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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > スティーブ・ジョブズが残したもの(2)(産学連携マネジメント/高田 仁)

スティーブ・ジョブズが残したもの(2)(産学連携マネジメント/高田 仁)

11/11/14

前回に続いて、今回もスティーブ・ジョブズが残したものについて話します。

■CreAction

CreAction という言葉があります。この CreAction というのは Creative の Cre と、行動の Action を組み合わせた言葉で、アメリカのアントレプレナーシップ教育と研究で有名な Babson 大学の人々が提唱しています。これには4つのポイントがあります。1番目は素早く行動する、2番目は出来る範囲の資源投入にとどめる、3番目は他人を巻き込む、4番目は自分の行動を振り返って次の行動を決める。つまり素早く可能な範囲で行動し、そこからフィードバックを得ながら走ると、ゴールも当初想定したものより良い方向に変化してくということを示しています。スティーブ・ジョブズはまさに CreAction をずっと繰り返していたのではないかと思います。

彼は世の中を変えるアイデアを思い付き、それを出来るだけ早く実行しようとします。それも完成度の高い形でやりますが、そのスピードが非常に早かったと思います。例えば、アップルはPCを世の中に出して大成功しましたが、決してPCメーカーの位置にとどまりませんでした。その後、iPodで音楽流通を牛耳り、今度は携帯電話の領域に入っていきました。そして今、アメリカではいち早く導入されているように、テレビの領域にまで踏み込んでいます。つまり、ゴールをどんどん進化させているわけです。

彼は、コンピューターを作りたかったというだけでなく、世の中に変革をもたらしたかったわけです。その自分のゴールを、ビジネスをやりながらどんどん進化させていったところが非常に特徴的だと思います。

■スティーブ・ジョブズの言葉

彼は非常に面白い言葉を色々と残しています。1番有名なのは、2005年にスタンフォード大学の卒業式でのスピーチです。このスピーチは伝説的なスピーチだといわれていて、今でもインターネット上で動画があったり、スピーチの全文が公開されていたりするくらいです。

彼はその時、3つのことを言っています。まず、点と点を繋ぐ、つまり、世の中で何が後で役立つか分からないということです。一度ドロップアウトして回り道したように思えることでも、それが後で役に立つということはたくさんあると言うことです。

2つ目は好きなこと、情熱を注げることをやるのが大事だということです。彼は会社を追われたり、あるいは、癌を宣告され死に直面したりしました。そういうことを通じて、やはり自分にとって何が大事かということを人よりも深く考えさせられて、だからやっぱり好きなことをやる、情熱を注げることをやるのが大事だ、ということをよく言っています。彼はいつも、今日が人生最後の日だったら何をするだろうか、ということを考えながら過ごしていたといいます。やはり、それだけ情熱を注いで自分が本当にやりたいことをやる、それも世界を変えられることをやるということを、強烈に心の中に秘めていた人なのです。

3つ目はスピーチの最後の台詞です。Stay hungry, stay foolish. 貪欲であれ、馬鹿であれ、という有名な台詞を残しました。これは世界中に非常に大きな影響を与えたメッセージでした。

■スティーブ・ジョブズの評判

そのスティーブ・ジョブズですが、アップル社内の評判は決して良いものではありません。私もアップルで働いていた人に何人も会って、彼の評判を聞いたことがありますが、付き合いづらい、一緒に働きたくない、あの人はひどい人だ、というような評判を耳にします。完全なトップダウンな上に完璧主義だと言われていますが、フォーチュン誌の記事によると、社内バスのデザインや社員食堂のメニューにまで彼が口出ししているという話があるくらいです。製品に関しても、ほぼ完成というところで、彼の一言でまたゼロからやり直しということもあります。スペックを変えてしまったり、価格を変えてしまったりすることも常に起こっているわけです。そのため、周りはそれに振り回されて大変ですし、会社の中で彼と目が合おうものなら、明日の朝までこれやれと言われるのでたまったものじゃないということで、みんな戦々恐々として過ごしているというのが現状のようです。しかし、やはりアップルの幹部の人たち、あるいはスティーブ・ジョブズ本人からすると、世界でとびきりクールな製品を作っている会社で働けていることに感謝しろ、という感じで、夢の職場であることで社員を鼓舞しているところがあるようです。

■スティーブ・ジョブズが残してくれたもの

結局、スティーブ・ジョブズが残してくれたものはすごく多くて、とてもまとめきれないくらいほどですが、あえていくつかまとめていきます。

まず1つ目は、世の中に本当に変革をもたらすことの価値です。変革というのは望めば実現できるということを、彼は我々に対して強烈にメッセージを発してくれています。

2つ目は、自分が情熱を注げることに力を注がなければいけないということです。注力しなければいけないということを、人生を通じて彼自身がやってきたということですし、その大切さというのは我々も見習うべきところだと思います。

3つ目は、非常に高いレベルでアイデアと実行を両立することです。私がMITにいた時に向こうの人々が言っていたのは、アイデア自体には価値がなく、実行に価値があるということです。ただ、ジョブズは、 Power of idea という言葉をよく使います。彼は、アイデア自体にも価値があり、またそれを実行することにも価値があると考えていました。アイデアと実行、その両方の価値を認めて、それをあくまでも追求しようとしている姿は、我々が学ぶべきものであり、彼が残してくれた大切なメッセージではないかと思います。

スティーブ・ジョブズが活躍したのはアメリカ、世界という舞台ですが、日本でスティーブ・ジョブズと同じようなことをやれる人が現れるのかという話もあります。しかし、例えば、ソフトバンクの孫さんの生き様というのはスティーブ・ジョブズと重なる部分があると思います。ある時は豪腕だとか色々言われたりしますが、彼は社会、世の中を変えることを様々なアプローチで実現しようとしています。日本にもそういう人材はいるということです。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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