーカーの国内外向けサプライチェーン(供給網)が
寸断され、販売したくても製造できなくなったため販売数量が激減しましたが、
これから持ち直すだろうと予想されます。実際アメリカのビッグ3はその間隙を
ぬって売上高が改善しています。日本メーカーが、部品不足で出遅れてしまい、
アメリカでの販売台数が伸び悩んだため、アメリカのビッグ3、欧州勢プラス
韓国の現代自動車あたりがシェアを伸ばしてきたと言えます。

電機業界など加工組立型産業が落ち込んでいる背景には、戦後の色々な経緯が
あります。日本の電機業界には、多くの元気な企業が存続しました。互いに
日常的に国内企業同士で熾烈な競争をし、多角化も進みました。つまり同質的な
横並び競争が繰り広げられたのです。その中でいくつかの事業に特化した専業型
企業までが複合型の総合メーカーになっていきました。こうして70年代から80年代
前半辺りまでは、切磋琢磨して技術革新も進み、アメリカの家電産業を駆逐しました。
エズラ=ヴォーゲルの著書『ジャパン アズ ナンバーワン』が世界のベストセラーに
なったほど「チームジャパン」は頂点に立ちました。

その結果、製品の需要構造が各社ともよく似てきて、採算性の良い事業と悪い事業
をを一切合財抱え込んだ事業構造になってしまいました。1990年代グローバリゼー
ション、デジタライゼーション或いはITネットワーク化、それから経済のサービス
化という3つの大きなトレンドが世界のビジネスを変えていったの結果、アメリカ
からデル、HP、デル、アップル、インテル、TI、マイクロンなどの特定分野に
特化した強力な専業メーカーが続出しました。彼らは世界的な強みを持ち、駆逐艦
のように俊敏で意志決定も早く、戦艦ヤマトのような図体が大きく、動きの遅い
総合型の日本メーカーは結局その変化スピードについて行けませんでした。何でも
持っているが全部中途半端だから、一点突破型の専業メーカーに槍で突き刺される
ように個別撃破されるようになった、それが最大の問題です。つまり、90年代に
なってから、アメリカ企業はいち早くデジタル化の良さに気が付き、GEは世界No.1
かNo.2ではないとダメだと取捨選択をしました。さらに、一分野に集中的に特化した
駆逐艦みたいなデル、インテルのような企業が出現しました。このようなビジネス
モデルの革新が、日本の場合90年代以降決定的に遅れました。

次はデジタル化が大きなインパクトになりました。どこででも手に入る汎用部品が
出回り、それを組み立てれば容易に完成品が出来るようになったことをモジュラー
(モジュール)化と呼びますが、これはデジタル化技術によって可能になってきました。
それまでは、日本企業だけでなく、GEやフィリップスなど欧米企業も部品・中間
品から完成品、さらに販売まで自社でまかなう垂直統合型のビジネスモデルが普通
でした。アメリカ企業はここで垂直統合型から水平分業型へ大きくかじを切りました。
アップルなどは、収益の大きい部分だけを自分で担当し、部品などのモノづくりは
アジアの日本・台湾・中国などに任せています。そういう水平分業型のネットワーク
企業が成功してきていますが、日本企業はいまも基本的には垂直統合型といえますが、
そこに日本の電機産業の苦境の原因があります。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

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