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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 広告会社の日米比較②(マーケッティング/出頭則行)

広告会社の日米比較②(マーケッティング/出頭則行)

11/09/27

今日は、広告会社の日米の比較の続きです。

改めて日本とアメリカの広告代理店の違いについてお話しします。日本の大手広告
会社は一業種多社の広告を手掛けます。自動車会社も複数社扱いますし、化粧品
も同じです。アメリカの場合は原則一業種一社しか手掛けないのですが、これは、
歴史的に日本がメディアの代理店で、アメリカは広告主の代理店だったことにより
ます。アメリカの広告会社の場合はクライアントの発注の基づく完全受注型ビジネ
スになります。一方、日本の代理店はメディア企画を作り複数のクライアントに売
りに行くことも可能です。これはアメリカではあまり考えられないことです。例え
ば、広告主が破産しメディアにお金が払えないといった場合に、日本ではメディア
を仲介した広告会社自らがリスクを負わなければなりません。アメリカでは、広告
業は負債を負いません。メディアの負債は広告主が負います。

1980年代アメリカの企業が日本に進出しようして苦労している時、日本の広告会社
がメディアの代理店をしながら広告主の代理店も兼ねているのは、一種のダブルエ
ージェントだとアメリカ側は批判しました。メディアは高く売りたいし、クライアントは
安く買いたいわけで、その間に入るのは利益相反でダブルエージェントだというわけ
です。それは日本の後進性であり、日本の大手代理店がTVのいい時間帯を押さえて
しまい、アメリカ企業には良いTVスポット枠が回ってこない、これは一種の非関税
障壁ではないかとアメリカ側は批判しました。1980年代の日米構造協議ではそうい
うことも取り沙汰され、日本の広告会社も神経質になった時期がありました。

ところが最近そういうことがいわれなくなったのは、日本側にも反論があるからで
す。例えばコンサルティング業では、ベリングポイント(BearingPoint)やプライス
ウォーター(PricewaterhouseCoopers)など、アメリカが本家ですが、一業種一社で
は商売にならないし、弁護士事務所でも会計事務所でもそうです。同じ情報を扱っ
ているのに、広告代理業で一業種多社が駄目で他のコンサルティングはいいのです
かということです。それに一業種多社を日本の後進性のようにいいますが、アメリ
カでは親会社が持ち株会社として上場し、傘下のグループ会社が競合するアカウン
トを分け合っています。兄弟会社が複数の自動車会社を手掛ければ、これは一業種
多社と一緒ではないかということです。親会社である持ち株会社には全部情報が集
まるので、日本の会社とどう違うのかという反論であり、この話は結局うやむやに
なりました。むしろ一業種多社の副産物としてのメリットも見えきました。

日本の電通も博報道も単体のオペレーション会社としては世界のトップクラスの規
模を持っています。理由として、一業種多社だから、幅広いクライアントベースを
持っています。色々なクライアントを維持するには色々な機能を広告会社自らが備
えなくてはいけません。マスメディア、セールスプロモーション、PR、市場調査
などなど、様々な機能を社内にとりこむので、結果、日本の大きな代理店のビジネ
スはワンストップショッピングコンセプトになっています。コミュニケーションに
関わることはほとんど全部社内でできます。アメリカの代理店はそういうわけには
いかないので、トータルコミュニケーションをやるためにはグループ会社内でコン
ソーシアムを組まなければなりません。日本の大手広告会社のワンストップショッ
ピングコンセプトはアメリカの同業者にとっては垂涎の的なのです。

広告会社がリスクテイクすることは、メディアを企画することに繋がり、更にコン
テンツ・ビジネスに道を開くことになります。これはアメリカの代理店では考えら
れないことです。相当前の話しですが、ニュースステーション(現報道ステーショ
ン)を電通が朝日TV系列と共同で立ち上げ独占枠とした時、ニュース・コンテンツ
だけではクライアントが集まらず、商売としては大赤字でした。しかし、番組内容
を順次改善して、次第に高視聴率を取れるようになり、今や安定したビジネスにな
っています。広告会社のリスクテイクがビジネスに繋がった好例です。コンテンツ・
ビジネスは水ものなので、リスクをとることによって初めて可能です。コンテンツ
の代表である映画にも日本の広告代理店は参画していますし、インターネットや携
帯電話のコンテンツもそうです。つまり、リスクテイクする延長上にコンテンツ・
ビジネスがあったわけです。それもこれも、一業種多社扱という慣行のひとつの副
産物ですが、アメリカの広告会社からするとなんとも不可思議なことでしょう。

分野: 出頭則行教授 |スピーカー:

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