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国際的な会計戦略の流れ2(会計/岩崎 勇)

12/01/16

前回は、国際的な会計戦略の流れのお話をしました。特にEUが中心となり、上手く自分達がリーダーシップを発揮して設定した基準を国際的な会計基準にしていっているという戦略的な流れをお話しましたが、今回は、EU及び米国のIFRSの組込みに関するアプローチのお話をします。すなわち、国際的な会計基準をどのように各国基準に組込んでいくかというアプローチに関するお話です。

■EUのアプローチ:アドプション・アプローチ 

EUは2005年から国際会計基準をアドプションしました。すなわち、基本的に国際会計基準であるIFRS(国際財務報告基準)をそのまま受け入れ、それに従って財務諸表を作っていくというアドプション・アプローチを採用しました。これに基づき前回お話したような、同等性評価戦略等を展開してきております。

■米国の当初のアプローチ:米国基準アプローチからコンバージェンス・アプローチへ 

米国自体は当初は、自国の米国基準を全世界に普及させようという米国基準アプローチを採用していました。例えば、日本では米国基準で連結財務諸表を作成できます。そういう意味では、ここに米国の全世界戦略の1つが表れています。しかし、21世紀に入ってからIFRSを設定しているIASBの要請によって、IASBと米国SECとの間で会計基準のコンバージェンスを行い、新しい基準を作っていくというコンバージェンス・アプローチを採るようになりました。そしてさらに、2011年の末に、アドプション・アプローチに基づきIFRSをアドプションするかどうかについての意思決定を行うということを予定していましたが、この決定は延期されました。その理由はやはり米国に有利な会計基準を設定したいということがその背景にあると考えられます。米国は自国を世界的に最も権威のある国であり、自国の会計基準が世界最高のものであると思っていますので、米国の戦略としては、米国基準と同じ内容の会計基準であればアドプションしてもいいが、品質の低い基準や他者が作ったものに乗りたくないという思いがその背後にあると思われます。

■米国の現在のアプローチ:コンドースメント・アプローチ 

前述の観点から米国は昨年(2011年)新しいアプローチとしてコンドースメント・アプローチを新たに提案しております。このコンドースメント・アプローチとは、スタッフ・ペーパーによると、基本的にはエンドースメント・アプローチであるけれども、移行期間においては一定期間(5年から7年)をかけてコンバージェンスしていき、段々米国基準を国際会計基準に合わせていくというものです。ただ、スタッフ・ペーパーでは5年から7年といっていますが、もっと時間が掛かりそうですし、場合によっては、完全にIFRSにならないことも想定されます。

もう1つ注目すべき点は、米国が自国の会計基準設定機関及び自国基準を維持するという立場をそこで明確にしていることです。すなわち、米国はIFRSをアドプションするのではなく、個別のIFRSを米国基準に個別的に組み込んでいくというわけです。つまり、一括ではなく、5年から7年かけて個別に入れていくということです。逆に、米国基準とIFRSが同じにならない限り、米国にその会計基準を入れていかないという風にも読むことができます。それも戦略の一環でしょう。結局、アドプション・アプローチではなく、組込過程アプローチの1つとしてコンドースメント・アプローチという、IASBがSEC・FASBの提案を受け入れ、米国と同様の会計基準を作った場合にはそれを受け入れていくけど、違う場合は受け入れていかないというアプローチを提案しているものと考えられます。

ただ、国際会計基準を設定しているIASBには、米国からは4・5人しかいません。全体で15ですから、やはりヨーロッパの国々等の人たちが多いわけです。だから、米国は英国や英連邦諸国等といったところの協力を得て、米国主導の基準を作りたいわけですが、それは難しいので、アドプションするのではなく、自国に基準設定機関を残すというアプローチを採ったわけです。

英国はEUの中でもユーロに入らずに自国貨幣のポンドでやっています。しかも、IFRSに関しては、議長が英国人のトゥイーディー氏でしたが、彼がIFRSを世界に広めようとしたわけです。前回もお話しましたが、同等性評価という制度を利用してEUが世界の会計基準を評価していこうという戦略は、EUの中でも英国がリーダーシップを発揮して行ったものでした。また、英国と米国は似ているところもありますが、かなり考え方が違うところもありますので、米国と英国の利害が一致しない限りは、両者が手を組む可能性は高くはないと思われます。

分野: 岩崎勇教授 |スピーカー:

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