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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > シリコンバレーシリーズ~中国ブーム~(イノベーションマネジメント/朱穎)

シリコンバレーシリーズ~中国ブーム~(イノベーションマネジメント/朱穎)

12/02/27

■アメリカにおける中国ブーム 

基本的にはシリコンバレー、そしてアメリカ全体で、ものすごい中国ブームが起こっています。特に、シリコンバレーを見ますと、中国の起業家達の活動が非常に活発になっています。この中にはそもそもこの地域で学んだ留学生が多いです。彼らは卒業した後に、例えばシスコシステムのような大企業でジェネラルマネージャーまで上るのか、あるいは自分で起業するのか、あるいは大学に残ってアカデミックの研究者になるのかというように、様々なキャリア設計持っています。実際に、中国の最近の国内でのITブームを見ますと、例えば、アリババの創業者のJack Maや、最近アメリカのCNNで頻繁に紹介されている中国版ツイッター創業者のCharles Chaoなど、中国IT創業者の多くはアメリカで学んだ経験があります。全体的に、彼らは積極的にアメリカ国内のマスメディアに対して発信したり、アメリカの人気番組のトークショーに招かれて話したりしています。彼らは英語が流暢に話せて、なおかつアメリカの価値観もよく分かっていることから、アメリカの国内の中で中国ビジネスに魅力を感じている方が多いようです。アメリカと中国の今の経済関係を見てもそれははっきりと分かります。

■中国ブームの理由 

アメリカ側からみて、中国の面白いポイントはたくさんあります。一番大きなポイントは、なんといってもマーケットの潜在的可能性ではないかと思います。もう一つ、中国人の意思決定プロセスがアメリカ人に非常に近いとも言われています。いわゆるビジネスのYes、Noがはっきりしていて、意思決定のスピードも早いわけです。

最近、中国ブームとして中国が非常に重要視されていますが、個人的には日本とは違うと感じています。日本で私がよく感じているのは、日本を中心にして、たとえば日本の生産システムや日本の技術をどうやって海外に持っていくかという発想が多いです。しかし、アメリカにはアメリカ人を中心にしてという発想は全くなく、マーケットとしても面白いから現地で何が出来るのかというのが、彼らの考え方だと思います。そうした中で、中国をポテンシャルのあるマーケットとして客観的に見ることができ、臨機応変に現地の観点に照らして物事を判断しています。なんでも国内のものを持っていくのではなく、現地で何が必要とされているのかをまず見極めているわけです。さらに、中国人留学生を最大限に活用、登用して、彼らをアメリカと中国のビジネスのパイプ役にしています。

■アカデミック分野における中国 

ビジネスの場だけでなく、アカデミックなところでも中国研究がブームになっています。例えば、80年代に日本企業に対して関心を示したアメリカの学術界は、最近は関心を中国に向けていて、色々な研究活動が盛んに行われています。実は、1月中旬にスタンドフォード・ビジネススクールで中国企業の意思決定に関するカンファレンスが開催されまして、再び行ってきました。実は、このカンファレンスの主催者は、前回ご紹介しましたJim March教授です。このカンファレンスの参加者には、例えばアメリカ経営学会(Academy of Management)の全学会長だった、Anne Tsui教授をはじめ、アメリカ国内の大学で教鞭をとっている中国人研究者、中国国内の清華大学、北京大学、あるいは上海にある中欧商工学院(CEIBS)という大変有名なビジネススクールの教授たちが参加し、各自研究ペーパーを発表したり、色々なディスカッションをしたりして、非常に知的、刺激に満ちた楽しいカンファレンスでした。

アメリカの学術界が中国に目を向けている理由として、一つは、アメリカ企業の積極的な中国進出に伴い、中国の研究が必要になっていること、もう一つは、中国国内の要因で考えると、欧米系の教育・研究システムを導入するようになっていることが挙げられます。このような背景から、中国人研究者がすさまじいスピードで海外進出を始めていますし、交流が非常にしやすくなってきました。

アメリカと中国が今後どのような環境になっていくかというのは、日本人から見ても気になるところです。私が個人的には、アメリカの中国研究はどちらかというと実学より学問重視の傾向にあると思っています。実学的な発想として、例えば国内で持っている技術や生産システムをいかに中国にもっていくかという発想ほとんどなく、むしろ彼らが関心をもっているのは中国経済の移行期における中国企業の行動パターンです。計画経済から市場経済に移行しようとしているこの中間期において、たくさんのことが起こっています。特に中国企業の行動パターンの中に、例えばアメリカ従来の経営学の体系の中ではうまく説明出来ないような要素がたくさん潜まれていると考えられます。そういう要素を研究することにより、従来の学問体系を整備し、どんどん貢献することができるというのが、アメリカ国内の学者からの期待ではないかと思います。中国企業における行動原理の解明だけでなくて、自分たちもなにか示唆があるかもしれないということです。

このカンファレンスに参加して面白いと思っているのは、例えば中国企業にはたくさんな企業形態があり、最近特にFamily Businessというのが非常に成長しています。これは中国だけではなく、例えばインドのタタ財閥の例からわかるように、いわゆる新興国経済を見ると、Family Businessが非常に中心的で重要な役割を果たしています。新興国におけるFamily Businessの意思決定プロセス、さらにガバナンススタイルなどを研究すると、従来の経営学の論理の中でカバー出来ないようなものがたくさんあるはずです。そういう事を研究することによって、従来の知識体系にも貢献出来るのではないかと思います。

もう一つの事例を紹介しますと、このカンファレンスの同僚たちは、中国のビジネススクールの教育システムとアメリカのビジネススクールの教育システムを比較するという研究をスタートしています。目的としては、中国のビジネスクールの教育体系を研究することによって、逆の観点からアメリカの教育システムの問題点を探り出すことを彼らは考えています。実学的なところよりも、むしろ根底的な学問に新しい観点を取り入れてなんとか整備しようというのは、このアメリカ国内における中国ブームの特徴の一つだと思います。そのため、ビジネスだけではなく、アカデミックな分野における「米中接近」はますます活発になると予想しています。

世界からの研究者がJim March教授を囲んで、中国企業の意思決定プロセスについて論じ合った

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分野: 朱穎准教授 |スピーカー:

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