QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > シリコンバレーシリーズ~Jim March教授の教え【PlayfulnessとCreativity】~(イノベーションマネジメント/朱穎)

シリコンバレーシリーズ~Jim March教授の教え【PlayfulnessとCreativity】~(イノベーションマネジメント/朱穎)

12/02/24

スタンフォード大学で研究してきたお話を数回に分けてお話しています。今回は、スタンフォードで研究活動を行っていた時にJames Marchという大変有名な組織論の教授に出会い、その方から面白い事を教えて頂きましたので、その事を紹介したいと思います。

御存知の方は多いかもしれませんが、James March教授は組織論の研究分野において世界で最も権威のある方です。主に意思決定プロセスにおける人工知能的な観点を導入することで有名ですが、この観点を用いて、組織の探究活動と既存のルーティング活動を色々分析しています。イノベーションについて色々言われていますが、マーチ教授の観点から分析すれば、そもそも既存組織、既存企業はイノベーション出来ないということです。何故かというならば、学習のルーティングプロセスに非常に大きく作用されていまして、既存の経営資源の活用においては非常に上手いのですが、逆に新しい方向を探り出すというのはなかなか出来ないからだそうです。ある種のジレンマに陥ってしまうという、面白いパラドックス的な観点です。

ただ、ここからが素晴らしい研究をされているMarch教授の一番面白いところだと思います。組織の中にSlack Resourceというのがあります。新しい知識への探求活動をサポートできる経営資源の創出、もしくは個々人が、Playfulnessと呼ばれる遊び心を持つことが、創造性の維持や新しい研究活動の探索に非常に意味を持つ、重要であるということをMarch教授は言っています。

■Playfulnessに基づく企業文化 

シリコンバレーで今台頭してきている企業というのは、そういうものが備わっていると言えると思います。個人的にこの地域で色々生活すると、みんなが遊び心を大事にしているように感じます。まさにPlayfulnessとCreativityとの間に非常にうまく相乗効果をもたらしているということではないかと思います。

1つ例を挙げますと、Googleに行ってきました。この企業に行って一番印象的だったのが、なんといっても自由な企業カルチャーです。膨大なGoogleキャンパスをGoogleの社員に案内してもらったら、いたるところで自由根本的な企業だと感心しました。私は午後の2時に、サンノゼ州立大学の友人と一緒に行きました。その時間帯のことを皆さんに考えて頂きたいのですが、午後の2時は通常だったらオフィスの中で一生懸命パソコンに向って仕事をしているというイメージが強いと思います。なんとこの時間帯にGoogleの社員はビーチバレーをやっていました。

疑問に思って話を伺いますと、1日に何時間働くというのは個人の自由であって、1日のタスクのみがあります。例えば、開発のリードタームに合わせて一日のタスクが定められていますが、それを24時間で完成しようが3時間で完成しようが個人の自由です。能力があればパッと仕事を終えて、その後で自分の自由な時間なわけです。例えば、コーヒーを飲んだり、ビーチバレーをやったり、自由にやってくださいという、成果だけ出せば良いというようなカルチャーです。


内部を見学すると、ほとんど組織の壁が感じられませんでした。誰がボスなのか誰が部下なのか、組織内の仕来りが全く無く、自由に空間を共有して自然にチームワークが発生するような仕組みになっています。
こうした自由な空間から、当然何か新しいビジネス・アイディアへの創出に結びつくって事があるような気がします。人間の創造性というのは、やはり遊び心がないとどうもルーティングワークになってしまい自由な発想というのは自由な遊び心からヒントを得ることが多いのではないかと思います。

■PlayfulnessとFoolishnessは創造性の源泉 

誤解しやすいところですが、アメリカ、特にこのシリコンバレーは明るい雰囲気が多くて楽しそうと、楽だというイメージを持っている方多分いらっしゃると思いますが、実際は違います。例えば、アントレプレナー達の仕事を見ると、彼らは本当に1日24時間働いている方も多いです。生活を重視しているというのがアメリカ人の特徴の1つかもしれませんが、実は背景にあるのはハードワークです。ここでもう1つMarch先生の面白い議論を紹介しますと、遊び心としてのPlayfulnessも大事であると紹介しましたが、もう1つ創造性の根底を成しているのは馬鹿らしさ、Foolishnessという事を言っています。

この地域の人たちを見ますと、皆さん本当にいい教育を受けていまして、スタンフォードでMBAを取得すれば、東海岸の金融街で相当の収入が得られます。非常にいい暮らしが待っていますが、彼らはそういう生活を捨てて、車庫の中で起業し、何もない所からスタートします。当然、当初はあまり収入がないわけですから、1日24時間働いて、Tシャツで1日コカコーラばかり飲んでいるような生活をずっと続けてきたわけです。それは何故かと言うと、先ほど申し上げました遊び心としての楽しさ、もう1つは自分が信じている事をとことんまで追求するような馬鹿らしさからなのです。

日本人は真面目、勤勉と言われますが、特にこれが足りないところです。結局シリコンバレーの繁栄の根底にあるのは、若者たちの一生懸命自分の夢に向かって追求していく楽しさと馬鹿らしさではないかと思います。

広大なGoogleキャンパス内に点在する「遊び心」
%E5%BA%83%E5%A4%A7%E3%81%AAGoogle%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%B9%E5%86%85%E3%81%AB%E7%82%B9%E5%9C%A8%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%8C%E9%81%8A%E3%81%B3%E5%BF%83%E3%80%8D2.jpg

ビーチバレーを楽しむGoogle社員
%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%90%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%92%E6%A5%BD%E3%81%97%E3%82%80Google%E7%A4%BE%E5%93%A12.jpg

分野: 朱穎准教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ