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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 2012年の日本経済はどうなるか(経営学/久原 正治)

2012年の日本経済はどうなるか(経営学/久原 正治)

12/01/25

前回は、2012年の世界経済はどうなるかという話でしたが、今日は2012年の日本の経済はどうなるかという話をします。世界の経済の動きの中で、日本経済がどうなのかという話ですが、まずは現状から分析していきます。

■日本の経済の問題点

日本の経済は、この20年間は低成長が続いたのですが、よく見てみれば先進国としては結構よくやってきたと思います。つまり、決して所得がマイナスになったり、あるいはこのデフレがひどくなって大変なことになったりしているわけではありません。企業の所得は増えていて、業績が好調なところは随分あります。

では、何がいけないのかというと、この20年間の数字を見ますと、まず雇用者の所得が減ってきています。つまり、企業は一生懸命リストラをして、利益も上げたのですが、そのリストラのしわ寄せというのが、雇用所得を減らしたり、雇用形態を正社員からパートに変えたりといったことにつながっている問題があります。この所得が減っているところにまず日本経済の非常に難しい問題があります。

バブルの頃と今を比較しても、国全体の所得は上がっているわけです。当然2%ぐらいで、毎年成長していけば、名目的な所得は一応増えていきます。しかも、インフレ率が低いので、実質的な所得も減らないため、全体して国民所得は当然増えているわけです。しかし、その中で雇用所得は減っているわけです。

企業は、出た利益をなるべく外部に流出しないようにして危機を乗り切りたいという企業が多いわけです。儲かったお金でなにをやっているかというと、円高対策ということもあり、海外投資が増えています。国内では投資をしていないので、雇用も増えないわけです。

もう一つ重要なのは失業率の増加です。70年代80年代までの日本は、2パーセントぐらいまでの失業率だったのに対し、2000年代にはいったら、4パーセント台後半の失業率になっています。労働力の流動性の低い日本では、4パーセント台の失業率というのは、非常に高い失業率なのです。

失業率の増加は、雇用者の所得の平均が下がっていることと関係しています。まず、正社員が減ってきていますので、リストラにあった人が新しい仕事を探そうとしてもすぐに見つかりません。また、若い人の仕事もなくなってきています。パートのようなところに雇用が流れていきますので、所得の格差もどんどん広がっていきます。そうすると全体的に雇用者の所得が減って、消費が増えません。ここに日本の経済の大きな問題があると思います。

今の話と関連していますが、製造業がずっと日本の経済を支えていくというのはかなり厳しいと思います。そもそも、経済が成長すれば、製造業からサービス業に雇用が移るのですが、そのサービス業は生産性は低く、正社員が少なくパートなどが多くなっています。そうすると、サービス業の所得が全然増えていません。アメリカでは、グーグルやフェイスブックといったサービス業で付加価値を生む高度なものが出てきています。そこでの所得が高く、若い人がそこで働きます。日本の若い人は、サービス業で所得が低いということもあり、将来の希望がなくなっていく大きな原因になっていくわけです。

■地方と東京の格差

このような日本経済の問題のしわ寄せは地方にきています。地方経済が衰退する。日本の経済の課題として、地方と東京との格差というのが大きいと思います。東京はまだまだ最先端のものが色々ありますので、一人当たりの所得でも一応かなりいい線をいっているわけです。地方の一人当たり所得は東京の半分くらいになりつつあり、その格差が広がっています。まず地方では製造業が空洞化していき、その仕事はなくなっていきます。地方に出てくるサービス業というのは、東京に本社がある企業の単なる出店や飲食店が中心なので、地方では高い所得が得られるようなサービス業の職場というのがありません。それから、地方では医療や福祉という分野の雇用が増えてきていますが、これは残念ながら、全体のパイが医療保険などでおさえられるので、医療従事者というのは所得がなかなか増えません。このようにして地方では製造業の職は無くなり、所得も東京とくらべて格差が広がっていきます。この問題が去年に続き今年の地域経済の大きな課題です。

 2012年は地域の再生のための教育やインフラ投資が需要に
これを解決するためにはどうするかということになります。まず企業は利益が上がっていますが、その製品やサービスを需要する消費が増えないから投資をしません。そこで、企業に代わって政府が投資しなければならないのです。もちろん政府の財政状況を考えれば無駄使いはできません。将来投資のリターンが得られるような教育投資や、将来に生きるインフラといったものに政府が地方で投資していかないと、日本の経済はなかなか浮揚しないという感じがします。

我々の大学の現状をみても分かりますが、まず教育に対して全く投資されていません。国立大学法人では毎年1パーセントずつ予算が減っています。地域のも公共的なものが道路から何から、段々老朽化していっているわけです。将来、ちゃんと地域の基盤になるようなものをしっかりとしていかないといけません。また、地方にはもう製造業が進出することはあり得ないので新しい産業を育てていくしかありません。特に医療などは、福岡県は恵まれているわけですが、そこにしっかりと投資していくことによって、将来の九州経済の成長の基盤を作っていかないといけないという気がします。

前回の話で、世界経済は明るい材料がないと言いましたが、日本経済は、過去20年間ほどは2%くらいの成長はしてきているわけで、しかも世界の経済は転換期に差し掛かっているわけですから、ここで若者を活かすような投資をこれから地域がやっていけば、かなり明るいものが出てくる可能性があります。

それからもう一つ、伝統的な地域にあるビジネスを再生していけば、観光や農業を含めて、地域にはポテンシャルが十分にあると思っています。逆にこれまで地方でやってきたような大きな製造業を誘致しても、結局それは中国やベトナムなどにいつ移るかわかりません。その結果、職が失われます。地域に若者が働くような投資を行うことが、地域の再生に考えるべきことです。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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