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成熟期のマーケティング1(マーケティング/出頭 則行)

12/01/31

成熟期のマーケティング1(マーケティング/出頭 則行)

■成熟期を迎えた日本 

今回と次回は少し暗い話になってしまいますが、成熟期のマーケティングについてお話します。成熟がキーワードですが、明らかに日本は人口が減っていて、少子高齢化で成熟期を迎えています。この成熟期のマーケティングとは一体何なのだろうかというお話です。成熟期のマーケティングに関するテキストは実はあまりありません。大抵のビジネス書は成長や競合に対する勝ち方をテーマにしています。成熟期、衰退期に特化したマーケティングのテキストはありませんが、日本という国がどこよりも早く成熟期を迎えつつある事は間違いありません。

今、ギリシャでソブリン・クライシスが起きています。次に飛び火するのはポルトガルやスペイン、イタリアと言われています。ギリシャやポルトガルなどは、かつては文明の中心でした。こういう国々が今、ソブリン・クライシスで、財政が崩壊し、国家が破綻しかねない、と憂慮されています。国は一度成長し、成熟していくともう二度と浮かび上がれないものなのか。ローマ帝国も、パックス・ロマーナと言われながら、再び浮上はしませんでした。

■「坂の上の雲」を見つめながら歩んだ時代 

司馬遼太郎の「坂の上の雲」はNHKでシリーズ・ドラマ化され、3年間に亘り年末に放送されました。最後が去年末の放送で、私はあまり出来が良くないとの印象を持ちました。坂の上の雲ばかり見つめた時代ではなく、暗い面もあったという視聴者からの批判の声が多分にあり、明るいばかりじゃなかったといコメントが所々に挿入されたため、前二回ほどフォーカスがしっかりしていなかったと感じました。

色々な見方あると思います。明治維新以降「坂の上の雲」を見つめながら歩む時代があり、太平洋戦争で頓挫して、その後朝鮮特需などがあり、55年体制のもと、再び「坂の上の雲」を目指す時代があって、バブルで崩壊した、と考える人もいるでしょう。明治維新後、二度に亘り「坂の上の雲」を見つめながら日本人は歩んできたという風に考える人に対し、戦前も戦後も連続いると考える人もいます。様々な見方はありましょうが、今の日本は、極端な少子高齢化社会を目前にして、頂から下山を開始した、というのが一般的な見解でしょう。

■現代の日本 

今、日本はどういう時期にいるのでしょうか。明らかに少子高齢化で、人口は2050年には5,000万人に縮小するという説も出ています。明治維新の時は4,000万か5,000万人ですから、元に戻ってしまうということになります。企業はボーダーレスに活動できるので、アジアと共生するなど、色々な形で生き残りを図って行くことでしょう。

しかしながら、日本市場が成熟期を迎えている事は間違いありません。企業が栄える限り、空洞化はないと言う人もいますが、本社をシンガポールや香港に移したりした企業も現実に出てきています。さらに、工場生産を海外に移せば、日本の雇用機会の喪失に繋がることは間違いありません。企業は栄えるが、国が衰退する事も有り得るわけです。

■成熟期のマーケティング 

日本という市場が成熟期を迎えているのは間違いありませんが、成熟期という言葉も正しいのだろうかと思います。実際は、日本人が敗戦を終戦と言った様に、成熟期というよりはもう衰退期だけど、それはあんまりだから成熟期という言葉で逃げているのではないかという感じもします。

成熟期のマーケティングを、先行的に研究しているものはほとんどありません。マーケティングと言うと、やはり成長戦略であり、勝つための仕組みであり、成熟している市場を永続させるというような事は詳しく研究されていません。

しかし、商品を見ると、日本でいうとアタックやスーパードライは25年経っています。多分、非常に安定的なプロフィットを生んでいて、それぞれの企業に大変な貢献をしているはずです。マーケティング的に言えば刈り取りの時期にあたります。日本を住み家とする我々は、日本の成熟期を豊かで落ち着いた実りあるものにしていかなければなりません。

成熟市場のマーケティングというのは借り物が効かない世界です。なぜならば、日本が成熟という意味では先頭に走っているので、今迄のように、外国からセオリーやロジックを借りてくることができないからです。今まで色々なマーケティングの概念を輸入してきましたが、こと成熟期のマーケティングとなると、日本がそのセオリーやロジックを自ら生み出していかなければならないわけです。

分野: 出頭則行教授 |スピーカー:

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