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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > IFRSにおける包括利益計算書 ①(財務会計/岩崎 勇)

IFRSにおける包括利益計算書 ①(財務会計/岩崎 勇)

11/12/19

仮にIFRSを受け入れると仮定すると、現行の財務諸表の名称が変わります。日本で言えば、三つの財務諸表として、貸借対照表、損益計算書及びキャッシュフロー計算書があります。これにさらに、株主資本等変動計算書、注記表が加わり、全体的な財務諸表が構成されます。これらの名称が、IFRS流の呼び方に変わるわけです。例えば、貸借対照表ですが、これは期末の財政状態を表す計算書のことです。IFRSはこれと同様のものをStatement of Financial Position:財政状態計算書と呼んでおり、日本でもこの名称を採用しようという意見が大勢です。また、損益計算書についても、1計算書アプローチの場合には、Statement of Comprehensive Income:包括利益計算書になります。

このような名称変更は、実務的には、大企業だけでなく、三百万社近い中小企業にまで影響を与える可能性が非常に強いです。もっとも理論的には、名称を変える必要はないと考えられます。特に仮に上場企業が名称を変えたとしても、中小企業まで変える必要はないのではないでしょうか。しかし、実務的には、上場企業が取り入れたり、強制適用されたりした場合には、中小企業も同様に変えていく可能性が非常に高くなるでしょう。

仮にIFRSに移行した場合、英語で書かれている原文を、直訳ではなく、意訳していく必要があります。IFRSの基本的な戦略の背景には、全世界に英語を普及しようということが考えられます。IASBが公式に認めているIFRSは英語版のIFRSであり、日本語に訳したものはローカルIFRSに過ぎないため、仮に両者の間に違いが生じ、訴訟等が起こった場合には、日本語訳部分を完全版の英語版IFRSとは認めないというスタンスなのです。IFRSを採用する企業は、グローバル・スタンダードである英語版のIFRSに合わせていく必要があります。

また、財務諸表の表示方法が大きく変わる可能性があります。これまでキャッシュフロー計算書は三つに区分されてきています。すなわち、事業と財務に分け、事業をさらに営業と投資に分けていくわけです。IFRSは、この区分を、損益計算書や貸借対照表にも適用していこうとしています。この表示でいくと、従来出ていた総資産額が直接は示されなくなります。このような手法が混乱の原因なのですが、帰納法に基づき実務上どうするのがベストなのかという話で会計基準を開発するのではなく、演繹法に基づき概念上すべてを理論的に一つの考え方に合わせていこうという考え方に立っているわけです。また、欧米等ではM&Aが非常に多いため、これについても計算書上、継続事業と非継続事業について分けて表示します。企業の文化や国の文化の一側面が、ここに出てきているのです。

これらの表示方法は未だ提案段階ですので、最終的にどのようになるのかは、予断を許しませんが、もしこのような表示方法に変わった場合には、このような表示方法が実務や経営分析でどれくらい有用なのか、また新しい経営分析の方法を開発していかなければなりません。しかし、もしこのような変更がなされるとすれば、当初は非常に混乱してくるように思います。

分野: 岩崎勇教授 |スピーカー:

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