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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 集団規範~集団の中の見えないルール(福岡女学院大学社会心理・組織心理/藤村まこと)

集団規範~集団の中の見えないルール(福岡女学院大学社会心理・組織心理/藤村まこと)

12/03/07

今回の内容は、集団規範についてです。

規範は、日常的な用語です。辞書で調べると、「その社会とか地域で一般的に行われている行動の型」といった説明がされています。社会規範であれば、「人には優しくしよう」とか「人の物を盗んではならない」というルールの事です。それが社会全般だけでなく、集団とか小さなグループの中でも存在している。これが集団規範になります。

一つ例を挙げると、私達がエスカレーターを使用する際、福岡でしたら普段は左側に寄っていて、急ぐ場合は右側を歩いて行きます。仙台や東京、名古屋、京都でも同様ですが、大阪だけが逆らしいです。大阪では、右側に寄って、左側を歩いて行くそうです。私達が大阪へ行ったとしても、地元のやり方を通すかというと通しません。郷に入っては、なので、その地域ごとに合った行動パターンを私達は選んで生活しています。そういったルールが法律で決まっているわけではありませんが、法でなくとも人に行動をさせてしまうようなルール、これが集団規範です。

このことを職場集団とか学校集団とかで考えると、職場集団がわかりやすいのですが、新人の人はこういう行動をすべきだとか、会議ではこういう風に振舞うべきだとか、座る位置だとか。こうした行動パターンから言葉遣いや服装にいたるまで、組織や集団ごとに見えないルールが実は存在していて、それが集団のカラーや行動パターンを決めていると言われています。集団規範は規則や制度ではないものもありますが、大多数の人が同じ行動をとっているので、守らなければならないという集団の圧力がかかります。それに従えば褒められる、もしくは何も言われませんが、規範に反する行動をとると非難されたり注意をされたりします。

このように集団規範は類似した行動を促すので、メンバー間に類似性が生まれます。お互いの行動を予測できるようにないますので、チームワークをとりやすくなり、チームらしさが生まれてくると言われています。さらに規範というのは、チームのパフォーマンスにかなりの影響を与えるとも言われています。
基本的に、「チームでこれをやろう」と目標を設定した場合、「みんなで頑張ろう」とか「遅れない」といった、目標達成を支援する規範ができます。また逆に、「程々でいいじゃないか」とか「あまり協力しないでおこう」といった、目標を阻害する規範というものも実は存在します。しかし基本的には、支援する規範ができれば、それが集団のパフォーマンスを高めていくと言われます。

それでは、規範がどのように形成されるのでしょうか。規則や制度で決めていくことも可能ですが、人間が関わっているため、人間同士のコミュニケーションの中で生じると考えられます。例えば、新しい職場や見慣れない所に行くと、「ここではどう振舞えばいいのか」、「どこまで言っていいのか」と、私達は周りの様子をうかがいます。相手の反応をみながら、私達は集団や場の暗黙のルールを学んでいるわけですね。そのような場のルールは、特に人と人の相互作用の中で生まれ、そのルールの変化も、人の働きかけで生じると考えてよいかと思います。

ここでは、シャクターが1951年に女子大生を集めて行った実験を紹介します。この実験では1つのグループごとに三人のメンバーがおり、集団で厚紙を切るという作業をさせます。ただ、作業中、それぞれに同じチームの別の人からメッセージが送られてくるようにします。そのメッセージの中身が規範を形成するものです。一つのグループでは、「もうちょっと頑張ってください」、「もう少しスピードアップしてください」という目標達成、つまり生産量を上げるように働きかけるメッセージが送られます。もうひとつのグループでは、「ちょっとペースを落としてください」、「ゆっくりやりましょう」という、パフォーマンスを下げる方向に働くメッセージが流れます。するとやはり、パフォーマンスを支援するメッセージが流れているところではパフォーマンスが上がり、そうでないところではパフォーマンスが下がっていきました。この結果から、集団内のコミュニケーションから生じる集団規範は、集団の生産性にとって重要であることがうかがわれます。

また、この実験では仲の良さが集団のルールとどう関係するのかという点も見て行きました。よく言われているのが、仲の良い集団では、ルールの拘束力が高くなるということです。つまり、ポジティブな規範が存在する場合もまとまりが良い集団ではよりパフォーマンスが上がり、ネガティブな規範がある場合も、まとまりが良い場合は結束力が高いのでよりパフォーマンスが下がりやすくなるということが言われています。(先の実験では、目標達成にとって好ましくないメッセージが流れる条件において、仲の良い集団はより生産性が低くなっているという結果になっています。)

これまでお話したように、集団の中では、そこにどのような規範や見えないルールがあるかに気を付けておくほうがよいでしょう。皆が何かに気兼ねしていることがあれば、それを変えて行くように働きかけると良いですね。あともう1つ気をつけるとすれば、集団のメンバーが規範にどの程度従うのか、規範に対する反応の良さにも注意してよいかと思います。いわゆるまとまりが良い時は規範によく従いますが、まとまりが良くない場合規範が機能しない事もあります。リーダーがこうして下さいと規範を作ろうとしても、聞いてもらえないという状況もありますね。原因は複数あると思いますが、そのため、規範の内容と共に集団のまとまりも一緒に見ていくことも必要かと思います。

分野: 藤村まこと講師 |スピーカー:

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