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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > グローバル人材(10)アメリカ人はグローバル人材なのか(経営学/久原正治)

グローバル人材(10)アメリカ人はグローバル人材なのか(経営学/久原正治)

11/10/25

■内向きのアメリカ人
グローバルと言えば、アメリカはグローバルというイメージがありますが、実際は
アメリカ人はローカルな人材です。最近の日本人の若い人はアジアに目を向けてい
て、アメリカはあまり魅力的ではない国になっています。

私は毎夏、アメリカで授業をやっていますが、日本は中国の中のどこにあるかと聞
いた学生がいました。若い人でも自分の州から外に出たことがないアメリカ人がい
ます。

アメリカ人の中堅以上だとキャリアアップを求めてどんどん移動しますが、貧困層
はアメリカでは移動ができません。特に最近貧困層が増えてきて、だんだん内向き
になってきています。

そのアメリカへの日本からの留学生は減っていますが、データでみても裏付けられ
ます。97年から98年にかけて47,000人留学していたのが、2009年から2010年では
24,800人半分に減っています。

以前は、日本人がアジアからアメリカへの留学生の中で最も多かったのですが、今
は中国、インド、韓国、台湾に抜かれ、アメリカへの留学生は明らかに減っています。

かといって、日本の学生が留学しなくなったわけではなく、日本の若者の目がアジ
アにシフトしていることが大きな特徴です。以前は日本の大学に入れないからとか、
親が金持ちだから欧米に留学することがありましたが、今は日本でも大学全入時代
ですし、わざわざ欧米に行っても、日本がすでに欧米にキャッチアップしているの
で、今更憧れる対象でもなくなったのでしょう。

九大では、交換留学の行き先はこの10年急激にアジアが増えて、2000年頃から比べ
ると10倍以上になっています。明らかに学生がアジアに目を向けているということ
です。

日本人は、アメリカ人がグローバルではないという見方をしています。最近では茶
会等が出てきたり、ウォール街で反ウォール街のデモが広がったりしているのは、
アメリカ人の中でもグローバル化に反対する層が増えてきているからです。

保守化、内向きになっていることが明らかです。最近のアメリカ人のケースでは、
例えば海外に赴任が決まると奥さんから離婚を切り出すようなことがあるようです。

日本はアメリカをシリコンバレーの活力だけでオープンだと見たり、あるいは英語
だからグローバルだと勘違いしたりしますが、アメリカ人は昔から非常に内向きな
のです。アメリカ人は英語が世界中どこでも通じると思っていて、外国語があると
思っていないような連中が多いのです。

■反ウォール街のデモ
ウォール街で大きなデモが頻発していますが、それがグローバル化の批判という話
です。経済の面では、失業率は全体では9%くらいですが、若い人では20%くらい
になり、経験がない大学卒業生には職がないのです。

職の中心は製造業からサービス業に移りましたが、サービス業は非常に不安定で、
日本でいえば時給仕事が中心で賃金も大変低いので、ウォール街みたいにグローバ
ルにお金を儲けているところに対する批判をシンボルとしてやっているのです。

オバマ大統領は、そういう1%の富裕層の味方ということもいわれていましたが、
実際に若い人の仕事が全く増えないので、今や若い人の間の人気はがた落ちになっ
ています。

彼はいま再選されることが考えの中心ですから、若い人の支持がなければ別の層の
支持が必要で、政策も安定性を欠くようになり、皆が希望を持てなくなっています。

アメリカでも、シリコンバレーはオープンですし、それにアメリカ人はチャンスが
あれば移動します。外国人もいいものを持っていれば受け入れることは違いないの
ですが、今やアメリカはかなり保守化してきました。80年代もそうでしたが、経済
が悪くなるとアメリカは保守化していきます。

■アメリカのMBA教育の課題
話は変わって、グローバル教育の基準ともいわれるアメリカのMBA教育ですが、
この基準も危ういものです。

例えば、アメリカのMBAでは学生が多様だといっても、一流校でも留学生は2割
くらいしかいませんし、学長や学部長が強力なリーダーシップで改革を進めていた
のですが、官僚的化の傾向が見られ、世界中から優秀な人を引き付けることにもや
や陰りが見えてきています。

一方ヨーロッパのビジネススクールでは1年での短期間でとれることもあり学生が
増えていますし、アジアのビジネススクールがアメリカ、ヨーロッパの有名スクー
ルと組むことによって、グローバルな魅力を持ってきており、アメリカのMBA
コースも大変になりました。

アメリカのビジネススクールもグローバル化に合わせて変わらなくてはならない
ので、アジアのビジネススクールとの提携したり、研究を実務に役立つようにし
たり、教育と結び付けるなど、一生懸命努力はしています。

ただ、アメリカ人はグローバル人材なのかと言われれば、私の長いアメリカでの
経験から見ると、あまり一般化するのもよくないとは思いますが、やはりドメス
ティックな人材が中心であり、英語をしゃべって格好がそれらしく見えるからグ
ローバルに見えるだけではないかという感じがします。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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