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ユーロ圏混乱2 (財務戦略/村藤 功)

12/01/04

ユーロ圏の混乱が続いていますが、ギリシャが問題の発端です。そもそもギリシャには、ユーロが誕生した1998年から既にトラブルがありました。ギリシャは一番最初からユーロに加盟したかったのですが、財政規律や物価抑制基準を満たさなかったので加盟できなかったのです。2001年にやっと通貨統合に加わりましたが、その時に粉飾をしたのではないかという噂がありました。もとももとギリシャにはたいした産業もないので、財務がしっかりしているわけがないと皆考えていました。今回粉飾がばれて、公的債務がGDPの143%あるということになりました。これを解決するために、民営化や政府の歳出削減をして、財政赤字を削減しようと計画したのですが、国民がストライキを起こしたり、GDPがマイナス成長したりしました。このままでは税収も上がらず、GDPの7.5%まで財政赤字を減らすという目標を達成できない見込みになってしまっています。ギリシャの失業率は全体で16.5%、15歳から24歳の若者に限って言うと42%ですから、財政緊縮をやるとなると、さらに状況がひどくなりそうです。また公務員がストライキをやっていてゴミを集めないので、町にはゴミがあふれており、皆怒っているとのことです。困ったパパンドレウ首相は、国民投票で財政緊縮をやるかどうか決めようと発言しました。すると、今度はギリシャ以外の国々が怒ってしまいました。ドイツやフランスは、財政緊縮をやめることになるのであれば、一切の援助をしないと言い出しました。そうなってもどのみち、借りたものは返さなければなりません。ギリシャがユーロを離脱すれば、以前のドラクマという通貨に戻ることになりますが、途端に大変なインフレになるに決まっています。そうなればお金も返せず、さらに社会が混乱することが見えているので、パパンドレウは国民投票をやめて、パパデモスが新たに首相となりました。今度はEUの言うとおりに財政緊縮を行おうとしていますが、今も財務省の人間がデモを起こしたりしています。

ギリシャに次いで、イタリアの状況も大変です。イタリアにはベネトンや自動車のフィアットといった結構大きな企業もあります。そういう意味ではドイツ、フランスに次ぐヨーロッパ第三位の大国ですので、イタリアが破綻するとEUがぶっ壊れてしまいます。メディア王ベルルスコーニ首相は見放され、元欧州委員のモンティ氏が後任となりました。彼は政治家を入れないで内閣を組閣したので、法律を通そうとする場合の議会との関係が懸念されます。EUとしては、もとは自分のところの委員だった人なので、ベルルスコーニみたいにいい加減ではなく、きちんとやってくれるのではないかと考えています。

西ヨーロッパと比較すると貧しい東ヨーロッパでは、なぜ貧しい自分たちが比較的裕福な西ヨーロッパのギリシャやイタリアを助けないといけないのかという不満がでています。

またドイツは、フランスが少し落ちこぼれてきたこともあって、ヨーロッパの盟主となってきています。ドイツ以外では、ドイツ企業が好調というのは結局、ユーロが統合したおかげではないかと言われています。通貨統合によって為替コストが不要である、ユーロ圏で生産すればどこにでも自由に輸出できるという、ユーロ統合のメリットをドイツは受けているので、他国が困っているときには助ければいいという主張も聞こえます。しかしドイツ国民は、ユーロ導入の際に他国の様々なものが国内に入ってきて、便乗値上げや賃上げ凍結など様々なことが起こったので、ユーロ統合を必ずしもいいと考えているわけではありません。ですからドイツ国民にしてみれば、我々のお金で遊んでいる他国の人を我々が全部助けるのかという疑問が残ります。

一方アメリカは、自身も経済面で大変な状況になっていますので、影響が及ばないようEU内でケリをつけてくれるよう考えています。実際、アメリカの銀行はギリシャ国債やイタリア国債をもっており、またゴールドマン・サックスが赤字になるなど、困難な状況にたたされています。

日本は、ギリシャ国債は大してもっていませんが、イタリア国債は結構もっています。そういう意味では、何かが起こった場合日本の銀行も大変です。最近では円高が対ドルだけではなく対ユーロでも起こってきており、ヨーロッパに対する輸出が落ちてきているのも問題です。

中国もユーロ危機の影響を結構受けています。ヨーロッパに対する輸出が多いことに加えて外貨準備の多くをユーロに振り向けていたので、ユーロ安によって大きな損害をこうむりました。ユーロ全体で発行するユーロ共同債であれば購入するつもりはあるものの、ギリシャやイタリアなど個別の国債には慎重になっています。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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