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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > グローバル人材(11)シンガポールのグローバル人材育成(経営学/久原正治)

グローバル人材(11)シンガポールのグローバル人材育成(経営学/久原正治)

11/10/26

■シンガポールの急激なグローバル化による成長
今日は、シンガポールのグローバル人材育成の話です。シンガポールは、本当に
グローバルなイメージの国ですが、実際に英語やインフラにそれが表れています。
世界的に有名な法律事務所や会計事務所はアジアの拠点はまずシンガポールに
置き、一流のホテルもシンガポールにあります。

人口は500万人くらいで福岡県とほとんど同じですが、グローバル化の進展がアジ
アの中で他の国と違ってきているところです。70年代我々が学生の頃はまだ貧困
な漁村のような感じでした。日本からもジャイカ(JICA)を通じて社会的な支援
を行っていましたが、今ではほとんどありません。

70年代、松下がシンガポールに工場を作ってジューサーを製造したとき、シンガ
ポールの人はこれでジュースが簡単に飲めるといって喜んでいましたが、現在松
下の工場はありません。立地面で当時シンガポールが工場を置くには最適でした。
シンガポールは独立した時にまず日本から製造業を誘致して経済を成長させました。

次に、サービス業、今やバイオ産業と、トップのリーダーシップで産業を世界最
先端のものにしていったことがシンガポールの成長に大きな役割を果たしていま
す。日本は未だに製造業などといっているわけですから、スピードが全然違いま
す。貿易という点では、立地としては福岡県とそんなに変わりません。福岡県も
韓国や中国にかなり近いのですが、大きく差が付きました。

■教育のグローバル化
教育面でのグローバル化では、人材育成を最大の国策として、エリート育成に力
を入れています。エリートを国立トップ大学から欧米に留学させ、彼らを国の官僚
にもってくるという流れを作り、優秀な人材を育てました。


先日タイムズ・ハイヤーが2011年から2012年の世界のトップ大学を発表したばか
りですが、アジアではトップに東大が返り咲き、香港大学と入れ替わりました。
シンガポールでは、シンガポール国立大学と南洋(ナンヤン)理工大学というの
がランキングに入っていますが、シンガポール国立大学は、アジアでは東大、香
港大学に次いで3位に入っています。香港には中国がバックにあるわけですから、
国の規模からみればシンガポール国立大学は優秀です。香港大学の次ですから
京大よりも上位です。

シンガポールでは、国を挙げて人材の育成に力を入れているわけですが、社会に
出た人材を国家の成長にうまく活用するために、まず最も優秀な人材を官僚とし
て政府の中枢においているので、リーダーが非常に優秀です。そのために、官僚
の給料を投資銀行の給料と同じにしているので、シンガポールでは役人の給料が
大変高額になっています。

アジアにおいて、シンガポールの優位性は労働力が色々なところから集まること
です。もともと労働力は人口が少ないので不足していますが、優秀な人もASEAN
から集まってくるし、労働省は入国管理をうまく運用しています。ですから、シンガ
ポールで労働省は人材開発省という名前になっていますが、人材開発に大変な優
位性があります。

世界で有名なビジネススクールがシンガポールに進出しています。シカゴ大学や
ヨーロッパのINSEAD(インシアッド)、そして早稲田もシンガポールに拠点を
置いています。

■シンガポールの課題
そういうシンガポールですが課題もあります。非常に若い時からエリートを選ん
でいますから、そうではない人たちはあまりいい教育を受けられませんし、昔は
製造業などの仕事がありましたが、教育を受けていない人は高度な仕事にはつけ
ないので、貧困や学歴の格差の問題は大きいのです。

これから国のトップが選挙で変わり、政策がどう変わっていくのか気になります
が、これまでの政策のしわ寄せは、いくつかのところに現れています。旅行に行
けば分かりますが、カジノはあるけど文化や歴史の蓄積はありません。歴史自体
が短いこともありますが、歴史では隣のマレーシアやインドネシアの方があります。

また、色々な新しい産業や優秀な人も外から持ってきているので、内部から育つ
ものがありません。そしてエリートは官僚か投資銀行家になるので、イノベーシ
ョンを起こすようなことは不得手です。

今までのシンガポールの人材育成はメリット、デメリットはありますが、これま
でのところ大成功といえるでしょう。1人当たり国民所得が日本をはるかに超え
ていて、福岡県くらいの国があれだけ活気を呈しているわけですし、リーマンシ
ョックの影響も非常に小さかったので、非常にうまくいったのだと思います。

日本と随分違うので、そこから日本が学ぶのは難しいのですが、トップのリーダ
ーシップは学ばなければなりません。残念ながら日本の政治はこの20年間くらい
混迷しています。リーダーシップが大きな問題ではないでしょうか。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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