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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 2012年の世界経済はどうなるか(経営学/久原 正治)

2012年の世界経済はどうなるか(経営学/久原 正治)

12/01/24

今回は、2012年の世界経済はどうなるかというお話です。
ヨーロッパも、アメリカも、日本もそうですが、世界中どこを見ても不安な経済状況です。新年早々、世界経済は危機的な状況にあり、2008年のアメリカのサブプライムの危機が終わったかと思ったら、EUがもっとひどい危機になってしまいました。新興国がまだ世界経済を引っ張るような状況にはなっていない中で、2012年の世界経済はどうなるのでしょうか。

■世界の不均衡―アメリカの経常赤字の問題

おそらく、アメリカの危機とEUの危機というのは、何かしら密接に関連しています。世界は80年頃から2000年代の初めまではずっと安定していましたが、危機がこのように次から次へと起きるということはこれまでにないことです。従来は景気が悪くなってもしばらくしたら回復したわけですが、今や全体的に回復しません。アメリカの経常収支の赤字を、世界の国からお金が回る事によって支えるような仕組み自体が持続出来なくなってしまったことに、まず問題があるような気がします。

大きく地域を分けると、アメリカがあり、EU、日本、東アジアがあります。この中でのバランスについてお話します。2000年頃からアメリカの経常収支は急激に悪化しました。そこでは、アメリカがお金を日本やアジアから借り、今度はそのお金を使い、日本やアジア、ヨーロッパから物を輸入するわけです。これで上手く世界は回っていたのですが、アメリカの過剰消費がそのベースにありました。2008年のサブプライム・ショックで、これが持続できなくなりました。そこで、アメリカ人が借金し過ぎていたことに気が付き、急に借金を返し始めました。そうすると当然消費が減るので、日本や中国はアメリカに輸出が出来なくなります。そのため、世界全体が不景気になっていったというわけです。それが今度はヨーロッパに飛び火をしたわけです。

成長が見込めるのは新興国という風に言われてきましたが、その中でも例えばインドなどは勢いがなくなってきています。当然アメリカの需要が減ってしまったからですが、中国やインドなどは自国内にはまだ十分な需要が無いので、どうしても成長が停滞してくる可能性があります。

■中国はリーダーになれるのか

昨年発表されたIMFの2012年度の経済見通しでは、世界全体で3%ぐらいの成長で、先進国がアメリカやヨーロッパが1%台、そして日本が2%ぐらいです。中国が9%ぐらいでインドが7.5%ぐらいという見通しでした。

中国が今後アメリカに取って代わり、世界の経済のリーダーとなるかというと、大きな疑問があります。まずアメリカに対する輸出が減るということで、中国がこれ以上輸出を増やせなかった場合に内需で成長できるかというと、国内の所得の格差や不動産のバブルが終ってくるなどの要因から、経済成長率がある程度落ちていく可能性が大きくなってきています。今年は世界の主要国で大統領選挙などでリーダーが変わっていきます。中国もリーダーが習近平に変わるわけですが、政治が安定するのか疑問があります。特に中国が世界のリーダーとして国際的な責任を果たせるかどうかは、大きな疑問です。政治と経済というのはかなり連動してきます。中国は、経済力は大きくなりましたが、政治的に世界が中国に従うようなことはあり得ません。むしろ、色々な政治的な摩擦が今年は増えてくるわけですから、今年は難しい年になるでしょう。

■相対的にまだましな日本

一方で日本ですが、今年の2012年の経済成長率の見通しとしてはIMFが2.3%と発表していますが、この2.3%という数字はEUの危機が今ほどになる前の数字なので、高い数字になっています。ただ、相対的な問題ですが日本は他の国と比べると安定的です。日本は先進国としてもはやキャッチアップした状態にあるので、高い成長をすることはないのですが、その先進国の中では比較的安定的な経済になるという感じはあります。しかし、日本ではやはり政治の不安定が問題でしょう。

先進国になれば、2%ぐらい成長すれば良い数字です。これが複利で増えていけば、結構経済は成長することになります。中進国が10%で成長するのは先進国にキャッチアップするところで、成長のバネになっていくわけです。その様なキャッチアプのばねがなくなった先進国では2%という成長率はまあ良い数字です。その中で企業も合理化していけば、生産性も上がっていくはずです。2012年世界の先進国が危機に襲われる中で、日本は悲観することはないと言えます。ところが日本は、実際はみんな悲観しているわけです。これは難しいところです。

日本ではTPPの話も有りますが、より経済がグローバル化していくと、世界の事をまず見なければ、我々の足元もどうなるか分からないわけです。今年は世界経済の変動が大きい中で、世界の国々は保護主義的な方向を向いていき、政治は不安定になっていく中でポピュリズム的な動きが出てくることは避けられません。その様な世界の政治状況の中で、TPPのような問題も考える必要があります。

このように世界経済については何も良い材料が今のところ見えていないので、危機的な状況がしばらく続くかもしれません。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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