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技術商業化の人材育成プログラム(その1)(産学連携マネジメント/高田 仁)

11/09/19

去る8月末〜9月上旬に、大阪大学でG-TECという技術商業化のための研修プログラムが開催された。全9日間という比較的拘束時間が長い研修にも関わらず、企業の技術開発や事業開発担当や大学TLO、研究室に所属する学生など総勢37名の参加者があった。中には中国・北京からの参加者もあった。社会人と学生の比率は半々である。
このプログラムは、ボストン大学の技術商業化オフィスの元ディレクターで、AUTM(大学技術管理者協会)の元会長のDr. Ashley Stevensを講師に迎えて、氏がボストン大学のビジネス・スクールで提供している科目の一部を日本に持ち込んで、技術商業化の人材育成の機会を設けたものだ。

そもそも、大学では多くの発明が生まれるが、実際に民間企業に技術移転される割合は日本が13.8%、米国でも26.2%に過ぎない。この比率を可能な限り高める、つまり、大学発技術が世の中で使われる機会を出来る限り広げるためには、そのプロセスを理解し手法を習得した人材が欠かせない。
そのような人材育成プログラムは、米国では、MITやカリフォルニア大学サンディエゴ校、テキサス大学オースチン校等のビジネス・スクールなどで積極的に取組まれ始めているが、日本ではまだ顕著な取組みがない。
その状況に対して、大阪大学の人たちが「じゃ、米国の専門家の力を借りて自分たちでやってみよう」と開講したのがこの研修プログラムだ。

参加者は、全体を通じて午前中は講義やケース・ディスカッション、午後からグループワークを行う。
講義は、技術商業化の概要の理解、知的財産の評価と参入障壁の形成、プルーフ・オブ・コンセプト(技術がコンセプト通りに機能するかを検証する方法)、大企業との提携戦略、等について、ケース・ディスカッションも交えながら学ぶ。ケースは英文のハーバード大学のケースを6本使用したため、それなりの宿題が課されることとなった。
また、大阪大学の技術(研究成果)6件が準備され、グループ毎にひとつを選択して、研修期間中の午後の時間を使ってグループで技術評価や商業化戦略の立案を行う。
技術商業化に必要な知識を得るための講義と、実際の技術について評価するための演習が並行して走るところがプログラムの特徴である。

例えば私が学期を通じて参加したMITの講義では、講義時間以外にも学生が集まって、発明者へのインタビューを行ったり、企業へのヒアリングをおこなったりして、最終的に商業化計画を発表する。最終発表会には発明者である大学の研究者やべンチャーキャピタリスト,ビジネス・メンターなども列席し、計画に対してコメントしたりする。
つまり、“大学が開講する科目“というオープンなインフラを活用して、(1)実践力を高める人材育成と、(2)実在する技術の評価(商業化計画の立案)、を同時に行うのである。

米国の場合は、科目終了後にチームがビジネスプランコンペに応募したり、起業に結びつくという事例もある。今回のG-TECでそのような事例がいきなり出るところまでは考えづらいが、評価対象の技術の数がそれなりに増えてくれば、そのような可能性も高まることが期待される。

次回も、引き続き人材育成プログラムについて考えていきたい。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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