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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 映画で学ぶ経営学(8)「アポロ13号とハヤブサのプロジェクト・マネジメント」(経営学/久原正治)

映画で学ぶ経営学(8)「アポロ13号とハヤブサのプロジェクト・マネジメント」(経営学/久原正治)

11/12/05

今日は、「アポロ13号」と「ハヤブサ」の映画を取り上げプロジェクト・マネジメント
という経営学の観点からお話しします。

プロジェクト・マネジメントは、NASAが始めた事業のやり方で、映画の「アポロ13
号」にそれが深く関わっています。また日本の「ハヤブサ」の映画も、まさにプロジェ
クト・マネジメントの話です。

まずプロジェクト・マネジメントという言葉を説明しましょう。プロジェクトとは、特定の
事業を様々な組織から来た人が集まり、一定の期間に成し遂げるもののことです。
プロジェクトには、明確に定義された目的があり、それから開始時点と終了時点が
あるので、それは組織としては永続的ではなく一時的な組織により行われます。
プロジェクトにはリーダーがいて予算が与えられますが、行程の各段階で予算が
追加で必要になったり、必要な資源が変化したり、予測できないことが発生します。
したがって、アポロ13号やハヤブサといった宇宙開発プロジェクトは、この定義に
ぴったり当てはまるプロジェクト活動ということになります。

一般のビジネスの中で何かプロジェクトをやる時も、そこには開始と終わりがあり、
まさにこの定義そのものです。期限内に予算内で一定の成果を出して顧客を満足
させることが、会社で一般的に行われるプロジェクトです。その原型が宇宙開発の
プロジェクトにあるので、アポロ13号とハヤブサの映画を観ると、プロジェクトを
どうマネージするのか、そこでどのようにして失敗が生じるのか、良く分かります。

「アポロ13号」という映画は1995年制作ですが、1970年にアポロ13号が打ち上げられ、
爆発事故が起きるという物語です。そこで乗務員3名を事故後地球に戻す救助作戦が
テーマです。失敗をどう上手く回復するかということです。3人の乗組員と地上の
管制センターの間で、管制センターがプロジェクト・チームを組んで、様々なシミュ
レーションをします。突発事態でどう対応していいか分からないからです。色々な
チーム・メンバーがそれぞれの仮説に基づき計算や実験しながら、想定外の事故の
中での救出策を考案し、最後に地球に戻って来ます。

NASAにも過去様々な失敗があります。例えば、1986年のチャレンジャー爆発事故
では乗員が亡くなり、2003年コロンビア号は空中分解してしまいました。それ以外に
も、最近ではハッブル(宇宙)望遠鏡プロジェクトが、事故のせいで想定通りの成果
が出ませんでした。この失敗の背景は技術的な問題よりNASAの組織の問題でした。

つまりプロジェクトをなんとか成し遂げようという気持ちから、組織全体が様々な
リスクを低く見積もり、安全確認をしないままに次から次にプロジェクトを進めて
いきます。結果としてリスクが大きくなり、それが複雑な事故に繋がっていくと一般
にいわれています。プロジェクト・マネジメントの生みの親であるNASAが組織の
マネジメントに失敗しているわけですが、アポロ13号では、それが成功して地球に
戻れたので、成功も失敗もあるということでしょう。

一方、日本映画の「ハヤブサ」は最近公開された映画です。日本の宇宙開発機構は
NASAと直接競合しても競争にはならないので、アメリカがやっていないことを
やろうとして、2003年にハヤブサを打ち上げました。小惑星イトカワに着陸し、地表
の岩石を採取し日本に戻ってくるプロジェクトをミッションにしました。日本の宇宙
開発の研究予算は本当に少なく、NASAと比べると人員も予算も10分の1です。
そこに見える日本流のプロジェクト・マネジメントの特徴はチームワークにあります。

映画「ハヤブサ」をご覧になるとよく分かりますが、何度も途中で駄目になりそうに
なりながら、想定外の事態にもプロジェクトの様々な人材を上手く集めて、彼らが
全力を尽くして問題を解決して、最終的に2010年に日本に戻って来ます。色々な部署
の人材を集めてくるので、指揮命令系統が全く異なります。このプロジェクトの
ミッションが、ハヤブサを宇宙に送って岩石を採取して戻って来ることです。例えば
ロケットやコンピュータの専門家がそれぞれ縦割りになっているものを、ハヤブサ・
プロジェクトでまとめていますが、ハヤブサは面白いプロジェクトだから集まった
専門家はそれぞれ一生懸命やります。そこに日本のチームワークの強さが出てくる
という訳です。

NASAのプロジェクト・マネジメントとは予算が全然違います。「はやぶさ」の映画
を観ていると、主要なメンバーは毎日鯖定食やカップラーメンを食べて、夜は寝袋で
ソファーの上に寝ていますが、皆必死でやります。これらの研究者の下働き舞台の
中核は期限雇用のポスドク(博士をとったけれどまだ大学等で定職につけない研究者)
達で、文部科学省の科学技術予算は貧困ですが、個々人は一生懸命やっていることが、
この映画を観ると良く分かります。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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