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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 他流試合としてのオープンイノベーションのススメ(その1)(産学連携マネジメント/高田 仁)

他流試合としてのオープンイノベーションのススメ(その1)(産学連携マネジメント/高田 仁)

11/11/22

オープンイノベーションという言葉が使われ始めてずいぶん時間が経つ。この言葉は、ヘンリー・チェスブロウが提唱したのだが、簡単に言うと、社内外を問わずオープンに資源を調達し、優れたビジネスモデルを構築して競争優位を確保する方法である。
わざわざオープンイノベーションという言葉を使わなくても、従来から社内で不足する資源を外部と連携することによって補完しあうことはこれまでもずっと行われてきたが、オープンイノベーションは、社内資源と社外資源に主従関係をつけない点が特徴だ。
つまり、従来の外部資源による補完が自社の資源に外部資源を従属させる「上から目線」の連携だとすると、オープンイノベーションは主従にこだわらず事業目標に合わせてダイナミックに内外の資源をインテグレートするので、その分企業活動はダイナミックになる。

有名な事例では、P&G(プロクター&ギャンブル)社のC&D(コネクト&デベロップメント)戦略が挙げられる。
同社では、99年に外部イノベーション担当役員を設置し、2002年までに社外イノベーションを活用する割合を50%にまで高める目標を掲げた。そして、「技術起業家 (テクノロジー・アントレプレナー)」を設置し、消費者ニーズ把握、技術の影響分析、外部 ネットワーク構築などを担当させた。この取組みによって、イノベーションの成功率が上向いたと言われている。
しかし一方で、外部資源をM&Aやアライアンスによって獲得するという方法だけでは成長に限界が生じるため、並行して内部の有機的成長能力を強化しないと目標達成は依然として困難だということも明らかになったのだ。
外部資源と内部資源をインテグレートして価値を生み出そうとすると、外部資源を内部資源とを高い次元で結合させることが必要になる。そのためには、日頃から内部の能力を高めておくことが必要になる。
P&Gの場合は、C&Dのコンセプトを打ち出した数年後、「ニュー・グロース・ファクトリー」というプログラムを2004年からスタートさせた。さしあたって、破壊的成長にはシニアマネジャー・クラスのマインドセットの転換と行動が欠かせないということで、教育プログラムを実施したり、破壊的イノベーションに挑むプロジェクトチームを支援する専門家チームを組成したり、既存事業ユニットの中に新規事業開発を専属で行う小規模のグループを組成したりと、内部のイノベーション適応力を高める取組みを続けている。

オープンイノベーションを標榜し、社外にある有望な資源を活用するために動いてみたら、社内の能力が不十分だと判ったので、並行して内部改革を進めるという流れは、一見遠回りなようだが健全な成長プロセスだといえる。

ここで、オープンイノベーションを「他流試合」と位置づけると判り易い。自分たちだけで練習を続けている状況だと、所詮井の中の蛙に過ぎないので、「他流試合」と称して外に出て実力を試し、その結果を振り返って自らの力を高めるという活動は有効だ。

次回は、オープンイノベーションを「他流試合」になぞらえて解説を続ける。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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