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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 集団の意思決定の難しさ(福岡女学院大学社会心理・組織心理/藤村まこと)

集団の意思決定の難しさ(福岡女学院大学社会心理・組織心理/藤村まこと)

12/03/08

今回の内容は、集団における意思決定についてです。
身近なところでは、会議があります。複数の人が集まって意見を交換し、問題に対する解決策を見つける、何かひとつの案を決めるということを会議で行いますが、それは集団での意思決定を行っていると言ってよいですね。その際、皆で集まり各個人が持っている情報を出し合って共有することも行われます。そしてひとりのリーダーが決めるのではなく、民主的に皆で話し合って何かを決めます。これが議論や会議の形ですが、三人寄れば文殊の知恵というのは本当なのでしょうか。古典的な社会心理学の研究では、集団での意思決定は誤った結果になることも多いという実験があります。

有名なところでは、集団思考、もしくは集団浅慮と言われるものです。例えば、アメリカでは政治のトップに非常に優秀な人材が結集していると思いますが、彼らが集まってもなお、政治的に間違った決定、よくなかったと言われる意思決定が行われることがあります。それらを見て行くと、誤った意思決定にはいくつかのパターンが見られると言われています。また、有名な例として、チャレンジャー号の打ち上げの意思決定があります。これは、技術者の方と経営陣の方が一緒に話し合いをしたのですが、技術者の方が危険だと反対意見を出したにも関わらず、経営的な判断によってその意見が黙殺され、ゴーサインが出たというものです。結局は、このスペースシャトルは故障し、乗組員全員が亡くなるという事態になりました。場合によっては、多少リスクのある意思決定をすることが必要な領域もあるかもしれませんが、医療や航空、鉄道といった、安全を扱うところでは、かなり慎重な意思決定が必要ですね。

それでは、集団の愚かな意思決定、すなわち集団思考はどのようなときに生じるのでしょうか。ひとつには、非常にまとまりの強い凝集性の高いチームで、皆が同じ考えを持っている場合。加えて、集団外部からの情報が入りにくい構造になっている場合、もうひとつは、時間のプレッシャーがあったり、問題が難しすぎるといった、外的な圧力が高い場合です。こうした状況がそろうと、まず自分達の力を過信し、反対意見や外部の情報を十分に吟味せず、集団内の反対意見も抑え込んでしまうことになります。その結果、集団の意思決定が誤った方向へ進んでしまいます。

これに対する対応として、やはりリーダーの働きかけが重要であると言われています。リーダーが最初に意見を言うと、反対意見が出難くなるので、リーダーは最初から強く自分の意見を出すのではなく、聞き役に回ると良いそうです。反対意見を言いにくい状況にあるのであれば、反対意見を出す役割の人をチーム内にあらかじめ決めておくなど、構造から変えることで、質の高い意思決定ができると言われています。

また、集団極性化という現象も良く知られています。これは、皆が集まって話をすると、各個人の意見の平均値より極端な方向へ結論が向かってしまうという現象のことです。
例えば、皆がほどほどに好きだった事や物に対して、話し合いで評価を行うと、個人の好意度の平均値よりも、より好ましい方向へと集団の好意度の評価が移行することがあり、その逆のこととして、あまり好ましくないとメンバーが思っていた場合は、集団での意思決定はより好ましくないという評価となるようです。興味深いことに、話し合いの後には、集団の意思決定の影響を受けて、個人の意見もより極端なものとなるそうです。
最後に、隠れたプロフィールという集団内での情報共有に関する話があります。たとえば人を採用する際に、候補者がふたりいます。ひとりには、良い所が七か所あります。もうひとりには三か所あります。ここだけ聞くと、長所が七つある人の方が魅力的に見えます。しかし彼らの長所について五人のメンバーで話し合うとき、三つ長所がある人について、五人のメンバーが皆その三つの長所を知っている場合と、七つの長所がある人について、五人がそれぞれ一つずつしか長所を知らない場合、皆が同じことを知っている三つの長所がある人の方が選ばれやすくなるそうです。これは結局、情報を共有するために話し合いはなされますが、話し合いではお互いが持っている情報の確認だけで終わってしまい、それぞれが持っている情報を交換するまでには至っていないということを示しています。メンバーがそれぞれ持っている情報については、意識して出すようにしていかないと、それが議論にならないまま終わってしまいます。質の高い意思決定をするためには、準備段階であらかじめ資料を配りお互いに読んでおくといった、情報共有の努力もやはり必要だということですね。

分野: 藤村まこと講師 |スピーカー:

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