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ユーロ圏混乱1 (財務戦略/村藤 功)

12/01/03

ユーロの危機は、昨年の中頃から、延々と続いています。アメリカも2002年から2008年にかけて、不動産バブルが発生して崩壊したため、長期的な不況となっています。ユーロだけでなく、日本でも混乱が起きています。ギリシャが危ないと言っているうちはまだよかったのですが、イタリアも危険であるとなると、イタリアはギリシャの七倍くらいの経済規模ですから、ユーロ破綻という話になります。ユーロという通貨そのものをやめようということにも行きかねませんでした。昨年末の段階では、リーダーであるドイツがどうにか収拾し、一息ついていますが、今後どうなるかまだまだわかりません。

ユーロ危機への対策として、EFSF(欧州金融安定化基金)が時限的に設立されました。最初は、安定化基金の保証枠が4,400億ユーロくらいだったのですが、それでは全然足りませんので、南欧国債の買い支えのため民間投資家の一部損失を穴埋めする債務保証方式と、民間投資家にも出資させるSPC方式で外部資金の呼び込みを含む実質的な規模で、10月27日に1兆ユーロに拡大されました。しかしイタリアが破綻してしまえば、2兆ユーロは必要と言われています。

イタリアでは、メディア王、ベルルスコーニ首相が辞任し、モンティ氏が新たに首相に就任しました。それで少し状況は変わりましたが、どのみち全体のシステムとして、救済できる仕組みを作っておくことになりました。EFSFは一次的な仕組みにすぎませんので、もともと2013年にESMというスタビライゼーションメカニズムを作る予定だったのですが、これを1年前倒しして、2012年7月くらいには稼働させることが、年末のEU首脳会議で決定しました。

ECB(ヨーロッパ中央銀行)は、ギリシャやイタリア、ポルトガル、スペインの国債を買い支えています。そして、ヨーロッパの経済成長が危なくなったために、金融緩和ということで、政策金利を0.25パーセント、25ベーシスポイント下げて、1パーセントにする決定をくだし、ヨーロッパ全体の経済を下支えしようとしています。

ユーロ共同債を発行すれば、殆どの国で、これまでよりも安い金利で資金調達できるようになります。しかしユーロの盟主ドイツは、単独で発行するより利回りが高くなり負担が増えるとして反対しています。結局、昨年の12月の欧州首脳会議では合意にいたらず、今年の6月に向けて継続協議されることになりました。

今回の欧州危機は、財政を統合していないことがそもそもの問題です。通貨をユーロとしてひとつにまとめたり、欧州中央銀行を導入したりすることで金融は統合しましたが、各国は勝手に国債を発行し、社会福祉や公共投資にお金を使っています。マーストリヒト条約に反しても、EUから脱退するという脱退条項はないので、困ったら助けるしかないということになります。ドイツとしては、西ドイツが東ドイツを助けてようやく一区切りついてほっとしたのも束の間、今度は南ヨーロッパの問題が降ってきたところです。延々と人様の為に働かなければならないのかと、不満に思っているようです。

財政規律に関しては、現状では、ドイツのように約束を守っているところと、ギリシャのように約束を守らなくてもよいところがあります。ついに昨年の12月のEU首脳会議では、財政を健全に保ち財政赤字を将来は0にする均衡予算の達成や維持を義務付ける財政協定を憲法や基本法の中に入れることが合意されました。しかし、EUには入っているものの、通貨統合には入っていないイギリスだけ反対しています。他の26カ国の加盟国はすべて賛成しておりますので、イギリスは仲間はずれになってきています。日本企業は、イギリスからヨーロッパを攻めるというところがありますので、イギリスの現状は心配でしょう。

今後もまだ混迷を極めそうですが、まずヨーロッパの銀行が問題です。今年の六月までに、中核的自己資本を9%に引き上げるバーゼル3が導入予定となっていますが、これが日本にどのような影響を与えるのかと、日本の銀行も大騒ぎになっています。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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