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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 映画で学ぶ経営(最終回)Knowledge Workerとソーシャルネットワークがこれからの若者労働者(経営学/久原正治)

映画で学ぶ経営(最終回)Knowledge Workerとソーシャルネットワークがこれからの若者労働者(経営学/久原正治)

12/03/22

今日のタイトルは、「Knowledge Workerとソーシャルネットワークがこれからの若者
労働者」ですが、これは知識を持ち、頭を使って働く人がこれからの労働者の主流
になるという意味です。すでに10年くらい言われていることですが、これからの世界
を担っていく人たちで、多くの若者がそういう労働者になっていますが、映画を事例
にこのお話をしようと思います。

上映中の「ドラゴンタトゥーの女」はアカデミー賞の編集賞をもらった、ちょっと
変わった設定のストーリーです。スウェーデンの話ですが、中年のジャーナリストと
天才のハッカーが組んで色々な問題を解決していく一種の推理小説です。このドラゴン
タトゥーの女がまさにKnowledge Workerです。

監督はデヴィド・フィンチャーでまだ40代ですが、FaceBookの企業を映画化した、
「ソーシャルネットワーク」で昨年非常に話題になりました。元はマドンナなど
音楽ビデオの監督をしていましたが、今や、名作を数々生み出しています。この人
自身がまさにKnowledge Worker、天才的な監督で、現代の若者が直面する様々な
暗闇の世界から何らかの希望が出てくるという話を、非常にスピード感がある映像で
音楽を上手く取り入れて表現しています。「ソーシャルネットワーク」も「ドラゴン
タトゥーの女」も、映像に引き込まれてあっという間に終わる感じです。

Knowledge Workerである若い人は独特の才能をもっていますが、なかなか組織の中
には入れません。それをシニアの人が上手く助けて、ネットワークを創ることにより、
異質のものが取り込まれ、異質のものの中からコミュニティを再生する、社会関係
資本、いわば東日本大震災の時に言われた絆みたいなものが異質の交わりから出て
くるのです。

異質な物とつながることを受け入れるのは難しいのですが、そこには3つの特徴が
あります。1つは見返りを期待しない絆をつくること、2番目にそこには他者への
信頼があること、3番目にそのネットワークの中での全体を縛る規範みたいなものが
あることです。

「ドラゴンタトゥーの女」に出てくる中年ジャーナリストのような人は、そのネット
ワークに橋を架けるブリッジになり、若く優秀な人をこのネットワークの中に
つないでいきます。フェイスブックも、ザッカーバーグというハーバードの天才
学生がはじめたわけですが、そこにワシントンポストのドナルド・グラハム社主や、
ネットスケープを創業したマーク・アンドリーセンというシニアの人々が入って、
周りと上手く繋いでいきます。この繋いでいくところに信頼や絆があることが、
ソーシャルネットワークの非常に重要なことなのです。

フェイスブックの創設者マック・ザッカーバーグは、自分一人では出来なかった
ことだと度々言っていますが、私たち身の回りでも、外から入ってきた人たちに
対して、拒絶したら何の関係も生まれませんが、その人が何かの知識を持っていて、
受け入れることにより新しいものを生み出すことはあり得るでしょう。特に我々
シニアな世代は若い人をもっと見つめてあげて、最近の若いやつはなどと言わず、
その能力を引き出すネットワークを上手く作ることが大事になります。

Knowledge Workerをシンボリック・アナリストとして定義したのは、元クリントン
政権労働長官のロバート・ライシュです。彼は労働経済学者としてもアメリカで
有名です。彼の言うシンボリック・アナリストという言葉には4つポイントがあり、
まず物事の背後にあるものを見抜く力、次に広い視野で判断する論理的な思考力、
そして新しいものへ挑戦すること、最後は価値観が違う人を束ねることです。
この異なるものを束ねるのが大事なのです。

この番組の中で何度も、首から上の頭脳を使って働く仕組みを増やしていかないと、
地方である福岡は物作りで終わってしまうと言ってきましたが、そういう仕組みは
相当大きな変革なので簡単にはいきません。ただ若い人は、実に良いことをやろう
としていますが、我々や政府が地方の再生は雇用にかかるということで、製造業や
サービス業を誘致して、単なるパート労働者を増やしたりしています。ところが、
このような労働では中国やベトナムとの価格競争に勝てなくて、それが地方をだん
だん疲弊させていると言えます。発想を変えなくてはならず、その中心になるのが
若い人なのです。

そこで若い人たちを育てる環境が必要になってくるので、教育投資が地域にとって
重要です。従来、地域では高校生くらいまで一生懸命教育投資をしても、優秀な学生
は東京の大学に行ってしまい、投資したものが地域に返らなかったので、これを地域
に還元する教育投資をやることが大事です。教育環境を整えるためには、学びたく
なったとき学べる教育機関を国が多く作っていかなければなりません。

現在、九州大学など地方大学の新入生を見ていると、そこに入学することがゴールに
なり、それからなにをしたらいいのかがわかっていません。そうではなくて、働いて
いる人が勉強したくなったときに大学や大学院に戻ることができるように、国が投資
すべきです。社会人が学べる、九州大学ビジネススクールもそうですが、特に欧米で
は、高校を出たら社会人となって働く人も多く、その後に進学したい人は大学を
選択することができます。社会を見ないと何を勉強していいか分からないので、
こういうところを国がサポートすることも重要になってくるでしょう。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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