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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 広告会社の日米比較③(マーケッティング/出頭則行)

広告会社の日米比較③(マーケッティング/出頭則行)

11/09/28

今日は広告会社の日米比較の3回目です。

日本の広告業はメディアの代理店から始まり、アメリカの代理店はほぼクライア
ント(広告主)の代理店から出てきたことが、アメリカの一業種一社、日本の一
業種多社をもたらしました。アメリカサイドからは色々取り沙汰されていますが、
日本の一業種多社という慣行からは様々な副産物も生まれました。その1つが、
番組の企画への参入です。更に、その先には映画などコンテンツへの進出もあり、
アメリカの代理店では考えられないような展開をすることになりました。

日本の広告代理店は映画の企画段階で参画し、プロダクト・プレイスメント
(Product Placement)のクライアントを集めたりします。そうすることで映画
の製作費も事前に回収できるというメリットもあります。

番組企画への参画のメリットの最大のものは、スポーツマーケティングです。ス
ポーツはまさにビックマーケットで、例えばIOC(国際オリンピック委員会)
はアメリカでは広告会社を全く通さずに放送会社に権利を売っています。日本の
場合は、NHKと商業放送局の幹事役として広告会社がIOCと放送権やマーケ
ティング権の交渉を行います。日本のTV局にはアメリカのABC、CBSのよ
うな資力がありません。そこでNHKと民放局とがコンソーシアムを組み、日本
での放送権料をIOCと交渉し、各局に放送枠を配分していく機能を広告会社が
手伝います。これは日本独自のシステムですが、リスクテイクするからできるこ
とです。なぜならば、放送権料の交渉時には放送枠が完売できるか保証はないか
らです。リスクをとる延長上にスポーツマーケティングがでてきて、日本の広告
会社はオリンピックやワールドカップに関わるようになってきました。クライア
ンスベースが広いから出来ることです。例えば競技場に大きなディスプレイを出
す時にA社が駄目ならB社、B社が駄目ならC社というクライアントリストを持
っていないとこれができません。同様に、車のオフィシャルサプライヤーもクラ
イアントベースが広いから調整できるのです。

このように日本の大手広告会社がスポーツマーケティングにまでサービスの広
がりを持つことは、欧米の代理店の垂涎の的で、なぜあそこまでできるのかと非
常に不思議に思っているのです。歴史的背景があり、現状では欧米の代理店には
できないのです。日本の広告会社のように3000社のクライアントベースを持つこ
とは、欧米の広告会社には不可能なのです。このような日本固有のビジネスモデ
ルは世界標準ではないため、日本の広告業はアジア以外の海外では大変苦戦して
います。一方、アメリカの大手広告会社は一業種一社であるがゆえに、担当クラ
イアントのビジネスをグローバルに請け合うことが通常の慣行です。従って、グ
ローバルなクライアントを持つアメリカの広告会社は必然的に海外にオペレー
ションを展開せざるを得ません。トヨタ、ソニー、ホンダなど日本の国際企業は、
アジアを除いて、欧米ではほとんどのビジネスを地元の有力広告会社を使ってい
ます。一業種多社という慣行は多くのユニークなビジネスを日本の広告会社にも
たらしましたが、一方、負の部分として、グローバル化を相当遅らせてしまって
います。

独自のビジネスモデルにはメリットもデメリットもありますが、国際化の遅れが
日本の広告会社にとってとても辛いのは、日本の市場は少子高齢化で縮小してい
るため市場を外に求める時に、欧米の広告会社に一歩も二歩も遅れてしまってい
ることです。

分野: 出頭則行教授 |スピーカー:

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