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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > IFRSの会計基本思考② (財務会計/岩崎 勇)

IFRSの会計基本思考② (財務会計/岩崎 勇)

11/12/16

従来から日本の会計では、フローを重視しております。ここでフローとは、個々の期中の取引のことです。それを全部記録していくと、まるで映画のように、一会計期間の全体を見せることができます。一方、IFRSではストックを重視しています。このストックは、映画というよりもむしろ写真です。つまり、期末の一時点を取り上げて、その時に残っている現金や商品、土地、有価証券等のストックの額を時価や帳簿価額等で決めていきます。したがって、日本は期中の取引すなわちフロー重視であるのに対して、IFRSは期末のストック重視ということが特徴です。

次に、会計の中心概念についてですが、日本では伝統的に配分を基礎にしておりますが、IFRSでは評価を重視します。日本では取得原価主義を基礎として、例えば、自動車を100万円で取得し、5年間で使用する場合、年間20万円ずつ価値が減るよう配分して、償却(費用計上)計算を行います。つまり、取得原価を配分していくわけです。一方、IFRSでは全面時価的な思考、すなわち金融資本主義的な思考ですので、事業用資産については、日本と同様の原価モデルの他に、再評価モデルが認められており、再評価モデルを採用する場合には、期末時点の時価で再評価を行うこととなります。

また、金融商品を見てみると、信頼性の高い順に、レベル1、レベル2、レベル3の三つに分けられます。レベル1は、その金融商品についての市場が存在しているもので、上場有価証券(株、社債)等がこれにあたり、最も信頼性が高いものです。レベル2は、その金融商品についての市場が存在していないが、類似したものが市場で取引されているものです。レベル3は、市場での売買が無く、企業がモデル等を使用して計算するものです。

そして、測定ベースについては、日本は伝統的に取得原価主義会計をベースとし、取得原価を重視しますので、原則として実際に取引に参加しないといけません。他方、IFRSは、公正価値会計を基本としますので、実際に取引に参加し(取引を行わ)なくても構いません。Hypotheticalといいますが、期末において仮想の取引を想定して、それをベースにして計算します。したがって、IFRSでは、期末の経済的な状況を一番説明しているのは時価であり、それを基礎として測定することがベストであり、取得原価では駄目であるという話が良く聞かれます。そして、IFRSでは、期末の時価を客観的に計算できなくても、それをモデル等で計算するという考え方を採用しております。

さらに、収支の概念についてですが、収支には三種類あります。一番目が、もっとも基本的な収支である現金の収支(すなわち、現金収支)です。二番目が、実際に自分が行った確定的な取引に基づく確定収支(すなわち、過去・現在・将来の現金収支)で、伝統的に日本等では、原則としてこの確定収支をベースに会計計算を行ってきています。三番目が、これらのものの他に、将来もらえる、ないし支払うであろう収支(未確定収支)を含めるものです。IFRSはこの最も広い収支概念を使用しています。

最後に、IFRSをアドプションすべきか否かに関しては、世界的に企業経営を展開しているトヨタ等の多国籍企業であれば、このIFRSの考え方を受け入れた方がいいかも知れません。しかし、そうでないところまでもこれを強制しない方がいいと思います。すなわち、これまで通り、自由に任意に選択可能な状態にして、強制的なものにしない方がいいと考えます。

日本では既に、日本国内の企業や外国企業にIFRSの適用を強制せずに、任意適用を認めています。ところがアメリカでは、コンドースメント・アプローチ(すなわち、コンバージェンスとエンドースメントとを合わせたアプローチ)という新しいアプローチを2011年5月に公表しています。これは、米国の会計基準設定主体を維持したまま5~7年位をかけて収斂し、米国会計基準を維持したままIFRSに合わせていこうというアプローチのことです。これで少なくともアメリカでは、フル・アドプションすなわち完全採用はしないという方向性が見えてきました。日本でも同様に、フル・アドプションを前提とした議論は相当崩れかけてきています。

分野: 岩崎勇教授 |スピーカー:

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